ニューヨークピュアラブストーリー・第二話 #ニューヨークピュアラブストーリー

「俺も兄弟が欲しいよ」

高校生の隆が、母に言った言葉がきっかけで

母は、隆とは１８歳差の妹を出産した。

その妹を抱っこして退院する日に、両親はト

ラックに跳ねられて、亡くなった。

隆は、生まれたばかりの妹と２人になった。

妹は、未熟児で生まれた、生まれつき病弱な

身体だった。日本にいる祖父母には、１人に

なってしまった隆に早く日本に帰ってこいと

言われていた。

生まれつき病弱な身体の妹は、長時間の飛行

には耐えられないと、医者から日本への帰国

許可を出してもらえなかった。

隆は、この３月でクイーンズ州に在る日本人

学校高等部の卒業を控えていた。

勉学が得意な方ではなかった隆だったが、卒

業後はマンハッタンのコロンビア大学への入

学が決まっていた。勉学より運動が得意だっ

たので、スポーツ工学での進学だった。

「俺、日本には帰国しないよ」

日本に連れて帰れない妹は、ニューヨークの

孤児院でも預けてでも帰国しろという祖父母

の助言を隆は断った。

そして、ニューヨークに残り、まだ生まれた

ばかりの妹を１人で育てていく決断をした。

だが、妹を育てながら、コロンビア大学にも

進学することはできない。隆は、進学を諦め

就職、ニューヨークで働くことを決めた。

父の働いていた商社、ニューヨーク支店に就

職させてもらえることになった。