クルージング教室物語・第五話 #クルージング教室物語

寒い冬でも、マリーナに毎週末、ヨットやボ

ートに乗りに来る人たちには、船好き、海好

きの人たちが多い。

ボート乗りは釣りに興じ、ヨット乗りは冬の

強い風でのセーリングに興じている。

「麻美子ちゃん、すっかりヨットレディね」

隆や麻美子のように、冬でも毎週末、ヨット

に乗りに来るフェリックスの榛名さん夫婦に

声をかけられた麻美子だった。

「そうですかね」

麻美子は、ヨットに乗る時のオイルスキンと

いう雨合羽を身につけながら答えた。

榛名夫婦は、フェリックスという船名の３０

フィートのヨットに乗っている。

「すごくヨットの服がサマになっているよ」

「榛名さんのヨットは、仲間が多いのよ」

麻美子は、マリーナで仲良くなった榛名から

聞いた話を、隆に伝えた。

「一緒にヨットに乗ってくれる仲間のクルー

を募集して、その人たちと乗るんですって」

キャビン付きのヨット、セーリングクルーザ

ーでは、オーナーである所有者、キャプテン

だけでヨットを楽しむのではなく、クルーと

呼ばれる船員として、オーナーが所有するヨ

ットで一緒に乗って楽しむこともできる。

「ああ、クルー募集のことな」

隆は、麻美子に返事した。

「隆のヨットでも募集したらいいのに」

「春先になったら、うちにもクルー来るよ」

隆は、麻美子に答えた。