ニューヨークピュアラブストーリー：日本の商社のニューヨーク支店に勤める隆が、妹のゆみとニューヨークで暮らす二人暮らしのハートフルホームコメディ。 #ニューヨークピュアラブストーリー

今井隆は、マンハッタンに在る日本の商社に

勤めている。総務部勤務だ。

「間に合うかな、会社出るの遅れた」

隆は、自分の愛車のオールズモービルを運転

して、ケネディ空港を目指していた。

会社で内業をしていて、空港へ出発する時間

が少し遅れてしまったのだった。

「大丈夫、うちのは待たせておけば良いよ」

営業部の岡島さんは、空港に出かける隆には

そう声をかけてくれてはいた。

いま、隆がケネディ空港に向かっているのは

営業部長の岡島さんの家族のお迎えだった。

岡島さんは、ニューヨークは２回目の転勤で

前回は営業部の一社員だったが、今回は部長

としての転勤だった。

前回の転勤では、まだ存命だった隆の父とは

同期入社、同期同士でのニューヨーク支店勤

務の転勤だった。

当時、高校生だった隆は、父が亡くなってか

ら、岡島さんには大変世話になっていた。

隆の妹は、ニュージャージー州の病院で生ま

れた。妹は、生まれた時まだ未熟児だった。

そのため、生まれてからしばらくは、新生児

室の中で２週間ぐらい育てられた。

ようやく新生児室から出て来られて、母の腕

に抱かれて退院できることとなった。

「俺が抱っこしてあげたい」

退院の日、隆は病院のエントランスで母から

妹を受け取って抱っこした。生まれたばかり

の妹は、おかげで事故にあわず助かった。