中古車輸出・第150話

ゆみが中古車オークション会場で探し出した

バスの写真を送ってやると、マラウィの海外

バイヤーからすぐに返事が返ってきた。

「このバスを、送ってくれたプロフォーマイ

ンボイスの値段で買えるのか?」

「うん、なんとか大丈夫よ」

ゆみは、海外バイヤーに返事した。

ゆみが送ってあげたバスは、日野の28人乗

りで、通路には折りたたみの補助席も付いた

バスだった。

中古車輸出・第149話

だから、いつも少し見積額高いかなと思って

も、多めに金額を上乗せしてプロフォーマイ

ンボイスを書いていた。

でも、今回の海外バイヤーは予算ギリギリだ

し、シビアに見積もるしかなさそうだった。

「もっと、田舎のローカルな中古車オークシ

ョン会場の車から探すしかないか」

これとかは、どうかな。

「ゆみ、このバス良いじゃん、いいじゃん」

海外バイヤーからすぐに返事が来た。

中古車輸出・第148話

「うーん、このバスならどうかな」

ゆみは、中古車オークション会場のサイトで

古いバスとにらめっこしていた。

「もう少し安いのないかな?」

ゆみは、自分が見積もった金額で、会社が赤

字になってしまうのも嫌だった。

「会社には迷惑をかけたくないし」

計算間違いしてあると思っていた利益が無く

なってしまうのも、もっと嫌だった。

「私、計算が苦手だからな」

中古車輸出・第147話

「それでは、村の皆全員を乗せられない」

彼は、ゆみに相談していた。

もっとちゃんとした大きなバスが欲しいのね

偉いじゃない、村の皆のために大きな本格的

なバスで始めたいとか、ゆみは思った。

「少し古いバスになっても良いかな?」

「古くても良い、もう予算がギリギリで、こ

の予算で買えるバスないだろうか」

ゆみは、本当に村の皆のためのバスを探して

いるの見つけてあげたいなと思った。

中古車輸出・第146話

「そうか、バスの運転手になりたいのね」

ゆみは、今日も海外バイヤーとメールのやり

取りをしていた。

相手は、マラウィに住むアフリカ人で、マラ

ウィの村からザンビアの町へ通勤する人たち

が大勢いるのだが、彼らを町まで運ぶバスの

本数が少ないのだそうだ。

それで、バスの運転手になりたいようだ。

「ハイエースには、18人まで乗れるバスタ

イプの車があるのよ」

中古車輸出・第145話

しかも、横浜の貿易会社の会社IDで中古車

オークション会場に出入りし、そこで知り合

った日本人の中古車屋さんと仲良くなって、

中古車オークション会場の入会まで紹介して

もらってしまっていた。

「全く信じられないような奴だな」

社長は、彼のことを一際可愛がって、中古車

輸出業のことを指導していただけに、かなり

ショックを受けていた。

「何から何まで教えてやったのに」

中古車輸出・第144話

そのオーストラリア人も、入社後は、社長の

書いた教本を読んで、中古車輸出業のやり方

を覚えていた。

1ヶ月後、中古車輸出業のやり方を覚え終わ

ったからと横浜の貿易会社は辞めてしまって

会社のすぐ近所、徒歩15分ぐらいの所に事

務所を借りて、そこで自分の中古車輸出会社

を起業させてしまっていた。

「日本人なら考えられない恩知らずの奴だ」

社長は、彼のことを憤慨していた。

中古車輸出・第143話

「どうだ、できそうか?」

「はい、この教本を読みながらやれば、簡単

にできそうな感じです」

社長は、自分が書いた教本がわかりやすいと

言われて、嬉しそうだった。

ゆみが働いている横浜の貿易会社は、人の出

入りが激しい会社で、つい先日もウガンダの

人が入社後すぐに退社したばかりだった。

先日のオーストラリアの人も退社していて、

人の入れ替わりが激しい会社だった。

中古車輸出・第142話

「だめよ、バレバレなんだからサボりは」

シャランに言われてしまったゆみだった。

「なるほど、この本は読みやすいですね」

イアンは、社長に言われて、社長が著者の会

社で発売している、育成部門のオンライン通

信教育でも教本として使用している中古車輸

出業の教本を読んでいた。

オンライン通信教育の受講者たちが、読んで

いる教本だったが、会社に新人が入社した時

の新人教育用の教本としても使っていた。

中古車輸出・第141話

「私、いまグルジアの人と話してるから、そ

の海外バイヤーをあげようか」

ゆみは、イアンに言った。

「いや、それは、ゆみの海外バイヤーなんだ

から、ゆみがやれ」

イアンにロシア系の海外バイヤーを分けてあ

げようとしたら、部長に断られた。

「ゆみちゃん、グルジアのバイヤーとの取引

をサボろうとしたね」

「だって、私は営業じゃないし」

中古車輸出・第140話

ロシア、旧ソビエト連邦から独立した国々に

多い名前だった。

日本側の沿岸にある中国の港から、これらの

国々へは、鉄道が通っており、日本からコン

テナ船に中古車を載せて、そのまま輸送する

ことができた。

モンゴルなんかも、日本からコンテナ船で中

国の港経由で鉄道で輸送できる。

「ゆみ、告っちゃえば」

「だから、違うって」

中古車輸出・第139話

「今日から一緒に働くイアン君だ」

「よろしくお願いします」

白人の男性は、流暢な日本語で会社の皆に挨

拶した。ロシア系のカザフスタンから来た青

年だった。

「ゆみちゃん、良かったね」

「え、そんなんじゃないよ」

ゆみは、シャランに苦笑した。

カザフスタンやウズベキスタンとかスタンが

につく国名は、ロシア系の国だった。

中古車輸出・第138話

「面接に来ました」

「ありがとうございます、どうぞこちらへ」

ゆみは、背の高い白人を社長室へ案内した。

「ね、すごいかっこ良い人だと思わない」

「そうかな、私のタイプじゃないかな」

みなと横浜で、車の海外輸出をしている貿易

会社だけあって、ゆみの勤める貿易会社には

海外の人たちからの応募も多かった。

「背が高くてスラっとしてイケメン」

ゆみは、うっとりしていた。

中古車輸出・第137話

「うん、海外バイヤーに、どの車にするか聞

いているところ」

「そうか、入札するのはその後か」

「うん」

ゆみは、シャランに答えた。

「すみません、面接に来ました」

会社の入り口に背の高い白人が立っていた。

「はーい」

会社出入り口に一番近い席に座っているゆみ

が、来客者の対応もしていた。

中古車輸出・第136話

「あ、船が出航しない港もあるのか」

「そう、新潟会場なんかも横浜港まで陸送し

たりすることもあるわ」

「なるほど、落札した会場と輸出先の国への

船が出航する港と合わせて、陸送する港は考

えないといけないのね」

ゆみは、シャランに教えてもらっていた。

「あと、終わったらアフリカのハイエースも

落札するんでしょう」

シャランは、ゆみに聞いた。

中古車輸出・第135話

「そうか、福岡の会場で落札したから福岡の

港に陸送するのね」

ゆみは、シャランに頷いた。

「うん、大阪会場なら大阪港、名古屋会場な

ら名古屋港みたいに」

「なるほどね、北海道会場なら北海道港、沖

縄会場なら沖縄港ね」

「北海道とか沖縄だと船が直接出ていなかっ

たりするから、東北とか九州まで持ってくる

こともあるけどね」

中古車輸出・第134話

「シャラン、これで大丈夫よね」

ゆみは、初めて自分で書いた陸送申込書の内

容をシャランに見せた。

「うん、大丈夫じゃない。え、待って」

シャランは、経理担当の方に振り返った。

「伊馬さん、船は横浜から出すんですか?」

「ううん、福岡港よ」

「ですよね。だったら横浜港でなく福岡港に

陸送しなきゃ。福岡で落札した車は、福岡の

1番近い港から出す方が経費も効率も良い」

中古車輸出・第133話

「本当に落札出来ているんだ」

シャランは、経理担当の差し出した落札通知

の用紙を見て答えた。

「ゆみちゃんには、こっちね」

経理担当は、ゆみに陸送申込書を手渡した。

「今回、福岡から出すからアトラスさんに依

頼するから、船のブッキングは、こちらでや

るわ。だから、オークション会場から港まで

の陸送を依頼してちょうだい」

ゆみは、経理担当に命じられた。

「まだ、よくわからないよ」

中古車輸出・第132話

「え、もう落札したの?」

「うん」

ゆみは、シャランに頷いた。

「だって、入札、落札は簡単じゃない」

そこは、本職がウェブデザイナーだけに、パ

ソコンの操作はお手のものだった。

「落札するの早くない?」

「本当に落札されているわ。福岡のローカル

なオークション会場の車に落札したのね」

経理担当は、オークション会場からファック

スされてきた落札通知の紙を見せた。

中古車輸出・第131話

「ゆみちゃん、また中古車オークション会場

で落札しなきゃだね」

「うん、ミキサー車は、この間いっぱい扱っ

ているところ見つけたの」

ゆみは、シャランに答えた。

「じゃ、いまオークション会場用のパソコン

空いているから、今入札してきなよ」

シャランに言われて、ゆみは、会社で中古車

オークション会場用に使っているパソコンの

ところに移動すると、そこでミャンマー向け

のミキサー車を落札して戻ってきた。

中古車輸出・第130話

シャランが、ゆみに叫んだ。

「また入金あったのか、なんか海外バイヤー

とのやり取りにすっかり慣れたな」

社長が、ゆみに言った。

「うん、なんか最近は、海外バイヤーも皆、

割とすぐにお返事返してくれるの」

「そうか、返事の書き方にも慣れてきたな」

社長は、ゆみの進歩に満足そうだった。

「こうなってくると、この先は、おもしろい

ように車の注文が取れるようになるぞ」

社長は言った。

中古車輸出・第129話

「ね、ゆみちゃんじゃないの?」

シャランが、ゆみに聞いた。

「ミャンマーからは、もうお金入っているし

そんなに何件も、私のお金入らないわよ」

ゆみは、首を横に振った。

「もう1回確認してみな」

「あ、私かな?ハイエースの人かな?」

ゆみは、自分が送ったプロフォーマインボイ

スを1件ずつ確認して答えた。

「ハイエースなら180万なんだけど」

「ゆみちゃんじゃないの!」

中古車輸出・第128話

「私も、モルジブからはまだもう少し入金ま

でには、日数が掛かるかな」

シャランも、経理担当に返事した。

「70万ですかね?」

それぞれ営業担当者たちが経理に返事した。

「70万ではないわね、180万よ」

経理担当が答えた。

「180万の入金待っている人いないの?」

経理担当が、もう一度皆に聞いた。

「さあ、知らない」

誰も心当たりのある営業担当はいなかった。

中古車輸出・第127話

「220万の入金。ゆみちゃんでしょう?」

「そうかもしれない、ミャンマーの人よね」

ゆみは、経理担当に答えた。

「ずいぶん高いけど、なんの車なの?」

「ミキサー車」

ゆみは、経理担当に答えた。

「他に、シャランか誰かで入金を待っている

人は、いない?」

経理担当は、営業担当全員に聞いた。

「いや、今の所は誰も待っていないかと」

部長が、経理担当に答えた。

中古車輸出・第126話

「行ってみたいな。っていうか、マダガスカ

ルも大きな島なのね、私ずっとマダガスカル

ってアフリカ大陸の中にある国なのかと思っ

ていた」

ゆみが、パソコンで地図を確認しながら、常

識はずれなことを呟いているのを聞いて、シ

ャランは思わず自分のデスクで作業しながら

吹き出してしまっていた。

「ゆみちゃん、入金あったわよ」

マダガスカルを眺めていたゆみに、経理担当

から報告があった。

中古車輸出・第125話

「リングテールルマーのいる島よね」

ゆみは、シャランに答えた。

リングテールルマーは、黒白の、シマシマの

長い尻尾があるアライグマみたいな顔をした

シルバー色のお猿さんだ。

世界中の国の名前を、動物たちの故郷で覚え

ている動物好きのゆみだった。

「モーリシャスってきれいな島ね」

ゆみは、ネットでモーリシャスの島を確認し

て言った。世界のリゾートアイランドで、富

裕層たちの人気の観光地なのだそうだ。

中古車輸出・第124話

「次はモーリシャスか」

ゆみは、次の海外バイヤーからの返信メール

を開いて、中身を確認していた。

「モーリシャスってなに?」

ゆみは、オファーメールの内容を確認して呟

いた。モーリシャスってどこの国よ。

「アフリカの島よ。マダガスカルの向こうに

ある島」

シャランが、ゆみの大きな声の独り言に反応

して、返事をしてくれた。

「マダガスカルは知ってるわ」

中古車輸出・第123話

ハーイの後は、すぐにこんな車があるよって

海外バイヤーさんが希望している車を写真付

きで案内してあげるだけの方が、反応が良い

ように思えた。

それが、この1ヶ月間ずっと何十人もの海外

バイヤーとやり取りしてきての、ゆみとして

の海外バイヤーへの返信のやり方だった。

他の人にとっては、会社の自己紹介から始め

て、やり取りをスタートさせるのがベストな

のかもしれない、でもゆみにとっては、返信

での会社案内とかは不要という結論だった。

中古車輸出・第122話

「なんか会社の自己紹介みたいのいらない気

するな」

ゆみは、いつもオファーメールへの最初の返

信では、私は横浜の貿易会社の何々で、こん

な仕事をしていますみたいな自己紹介を付け

ていたが、何回か海外バイヤーに返信してい

るうちに特に自己紹介は必要ないように感じ

てきていた。

「ハーイ、誰々さん。アムユミー」

それだけで十分だなと感じていていた。

「その後の自己紹介は無くてもいいな」

中古車輸出・第121話

「マラウィの海外バイヤーさんなんだ。ラン

ドクルーザーをご希望ですね」

アフリカは、動物たちがたくさん暮らすサフ

ァリが多いのか、ジープ特にランドクルーザ

ーのオファーが多かった。

もちろん、ハイエースコミューターのオファ

ーも多いのだが、それと同じぐらいにランド

クルーザーのオファーも多かった。

「何に使うのだろうか。ライオンさんとかキ

リンさんの世話とかするのかな」

ゆみは、アフリカの様子を想像していた。

中古車輸出・第120話

それらの情報を写真と共に、ミャンマーの海

外バイヤーへ返信してあげた。

「そしたら、ミャンマーは、お返事が来るま

で待っていればいいから」

ゆみは、次のメールを開いた。

「次は、アフリカの方ね」

ゆみは、まるで自分のメールボックスに入っ

ている海外バイヤーたちが、歯医者の待合室

で診察の順番待ちしているように、いや銀行

で受付の順番待ちしているように見立てて、

メールを順番に対応していた。

中古車輸出・第119話

ゆみは、オークション会場のサイトにログイ

ンすると、ミキサー車を検索してみる。

けっこう、いろいろなミキサー車が出品され

ていた。

ゆみは、個人的にタマゴの形をしたタンク部

分にEGGと書かれているミキサー車が可愛

くて好きだった。

「彼の予算に、はまるミキサー車で何か良い

ものはあるだろうか」

ゆみは、オークション会場サイト上でいくつ

か良さそうなミキサー車を選んだ。

中古車輸出・第118話

シャランは、ゆみに答えた。

シャランはシャランで、自分の海外バイヤー

を相手にしていて、ゆみの海外バイヤーのこ

となど相手にしている暇も無さそうだった。

ゆみは、自分の海外バイヤーへの返信に集中

するしかなかった。

「そうなんだ、ミャンマーで工事現場で使う

ミキサー車がほしいのね」

ゆみは、ミャンマーからの海外バイヤーのメ

ールを確認していた。

「ミキサー車は、いっぱいあるよ」

中古車輸出・第117話

「車の注文取ったら終わりじゃないからね、

相手の海外バイヤーのところに、ちゃんと車

を届けるまでが私たちの仕事よ」

シャランは、ゆみに説明した。

「はい!わかりました、シャラン先輩」

ゆみは、シャランにお辞儀をした。

「それじゃ、ゆみちゃんも海外バイヤーの返

信の続きをやっていいわよ」

「はい、シャラン。私さ、海外バイヤーから

の返事の数が増えてるみたいなの」

「それは良かったね」

中古車輸出・第116話

「うん、手続き終わったら、それを船の会社

今回はアマカップにも知らせてあげるの」

シャランは、自分の手を動かしながら、ゆみ

にも説明していた。

「はい、今日のところはここまでかな」

シャランは、ゆみに言った。

「後は、書類の手続きが終わったり、車が港

へ陸送終わったりしてから、その都度、一緒

に業務を進めていきましょう」

「今日は、ここまで?」

「そうね」

中古車輸出・第115話

「これって、ゆみちゃん担当なのだから、ゆ

みちゃんの仕事なのよ」

シャランは、ゆみに命じた。

「今回は、私が行政書士に依頼するけど」

シャランは、ゆみに説明した。

「次からは、ゆみちゃんが自分で行政書士に

電話して、輸出抹消お願いしますって依頼す

るのよ」

シャランは、ゆみに命じた。

「お願いすれば、あとはぜんぶ行政書士が全

ての手続きをやってくれるの?」

中古車輸出・第114話

「じゃ、私は自分の仕事に戻ってもいい?」

ゆみは、シャランに聞いた。

「だめよ、まだ、車を港に移動するように手

続きできて、船のブッキング予約ができただ

けなんだから」

シャランは、話を続けた。

「これから輸出の手続きもしなくちゃ」

シャランは、ゆみに言った。

「行政書士さんに依頼して、ポルシェの車検

証を輸出抹消手続きするのよ」

と、ゆみに伝えた。

中古車輸出・第113話

ゆみは何もせずに、シャランに船の手配全部

をやってもらってしまっていた。

「次からは、ゆみがやるんだからね」

シャランは、ゆみに言った。

「え、無理」

「無理じゃないのよ」

「覚えられないもの」

ゆみが言った。

「なんでよ、まず陸送の手続きをして、次に

船のブッキングをするだけでしょう」

シャランは、ゆみに言った。

中古車輸出・第112話

「陸送手続きは終わりました。船のブッキン

グもしますか?」

シャランは、経理担当に確認した。

「お願い、行き先はドイツのブレマハーベン

港だからアマカップに頼んで」

シャランは、アマカップジャパン、ヨーロッ

パ航路の自動車専用船に連絡を入れて、ポル

シェをドイツまで輸送する船のブッキング予

約をした。

「これでドイツまで運んでもらえるのね」

ゆみは、シャランに聞いた。

中古車輸出・第111話

経理担当は、ゆみに説明した。

「シャラン、静岡会場だから、ゆみちゃんと

一緒に車の陸送手続きを手配しておいてちょ

うだい」

「陸送先は横浜港で良いですか」

シャランは、ゆみを自分の席に呼ぶと、ゆみ

が落札したポルシェをオークション会場から

横浜港へ運ぶ陸送の手続きをした。

ゆみは、シャランが陸送の手続きしてくれる

のをただ眺めていた。

「シャラン、仕事が早いのね」

中古車輸出・第110話

「落札できたのだったら、ちゃんと落札した

ことを報告してくれないと」

経理担当は、ゆみの頭をポンと撫でながら言

った。そのままファックス機を確認しに行っ

て、オークション会場から届いていた落札通

知を持って、戻って来た。

「落札したら、すぐにオークション会場に落

札金額を振り込まないと車を仕入れられなく

なってしまうのよ。次からは落札したらすぐ

教えてちょうだい」

経理担当は、ゆみに説明した。

中古車輸出・第109話

ゆみの入札金額より多い入札があったので、

ゆみも少しだけ自分の入札金額を上げた。

「これで落札できるかな」

ゆみは、状況を確認していた。

「いけそうな気がする」

ゆみは、一仕事を終えた顔で、中古車オーク

ション会場のアカウント情報が入っているパ

ソコンから自分の席に戻って来た。

「落札できたの?」

戻ってくる途中、経理担当に聞かれて、ゆみ

は、うんと頷いた。

中古車輸出・第108話

「このポルシェから入札してみるか」

ゆみは、まず1台目に入札してみた。

「このポルシェが落札できたら良いのにな」

ゆみは、最初に入札してみたポルシェの入札

状況を確認しながら考えていた。

このポルシェが、ドイツの海外バイヤーが1

番気に入ってくれていた車だった。

「あー、入札されてしまった」

中古車オークション会場のサイトは、リアル

タイムで入札状況を確認できる。

「また入札しなきゃ」

中古車輸出・第107話

ゆみは、中古車オークション会場のサイトに

ログインして、ポルシェを探すのだった。

探したポルシェをドイツの海外バイヤーに確

認してもらい、OKの出たポルシェに入札し

落札を試みるのだ。

「なんか、これちょっと押してみたかった」

中古車オークション会場のサイトにログイン

すると、いろいろ出品されている車の真下に

ある入札ボタンを眺めて、ゆみは思った。

このボタンって、ちょうど良い場所にあって

押してみたくなるのよね。

中古車輸出・第106話

シャランは、ゆみに言われて中古車オークシ

ョン会場のサイトを覗きこむ。

「シャランは、ポルシェの仕入れは、やらな

くて良いぞ」

部長と社長が、シャランに命じた。

「ドイツの海外バイヤーは、ゆみが取ってき

た仕事だろう」

社長は、ゆみに言った。

「ゆみが、ポルシェの仕入れからドイツまで

の船積み、最後まで自分でやりなさい」

ゆみは、社長に命じられたのだった。

中古車輸出・第105話

「いや、1回注文が取れたぐらいで、皆がち

ゃんとしたバイヤーとわかるわけないよ」

「私も、またドイツ以外にも、新しいバイヤ

ーから注文取るのね」

ゆみは、部長とシャランに答えた。

「でも、その前にまずドイツのポルシェを仕

入れて、車を輸出してあげてちょうだい」

ゆみは、経理担当である社長の奥さんから指

示されたのだった。

「ね、シャラン。ポルシェ仕入れてくれる」

ゆみは、シャランにお願いした。

中古車輸出・第104話

「それじゃ、シャランは85万にしなさい」

社長は、シャランに言った。

全営業担当者の来月の目標金額が決まった。

この目標金額を目指して、各自で来月からの

仕事を頑張っていくことになる。

「私、オファーメルーの海外バイヤーがちゃ

んとしたバイヤーだってことがわかれば、も

う中古車輸出はしなくても良いんだけど」

「そうだよね」

シャランは、ゆみに頷いていたが、部長は否

定した。

中古車輸出・第103話

「次はシャラン」

社長がシャランのことを指した。

「そうね。今、スリランカの近くのモルジブ

島のバイヤーを進めているんだけど、何人か

のバイヤーとは、話が進み始めたので、それ

を達成しようかなと」

「わかった。それで来月の目標値は?」

「そうね、70万ぐらいで」

「お前、ゆみより車の輸出は先輩だろう。ゆ

みが80万なのに、ゆみより下なのか」

「うーん、90で。いや80万にしたい」

中古車輸出・第102話

「今月からは、月の売上げを報告した後で、

その総括と来月の目標を言うようにしよう」

社長は、皆に提案した。

「まず、今井から来月の目標は?」

ゆみが返事に困っていると、社長が目標を決

めてくれてしまった。

「今月55万だったから倍、流石に倍は難し

いか、それじゃ80万にしよう」

「はい」

ゆみは、いきなり80万と言われても、多い

のか少ないのか全然ピンときていなかった。

中古車輸出・第101話

「うん。それで粗利はどのぐらいだ?」

「粗利?よくわからない」

ゆみが言うと、会社の経理担当が代わりに電

卓で計算し、報告してくれた。

「55万ですかね」

「1台だけで55万」

「1台で55万っていうのは、けっこう良い

取引になってくれたな」

社長も褒めてくれた。

「私、なんか見積りで計算間違いしたかな」

ゆみは、不安そうに社長へ答えた。

中古車輸出・第100話

「ドイツの海外バイヤーさんのこと?」

「そう!」

「だって、1台しか売れてないよ」

社長が、ゆみに頷いた。

「その売上げと粗利を皆の前で報告しろよ」

社長が命じた。

「え、何をどう報告したらいいの?」

ゆみは、報告する内容がわからずにいた。

「ポルシェだろう?ポルシェとドイツまでの

船賃でいくらもらったんだ?」

「え、180万」

中古車輸出・第99話

「ホームページの制作は、もう通信教育の売

上げにしっかり入っているってさ」

社長は、ゆみに言った。

オンライン通信教育に申し込んだ人のホーム

ページ作成は、本体の受講料とは別にオプシ

ョンで制作料金を頂いていた。

「ホームページ制作じゃなくて、別におまえ

の売上ががあるだろう」

「私?」

「あるだろう?」

社長が、再度ゆみに聞いた。

中古車輸出・第98話

「次、今井も報告あるだろう」

全員の報告が終わった後で、社長がゆみに声

をかけた。

「あ、はい」

ゆみは、社長に返事した。

「今月は、1名ホームページ作りました」

「ああ、ホームページの制作な」

社長は言った。

「その売上げは、どうなっている?」

「さっきの売上げにもう入っています」

育成部門担当者が、社長に答えた。

中古車輸出・第97話

シャランに続いて、営業担当者たちが順番に

自分の売上げを報告していく。

輸出部門の営業担当者たちの報告が終わると

続いて育成部門の担当者たちが売上を報告し

ていた。育成部門の売上げとは、オンライン

通信教育の新規受講者、参加者たちの数を報

告することだった。

オンライン通信教育は、ウェブから受講の申

し込みができて、その際に受講料を収める。

この受講料が、育成部門担当者たちの売上げ

としてカウントされるのだった。

中古車輸出・第96話

「さあ、売上げ報告会議を始めるぞ」

部長が、会社の皆に声をかけた。

今日は月末、月の最後の日なので、毎月、各

自の売上げを報告する報告会議の日だった。

「よし、シャランから発表するか」

「今月は170万で、粗利が40万ぐらいで

した。もう少しいくかとも、思ったんですけ

ど、少し足りなかったです」

部長に言われて、シャランがまず最初に、自

分の今月の売上げ金額とおおよその粗利を報

告していた。

中古車輸出・第95話

「もしかして、私が車の注文取れたの?」

「そうよ!ゆみちゃんの売上げよ」

シャランは少し興奮して、ゆみに言った。

「え、そうなの?どうしよう?どうしたら良

いのかな?」

ゆみの方は、少し困惑していた。

「ゆみ!初注文じゃないか!」

それを聞いて、社長も興奮したような大きな

声で、社長室から飛び出てきた。

「やったな、初注文!」

社長が、ゆみのことを喜んでくれた。

中古車輸出・第94話

シャランは、ゆみがドイツの海外バイヤーに

作ったプロフォーマインボイスを確認した。

「ゆみちゃんじゃないの!」

シャランは、ゆみに大声で伝えた。

「え、私じゃないよ」

「ほら、プロフォーマインボイスの金額を見

てごらんよ」

シャランは、ゆみに見せた。

「これは、計算したら大体160万かなって

計算してあげただけよ」

「だから今朝、160万入金があったの!」

中古車輸出・第93話

「どなたかしら?大きな金額の入金があった

んだけど」

会社の経理から会社の口座に入金があった

ことを営業担当者たちに告げられた。

「そんな金額は覚えがない」

どの営業担当者たちも、経理担当のいう金額

には、心当たりがなかった。

「ね、ゆみちゃんじゃないの?」

シャランが、ゆみに聞いた。

「知らない」

ゆみは、シャランに答えた。

中古車輸出・第92話

当時は、シャランからもらったワードで作成

されたプロフォーマインボイスを使用するし

かありませんでした。

現在では、クラウド上で作成できるプロフォ

ーマインボイスを開発、導入しました。

なので、これから中古車輸出業を始める方に

とっては、チープビーグルランド上でプロフ

ォーマインボイスを作成できるので、便利で

楽になったと思われます。

チープビーグルランド上のプロフォーマイン

ボイス作成システムを利用しましょう。

中古車輸出・第91話

「なんか面倒くさいな」

ゆみは、プロフォーマインボイスに、車の金

額とドイツまでの船賃、輸送料を記載してか

ら、送金先である会社の銀行口座をスイフト

コード付きで記載した。

「もう少し簡単に作成できたら良いのにな」

ゆみは、この時のプロフォーマインボイスが

クラウド上で金額とかを記載するだけで作成

できたら便利なのにと思っていたので、Ch

eapVehicleLandでは、クラウ

ド上で作成できるようにしました。

中古車輸出・第90話

シャランが返事に困っていると、奥の席で2

人の会話を聞いていた部長が教えてくれた。

ゆみは、シャランからプロフォーマインボイ

スのテンプレートファイルをもらって、ドイ

ツの海外バイヤー宛のものを作成した。

「お返事ありがとう」

ゆみは、ドイツのバイヤー宛に返信した。

「プロフォーマインボイスを作成しましたの

で、お送りします。ご検討ください」

なるだけ、自分がにわか中古車輸出業者だと

思われないように書いたつもりだった。

中古車輸出・第89話

「見積書?」

シャランは、スリランカ人なので時々わから

ない日本語もあった。

何か物を買う時に、いくらかわからないから

営業の人に金額を教えてと聞くと、作っても

らえる書類とゆみが説明した。

「うーん、見積書で良いのかな?」

「正確には、プロフォーマインボイスと見積

書は違うものだけど、まあ、そんなようなも

のと考えてもいいよ」

部長が、ゆみに答えた。

中古車輸出・第88話

「正式なインボイスの前に送る予備のインボ

スのことよ」

「予備のインボイス?」

「プロフォーマインボイスの価格とかを確認

して、海外バイヤーが注文するか決めるの」

「見積書みたいなものね」

「見積書?」

今度は、シャランの方がゆみに質問した。

「見積書のことじゃないの?」

「何それ?」

シャランは、ゆみに聞き返した。

中古車輸出・第87話

それなりに、けっこう日本の市場にも、ポル

シェの車ってたくさんあるじゃないの。

見つけた車を何台かドイツの海外バイヤーさ

ん宛にメールで教えてあげた。

「シャラン、プロフォーマインボイスってな

に?どうやって作るの?」

ゆみは、シャランに質問した。

ドイツの海外バイヤーが車を教えてくれてあ

りがとう、良い車が日本市場にもあることが

わかったので発注したいから、プロフォーマ

インボイスが欲しいという返事だった。

中古車輸出・第86話

「ゆみ、お返事ありがとう」

ゆみは、ドイツの海外バイヤーさんからのメ

ール内容を確認した。

80年代ぐらいの古いベンツやポルシェの車

がほしいのだけど、そちらの市場に、いくつ

か在庫があるだろうか。もしあるのならば、

まずはポルシェの車で取引を始めたいという

内容だった。

ゆみは、早速中古車オークション会場のサイ

トにログインすると、ポルシェの車を検索し

てみた。

中古車輸出・第85話

「私、お返事書いてみようかな」

ゆみは、シャランに言った。

営業担当者皆が、いたずらだと言い、誰もお

返事を書こうとしなかったので、そのまま放

ったらかしでは、かわいそうだなとも思った

のだった。

そして、ドイツの海外バイヤーさんにお返事

を書いてみたのだった。

「ゆみ、お返事ありがとう」

次の日、ドイツの海外バイヤーさんからゆみ

宛にお返事が返ってきていた。

中古車輸出・第84話

「そんなの無視しておきなよ」

シャランは、ゆみにアドバイスした。

「どうして?」

「だってポルシェってドイツ製の車だよ。な

んでドイツの人がポルシェ欲しいって日本に

オファーしてくるのよ」

シャランは、ゆみに言った。

「そうなのかな?」

でも、いつもお返事はアフリカとかの人ばか

りだったから、ゆみとしては、なんかヨーロ

ッパの人と話してみたくなった。

中古車輸出・第83話

そして、社長と部長の予想通り、ゆみの初注

文が取れる日は近かった。

「え、ポルシェが欲しいって、ヨーロッパの

海外バイヤーさんがいるんだけど」

ゆみは、その日のオファーメールの内容を確

認していて気づいた。

いつも、オファーメールはアフリカや中東ア

ジア、オセアニア、カリブ諸島など南米から

来るものが多かった。

「ドイツ、ヨーロッパから来るオファーメー

ルなんて初めて見た」

中古車輸出・第82話

「でも、換金できるかもしれないし手続きぐ

らいしてみるか」

社長は、ゆみに聞いた。

「え、やっぱ辞めておく」

「換金できるか手続きぐらい試してみるか」

社長に言ってもらえたが、ゆみは断った。

「頑張ってもっとちゃんとした海外バイヤー

から注文もらう」

「そうか、それならば頑張ってみなさい」

社長は、ゆみに言った。

「今井なら、もう少しで車の注文取れるさ」

中古車輸出・第81話

「万が一、換金できるかもしれないから換金

手続きだけしてみるか」

「換金できたらトラック200台仕入れて、

輸出するの?」

「うまく200台仕入れられたとしても、犯

罪に使われる車に貢献することになるかもし

れない」

社長は、ゆみに警告した。

「やっぱり、辞めよう」

ゆみは、社長がゴミ箱から拾い上げた手紙を

再度ゴミ箱に捨てながら言った。

中古車輸出・第80話

「確かに、私がイランからのオファーメール

に返信したけど、全く何も返事をもらえなか

ったから駄目だったんだなと思って忘れてい

たんだけど」

ゆみは、社長に言った。

「詐欺だとは思うけどな」

社長は、ゆみに言った。

「この書き留めも?」

「ああ、偽物の書き留めだろう、恐らく換金

もできない偽物だろう」

ゆみは、手紙をデスクのゴミ箱に捨てた。

中古車輸出・第79話

「私が見積もった金額じゃないんだけど」

ゆみは、社長にイランの人に見積もった時の

メールを見せた。

「金額は合っているけどな」

ゆみが見積もったのは、トラック1台分の金

額だった。社長は、計算機を使って、台数を

かけてみると、その途方もない金額は、ぴっ

たしの金額ではあった。

「それじゃ、車が売れたってこと?」

「なんとも言えない、現金書留だしな」

社長は、悩んでいた。

中古車輸出・第78話

今井ゆみは、社長から会社に届いた手紙を手

渡された。

「え、何これ」

ゆみは、社長から手渡された手紙の封筒を開

けると、中身を確認してみた。

丁寧なメールをありがとうと書かれていて、

日野レンジャーのトラックを200台順番に

送ってほしいと記載されており、手紙と一緒

に途轍もない金額が記載された書き留めが同

封されていた。

「なんなの、この金額」

中古車輸出・第77話

「なかなか車の注文取れないな」

月末の売上げ報告会議の時、今井ゆみは社長

にも言われてしまっていた。

このままでは、本当にうちの会社のサイトか

ら来るオファーメールは、いたずらやスパム

メールばかりってことになってしまうなと冗

談交じりに、社長はゆみに言った。

「来月こそ絶対1台は車の注文取ります!」

「よし、頑張れ」

ゆみは、悔しくて思わず報告会議で社長に宣

言してしまっていた。

中古車輸出・第76話

さすがに大型注文だったし、中古車輸出業の

素人営業担当じゃ相手にもされなかったか。

その後も毎日のように、営業担当者たちにオ

ファーメールを振り分けるだけでなく、自分

でも届いたオファーメール宛に返信し続けて

いたのだったが、いずれも、たまにお返事が

返ってきて、その海外バイヤーには、さらに

返信を書いて、メールのやり取りを続けては

いたのだが、なぜか車の受注までには至らな

かった。

「どうやったら、注文を取れるのだろう」

中古車輸出・第75話

今井ゆみは、イランの海外バイヤーにそのこ

とを伝えてあげた。

2015年ぐらいのものからいくらでも揃っ

ているから、注文してもらえれば、すぐにで

も輸出してあげられるよ。

今井ゆみは、イランの海外バイヤーには、け

っこう丁寧に自己紹介も入れて返信してあげ

ていたつもりだった。

だが、なぜか何も返事をもらえなかった。

「トラックの大量注文だものね」

流石に、私じゃ受注できないか。

中古車輸出・第74話

今井ゆみは、中古車オークション会場にログ

インすると今度は「日野レンジャー」で検索

してみる。

中古車オークション会場の使い方にも、だい

ぶ慣れてきていた。

日野レンジャーの落札相場を確認し、古いも

のから新しいものまで豊富に揃っていること

も確認できた。

「うん、いいトラックいっぱいある」

これなら大丈夫と、今井ゆみは思った。

「お願い、イランの人、どれか買ってね」

中古車輸出・第73話

今井ゆみは、タンザニアの海外バイヤーとは

そんな会話を長々といろいろお喋りを続けて

けっこう感触は良い感じだった。

なのに、車の受注までには至らずに、メール

は途切れてしまった。

「残り1件はイランの人か」

今井ゆみは、イランから届いたオファーメー

ルの内容を確認した。

建設会社と取引している人なのだろうが、日

野自動車の日野レンジャーというトラックを

現場で大量に必要だという依頼だった。

中古車輸出・第72話

コミューターの中でも、天井が高く盛り上が

っているハイルーフタイプのものが特に好ま

れる。アフリカの海外バイヤーからハイエー

スと言われたら、ハイルーフのハイエースコ

ミューターで探すと話が通じやすい。

アフリカの海外バイヤーで、ハイルーフのハ

イエースコミューターがほしいと望んでくる

バイヤーは、大概そのバスを使ってタクシー

乗り合いバスを始めたいという人が多い。

「アフリカって、バスの運転手さんになりた

い人がすごく多いのね」

中古車輸出・第71話

ハイエースには、何種類かあって、普通に後

部座席があるもの、後部が全て荷物入れにな

っているもの、車椅子などが乗れるようにな

っているもの、座席数が18人分あるバスタ

イプのものがある。

「アフリカってコミューターばかりなのね」

特にアフリカでは、この18人分の座席があ

るハイエースコミューターというものが人気

で、コミューターで探ておくと話が早い。

いわゆるよく田舎で走っている路線バスより

車体の小さいコミュニティーバスのことだ。

中古車輸出・第70話

そんなところに18人も乗れるわけないよ。

18人乗れるハイエースは、ハイエースコミ

ューターっていうハイエースのことよ。

「ハイエースコミューター?」

「オークション会場で検索してみなよ」

シャランに言われて、ゆみは中古車オークシ

ョン会場にログインして、検索してみた。

「あ、バスみたいなハイエースじゃん」

「バスだから」

シャランは、ゆみの返事に苦笑していた。

「こういうハイエースが欲しいのね」

中古車輸出・第69話

「このハイエースって18人乗れるのか」

今井ゆみが返答すると、タンザニアの海外バ

イヤーからさらに質問がきた。

確かに、後部は広い荷物入れになっているけ

ど18人も乗れるのかな、乗れても椅子がな

いから乗るの大変じゃないかな。

「シャラン、ここに18人も乗れる?」

今井ゆみは、シャランに、自分が海外バイヤ

ーに送った写真を見せながら質問した。

「そんなところに人は乗れないよ」

シャランは、ゆみに答えた。

中古車輸出・第68話

「この値段だったら、嬉しいんだけど」

タンザニアの海外バイヤーからゆみの所に返

事が返ってきた。

「この車は、18名乗れるのか?」

「18人も乗せたいの?」

「乗り合いタクシーをしたいからね」

海外バイヤーは、ゆみに言った。

タンザニアの人は、乗り合いタクシーの運転

手さんなのね。

「ハイエースの荷台に、ベンチシートとか置

けば、18人ぐらい乗れるのかな」

中古車輸出・第67話

今井ゆみは、また中古車オークション会場の

サイトにログインすると、ハイエースの落札

相場を確認していた。

ハイエースってすごく高い車からけっこう安

い車までいろいろあるのね。

前回は、パキスタンの人に安く安く言われて

お返事ももらえなくなってしまったし、高い

ハイエースで欲張るよりも、あんまり高くな

い方のハイエースで話を進めた方が、きっと

注文してもらえるわね。

「安めの車、安めの車」

中古車輸出・第66話

この国ならば、さすがにウェブの仕事しかし

ていない今井ゆみでも、車1台ぐらいの注文

ならば取れるだろう。

「タンザニアさんからは、車の注文をもらえ

るといいな」

と強く思っていた。

今井ゆみは、前にパキスタンからのオファー

メールの時に、シャランに聞いた返信の書き

方を思い出しながら、自分のこと、会社の自

己紹介から順番に返信文を書いていた。

「今度の車はハイエースか」

中古車輸出・第65話

今井ゆみに返事をくれた残りの2人、1人は

タンザニアの海外バイヤーだった。

タンザニアは、アフリカ大陸の右下辺りにあ

る国だ。アフリカの国は、日本から世界へ輸

出されている中古車の国の中で最もポピュラ

ーな国の一つだった。

「この国ならば、楽勝で受注できるわよね」

タンザニアやケニアなどアフリカの国々は、

月末にいつも会社でやっている売上げ報告会

議でも、シャランを始め、どの営業担当者も

普通に輸出している国だった。

中古車輸出・第64話

うちの会社だって、いろいろな経費も掛かっ

ているのだし、これ以上は、さすがに無理よ

と一言つけ加えて返答すると、その先は何も

返答が無くなってしまった。

「これ以上、安くしすぎても」

「それはそうだよな」

部長はともかく社長は、今井ゆみの方針に納

得してくれた。

「パキスタンの奴らは。値引きが多すぎるか

ら、全然おもしろくないぞ」

社長は、ゆみに答えた。

中古車輸出・第63話

最初から安く見積もらなくても、商談の中で

もう少し安くしてあげないとだめそうな方に

は、後から多少低く見積もり直してあげるよ

うにしてあげよう。

「少し高くないか」

ゆみは、見積もった金額をパキスタンの海外

バイヤーに提出すると、パキスタンの海外バ

イヤーから返答がきた。

そうね、それじゃと、ゆみは7500円だけ

提示した金額より引いてあげた。

「このぐらいならば良いでしょう」

中古車輸出・第62話

利益の出し方は、担当者それぞれで全然違っ

ていて、2万か3万ぐらいで安く見積もって

数を売って利益を得ていこうというタイプ、

営業経費などを考慮して5万、10万ぐらい

と強気で見積もるタイプなどに別れていた。

「でも経費とかも掛かるし、8万ぐらいは足

しておいた方が安全かな」

今井ゆみは、営業担当者皆の意見を参考に考

えていた。

「安く見積もりすぎて、赤字になってしまっ

たら大変だものね」

中古車輸出・第61話

中古車オークション会場で落札すると会場の

手数料、1・5万ぐらいに輸出手続き料2万

ぐらい、会場から近くの港までの陸送料2万

ぐらいが掛かる。

それに、後は自分たちの会社の利益も足さな

ければならない。

「利益は5・5ぐらい足せばいいかな」

ゆみは、シャランに言った。

「利益ってどのぐらい足すの」

今井ゆみは、シャランたち営業担当者に聞

いて、周っていた。

中古車輸出・第60話

本日出品されているたくさんのトヨタノアの

車が表示された。

年式や走行距離などによっても変わってくる

が、だいたいの落札時の相場価格なんかも確

認できるようになっていた。

「そうね、80万ぐらいかな」

今井ゆみは、向かいの席のシャランにも聞こ

えるぐらいの大きな声で呟いてみた。

「それに、会社の手数料とか陸送料なども、

ちゃんと足さないとだめよ」

シャランがゆみに言った。

中古車輸出・第59話

「さて、なんてお返事しようかな」

今井ゆみは、受け取ったメールの内容を確認

しながら考えていた。

いくらぐらいかと聞いてきているのだから、

ノアの値段を教えてあげないといけないね。

ゆみは、パソコンで中古車オークション会場

のページを開くと、会社のアカウントでログ

インした。

「トヨタのノア」

中古車オークション会場の検索フォームにト

ヨタノアと入力して検索する。

中古車輸出・第58話

「シャラン、お願い」

「わかった。後は任せて」

シャランは、ゆみに返事した。

「いや、待った。なんで、シャランがやるん

だ。ゆみ、おまえが最後までやらなければ、

車の受注したことにならないだろうが」

部長が、ゆみに言った。

「車の値段とかわからないんだけど」

「中古車オークション会場にログインして、

自分で調べられるだろう」

部長は、ゆみに言った。

中古車輸出・第57話

昨日、今井ゆみが書いたお返事のメールに対

して、さらに今井ゆみ宛に追加のお返事をく

れた海外バイヤーはぜんぶで3人だった。

その1人がパキスタンの人で、黒色もしくは

白色、シルバー色のノアが欲しい、いくらで

出してもらえるのかと聞いてきていた。

「いくらで出してもらえるかなんて、私だっ

て知らないよ」

ゆみは、そう独り言を呟くと、シャランに渡

して、後はシャランに車の値段とか商談を進

めてもらおうと思っていた。

中古車輸出・第56話

ゆみは、まるで営業部に新人が新しく入った

みたいに、ずっと部長が付きっきりで、色々

アドバイスされながら、メールを書かされて

いたのだった。

「あら、お返事が来てる」

今井ゆみは、次の日の朝、新しく届いたばか

りのオファーメールをプリントアウトして営

業担当者皆に配り終えると、自分のメールア

ドレスの内容を確認していた。

「パキスタンの人か、トヨタのノアが欲しい

と言っていた人ね」

中古車輸出・第55話

「ああ、なんか肩が凝った」

今井ゆみは、横浜の会社から東京の自宅へ帰

るために、自分の車を運転しながら呟いた。

結局部長に言われて、いろいろと自分で試行

錯誤しながらも、それぞれの海外バイヤー宛

にそれぞれ文面の内容を変えながら、何通も

何通も返信することになってしまった。

「私は、オファーメールの海外バイヤーがち

ゃんとした海外バイヤーかどうかを確認でき

れば良いだけで、別にずっと車の営業なんか

するつもりないんだけどな」

中古車輸出・第54話

シャランと一緒の内容でメールしたとしても

今井ゆみが同じように車の注文を取れるわけ

ではない。

シャランの文面は、あくまでシャランが車の

注文を取れる文面であって、今井ゆみは今井

ゆみが車の注文を取れる文面を自分で見つけ

ない限り、いつまでも海外バイヤーから車の

注文なんて取れないからな。

「今井が車の注文を取れる文面は、自分で何

度も何度も文面を変えていろいろ返信してい

く中で見つけなさい」

中古車輸出・第53話

どうせ、オファーメールにちゃんとお返事が

くるかどうかのお試しで書くだけなのだから

メールの内容なんて、シャランと同じでも良

いと思っていた今井ゆみだったが、部長に言

われて、結局ぜんぶメールの内容を自分なり

の文章で書き直して、返信することになって

しまったゆみだった。

「シャランと同じ内容にしたからといって、

今井が車の注文を取れるようになるわけじゃ

ないからな」

部長は、今井ゆみに言った。

中古車輸出・第52話

「その内容じゃ、メールが、ほぼシャランの

書いたメールじゃないか」

今井ゆみの席の背後に来て覗き込んでいた部

長が、今井ゆみに言った。

今の内容ではシャランのメールの内容に、名

前だけYumiと書き換えただけだろう。

文章なんて文法が下手でもどうでも良いから

もっと今井らしさを全面に出して、ただし車

のプロ意識を持って返事を書きなさい。

「はーい」

ゆみは、部長に返事した。

中古車輸出・第51話

今井がウェブデザイナーだとか、車のことは

よくわかっていないなんていうのは、向こう

には関係ないんだからな。

向こうの海外バイヤーは、あくまでプロの車

屋から安心して車を購入したいのだから、今

井が素人だと思われたら不安になるだろう。

ある程度、知ったかぶりみたいになっても良

いから、私は車のプロだという自負を持って

海外バイヤーとは接しなさい!

「はい、わかりました」

今井ゆみは、一番奥の席の部長に答えた。