世界巡航記・第2話

姉の祥恵は、ゆみに言った。

「迷子にならないでよ」

祥恵も、ゆみの手をしっかり握り返しながら

答えた。初めてのフランスでいきなり妹が迷

子になって、姉妹がバラバラになってしまっ

たら大変だ。

「これからどうするの?」

「まずレンタカーを借りて、出来上がったヨ

ットが置いてある造船所に向かいましょう」

祥恵は、ゆみに言った。

「造船所って遠いの?」

世界巡航記・第1話

ゆみは、姉と日本から飛行機でフランスの空

港に降り立った。

「いよいよ、ヨットで世界じゅうをクルージ

ングするんだね」

「お母さんも私たちと一緒にクルージングし

たかったな」

ゆみは、小さい頃、自分が生まれたニューヨ

ーク以来、初めての外国の地にしっかり姉の

手を握りしめていた。

「ゆみは、いつまでも甘えていないで、もう

少しお母さんから自立しなさいよ」

NY恋物語・第175話

ゆみが良明をみると、良明は首を振った。

「私と一緒にライブラリーに出るって」

ゆみは、ヒデキに答えた。

「良明君も、私と同じアスター先生のクラス

だから、ライブラリーに出るわ」

ゆみは、ヒデキに言うと、良明と2人でライ

ブラリー室に急いだ。

「良明っていつもゆみちゃんと一緒だよな」

ヒデキは、ゆみと一緒にいる良明の姿を悔や

しそうに眺めていた。

NY恋物語・第174話

「ミスタールビンお休みだから、私たちは、

これからライブラリー室に行くの」

「俺ら、ここで自習するよ」

ヒデキは、ゆみに言った。

「そう。それじゃ、私たちは遅刻しちゃうか

ら行くね」

ゆみは、良明を連れて向かおうとした。

「一緒に自習していこうよ」

ヒデキは、ゆみを呼び止めた。

「私たちは、クラスの授業があるもの」

「じゃ、良明だけでも自習していけば」

NY恋物語・第173話

「そうですよね」

ゆみは、先生に答えた。

「そうか、今日は良明君もライブラリーに出

席しようか」

ゆみは、良明を連れて、ライブラリーの教室

へ向かって、歩き出した。

「ゆみちゃんー!」

ゆみが良明の手を引いて、ライブラリー室に

向かおうとしていると、呼び止められた。

「あ、ヒデキ君」

ゆみは、ヒデキに返事した。

NY恋物語・第172話

「風邪なのですか」

「なので、ミスタールビンの授業はお休み」

別の先生が、ゆみに伝えた。

「お休みだって、どうしようか」

ゆみは、良明の方を見た。

「ゆみちゃんのクラスは、今日は午後の授業

はないの?」

「うちのクラスは、ライブラリーの授業よ」

ゆみは、先生に告げた。

「それならば、良明君もライブラリーに出席

すれば良いだけじゃない」

NY恋物語・第171話

「はい、全部食べ終わりました!」

ゆみは、空っぽの良明のお弁当箱を、良明の

バッグの中に戻しながら、良明に言った。

もうすっかり、お昼のランチタイムは、ゆみ

が良明にお弁当を食べさせてあげるようにな

っていた。

「午後はミスタールビンの授業よね」

ゆみは、良明を連れて、ミスタールビンの教

室に移動した。

「こんにちは、ミスタールビンいますか」

「今日は風邪でお休みなの」

NY恋物語・第170話

「それが、そうでもないみたいで」

隆は、中山ゆり子先生に言った。

「やっぱり同性同士で話しやすいのか、ゆみ

のやつは、よく学校の話は、由香に話してい

るみたいなんですよ」

「ああ、そうなの」

中山ゆり子先生は、隆に答えた。

「由香ちゃんがね、それは安心だわね」

中山ゆり子先生は、隆に言った。

「隆君がお父さん代わりで、由香ちゃんがゆ

みちゃんのお母さん代わりか」

NY恋物語・第169話

「そうですね」

隆は答えた。

「最近は、ゆみの方が、あまり学校での事を

俺には話さなくなってきているかもしれない

です」

「あら、そうなの」

「ええ、やっぱり男親ですからかね」

隆は、少し寂しそうに答えた。

「男親って、隆君は兄じゃないの。っていう

か、ゆみちゃんにとっては、男親でもあり、

お母さんとしての女親でもあるわけだし」

NY恋物語・第168話

「このところは、ゆみちゃんもすっかり成長

してきて、隆君もあまりゆみちゃんの事を心

配することも無くなってきたかしら」

「いや、そんなことありませんよ。まだ心配

することばかりですよ」

隆は、中山ゆり子先生に答えた。

「その割には、あまりゆみちゃんが何をして

いるか知らなくなってきていない?」

中山ゆり子先生が言った。

「以前は、ゆみちゃんの事ならば、何でも知

っていたじゃない」

NY恋物語・第167話

「付き合っているって聞いて、娘を持つお父

さんの顔になったでしょう」

「いや、そんなことはありませんけど」

隆は、中山ゆり子先生に苦笑した。

「なるほどね、最近の学校では、ゆみってそ

んなこともあったんですね」

隆は、PS24とクイーンズの両方の学校で

学校事務をやっている中山ゆり子先生から学

校での話を聞いて、ゆみの学校でのことを知

っていた。

「なるほどね」

NY恋物語・第166話

隆は、中山ゆり子先生と学校裏のカフェへ食

事に向かった。

「え、食べさせているのですか?」

隆は、お昼を食べながら、中山ゆり子先生か

らゆみの話を聞いていた。

「恋人同士とか、付き合っているのかよ」

「そうじゃないわよ、良明君がお昼を食べな

いんですって、それで、ゆみちゃんが食べさ

せてあげているらしいの」

中山ゆり子先生は、隆に説明した。

「そうなんですか」

NY恋物語・第165話

ゆみが生まれる前までは、小等部、中等部、

高等部とここに通っていた。

「これで、申請は完了です」

中山ゆり子先生は、隆から入学申込書を受け

付けると、隆に伝えた。

「これからどうするの?」

「マンハッタンの会社に戻りますよ」

隆は、中山ゆり子先生に答えた。

「お昼は?もし、これからだったら、近くで

一緒にお昼しない?」

「いいですね」

NY恋物語・第164話

「隆さん、今日はどうしたんですか?」

「新しい新入生連れて来たよ」

隆は、クイーンズの日本人学校にいた。

ゆみが通っているのはPS24小学校で、ク

イーンズの日本人学校には通っていなかった

が、ニューヨーク支店の同僚たちの中には、

息子、娘がこちらの小学校に通っている方も

いるので、総務部配属の隆は、こちらの小学

校にもよく来ることが多かった。

クイーンズの日本人学校には、ゆみは通って

いないが、隆の母校ではあった。

NY恋物語・第163話

「そうね」

ゆみは、良明のお弁当を箸で取ると、良明の

口元まで運び、食べさせた。

結局、それからのランチタイムは、ゆみが良

明のことを食べさせるようになった。

「今日は、ミスタールビンは?」

「水曜だから無い」

「それじゃ、良明も午後から私たちと一緒に

授業を受けられるんだ」

「そうね」

ゆみは、シャロルに答えた。

NY恋物語・第162話

ゆみは、良明のお弁当を箸で取ると、良明の

口元まで持っていった。

「食べて」

ゆみが良明の口に入れると、ようやく良明は

食べてくれた。

「ゆみ、良明のお母さんみたいだよ?」

シャロルは、ゆみが良明に食べさせているの

を見て笑った。

「だって、食べないのだもの」

ゆみが、シャロルに返事した。

「午後の授業始まる前に食べさせちゃおう」

NY恋物語・第161話

ゆみが言っても、良明はお弁当を食べようと

しなかった。そうしているうちに、良明のお

弁当は、いつの間にかシャロルとマイケルの

2人で半分以上無くなっていた。

「ねえ、食べようよ?」

ゆみは、良明に言った。

「待って、こっちに置くわ」

「また待ってなの」

シャロルとマイケルは、食事を終えて、チェ

ッカーゲームをしていた。

「せっかくお母さんが作ってくれたのに」

NY恋物語・第160話

「美味いね」

「私も、ライス食べてみたい」

シャロルも、良明のお弁当のお米を一口食べ

た。ロールパン先生のクラスのアメリカ人な

らば、クラスにいっぱい日本人がいるので、

日本食のお弁当なんか珍しくないだろう。

アスター先生のクラスは、クラスに日本人

は、ゆみと良明の2人しかいない。ゆみは

サンドウィッチばかりで日本食のお弁当な

んか持ってきたことがない。

「ほら、なくなってしまうよ」

NY恋物語・第159話

「ね、良明君も食べようよ」

ゆみは、良明へ食べるように言った。

でも、良明は座ったままで、机の上に広げら

れたお弁当には見向きもしなかった。

「そっちの白いのも食べてもいいかな?」

ゆみは、良明の方をチラッと見てから、マイ

ケルに日本食のことを説明した。

「白いのはライスよ、良明君食べないし、食

べても良いんじゃないかな」

ゆみの返事で、マイケルは良明のお弁当のお

米も一口食べた。

NY恋物語・第158話

シャロルに聞かれて、ゆみは頷いた。

「何それ、俺も食べたい!」

マイケルが言うと、ゆみの返事を待たずに、

一口食べてしまっていた。

「美味いよ、これ。もう1ついいかな」

マイケルは、良明のお弁当を、さらに二口も

食べてしまっていた。

「そんな勝手に食べたらだめよ」

シャロルは、マイケルに注意した。

「全部食べられちゃうよ」

ゆみは、良明に言った。

NY恋物語・第157話

シャロルが、ゆみに言った。

「シャロルが食べてみたいって言うんだけど

あげてもいい?」

ゆみが良明に聞くと、小さく頷いた。

「食べても良いみたいよ」

ゆみの返事で、シャロルは良明のお弁当のお

かずを一口食べた。

「美味しいね」

「生姜焼きっていうの」

ゆみは、シャロルに説明した。

「ゆみも作れる?」

NY恋物語・第156話

「ほら、出して」

良明は、座ったままだった。

「食べないの?」

ゆみが、勝手に良明のバッグの中を探った。

「あるじゃないの!」

ゆみは、良明のバッグの中から勝手にお弁当

を取り出した。

「え、何それ?美味しそう」

「ジャパニーズスタイルのお弁当なの」

ゆみが、シャロルに説明した。

「食べてみたい」

NY恋物語・第155話

アスター先生の号令で、クラスの皆は教室を

出ると、階段を下って食堂へ向かった。

「良明君、今日も、ちゃんとお弁当持って来

たよね、一緒に食べようね」

昨日の今日なので、ゆみが良明に確認した。

「いただきます!」

先生の号令で、ランチタイムになった。

「お弁当食べよう」

ゆみは、自分のお昼が入った紙袋を開けなが

ら、良明に言った。

「ほら、出して」

NY恋物語・第154話

「良明、皆も発音できるようになったし、ク

ラスにもっと馴染んでね」

アスター先生は、良明の頭を撫でた。

お昼

「ランチタイムだよ」

午前中の授業が終わり、アスター先生がルー

ズリーフを閉じると、ゆみは良明に言った。

「並ぶよ」

ゆみは、いつものように良明の手を引いて立

たせると、皆と教室の前に並んだ。

「それでは、行きますよ」

NY恋物語・第153話

「アスター先生、ヨシュワキーは良明君なん

ですよ」

マイケルが、ゆみから習った正しい発音を先

生に教えた。

「え、中国では、どう発音するの?」

「中国じゃないよ、日本だよ!良明っていう

のは、日本人だったんだよ」

マイケルは、アスター先生に説明した。

「ヨシ、ヨシアキ」

授業の最初、数分間ぐらいは、アスター先生

とクラスの皆で日本語の発音練習していた。

NY恋物語・第152話

「良明、日本人だったのね」

「今度、私もゆみと一緒に遊びに行くね」

シャロルは、良明に話しかけた。もちろん、

英語での会話なので、まだ良明には、よく理

解できない内容もあった。

良明は、ゆみが昨日家に来たことを2人に話

したんだってことには気づいて、モジモジし

ていた。

「おはよう、皆さん」

アスター先生が教室に入って来て、本日の授

業が始まった。

NY恋物語・第151話

「ヨシュワキー、ゆみと同じ日本人だった」

シャロルは、ゆみに答えた。

「うん、ヨシュワキーじゃなくて良明君よ」

「ヨシ、ヨシ、ヨシア」

シャロルとマイケルは、ゆみに教わり、良明

の発音を練習していると、良明が学校へ登校

してきた。

「良明君、おはよう!」

早速、正しい発音で良明に挨拶したシャロル

だった。それまで全然発音できていなかった

のに、ちゃんと発音できていた。

NY恋物語・第150話

「おはよう、昨日は良明君家に行ったのよ」

次の日の朝、ゆみは、学校でクラスメートの

シャロルと話していた。

「え、1人で行ったの?私も誘ってよ」

「ヒデキ君とか日本人ばかりだったのよ」

「そういえばさ、ヨシュワキーっていうのは

中国人だったわよね。」

シャロルは、ゆみに聞いた。

「ううん、良明君は日本人だったのよ!」

ゆみは、昨日あった事を少し抜粋して、シャ

ロルにも説明していた。

NY恋物語・第149話

「ああ、私がそっちにいて、ゆみちゃんと一

緒にいてあげられたらな。もっと、ゆみちゃ

んのこと見てあげられるのに」

由香は、呟いていた。

「由香は、日本での仕事はどうなの?」

「ちゃんと働いていますよ」

由香は、隆に答えた。

「もう大学を卒業して3年だっけ」

「そうね」

「由香も学生からようやく社会人か」

先に社会人になった隆が言った。

NY恋物語・第148話

「お母さんは、お母さんよ!」

ゆみが、隆に言った。

「そうよ、ね!」

由香も、ゆみに頷いて、2人で同調している

ので、隆は何も言い返せなくなっていた。

「そんな事よりさ。隆は、なんでヨシュワキ

ーが中国人とかいい加減な説明したの」

「え、いやわからなかっただけで」

「これだから、男親は」

由香は、隆のことを睨んだ。

「もっと、親ならちゃんと見てあげなきゃ」

NY恋物語・第147話

「なに、由香なのか」

お風呂から上がってきた隆がパソコンの画面

に映っている由香にいった。

「あら、隆。お久しぶりじゃない」

画面の向こうの由香は、隆に答えた。

「おまえさ、ゆみに自分の事をお母さんって

呼ばせているんだって?」

「私が呼ばせているわけじゃなくて、ゆみち

ゃんもお母さんが欲しいって言うから」

由香は、隆に言った。

「でも、お母さんじゃないだろう」

NY恋物語・第146話

「そうか、岡島のおばさんって、それじゃ今

はニューヨークに住んでいるんだ」

「お母さんも、良明君のお母さんのこと知っ

ているの?」

「知っているわよ」

由香は、答えた。

「当時、隆のお父さんお母さんが亡くなった

時、まだ高校生だった私や隆のことをいろい

ろ助けてくれたのよ」

「お母さんも、ニューヨーク戻りたいな」

由香は、ゆみに言った。

NY恋物語・第145話

「今日は、いっぱい色々な事があったの」

「そう、聞かせて」

由香にとって、日本とニューヨークで遠く離

れたゆみとLINEのビデオ通話で話せるの

は、仕事とかで疲れた時などの何よりの癒し

だった。

「え、そうなの?ヨシュワキー君って中国人

ではなく日本人だったの」

ゆみは、いつも学校であった事を、全部由香

に報告していた。

「そうなの」

NY恋物語・第144話

「話したことない」

ゆみは、隆に答えた。

「それは、多分もっともっと仲良くならない

とだめなんだろうな」

隆は、ゆみに言った。

「私も、良明君と仲良くなりたいな」

ゆみは、呟いた。

「お母さん」

その日の夜、隆がお風呂に入っている間、ゆ

みはLINEで由香と話していた。

「ゆみちゃん、今日はどうだった?」

NY恋物語・第143話

「また、いつでも遊びに来てね」

良明のお母さんと美香が、ゆみに言った。

「バイバイ」

ゆみは、良明たちに手を振ると、兄の隆と

一緒にエレベーターに乗ると、2人が住ん

でいる7階の部屋まで降りていった。

「どうして、お兄ちゃんは、良明君とお話で

きるの?」

ゆみは、家に帰ると、隆に聞いた。

「おまえは、良明とは、学校で何も話したこ

とないのか」

NY恋物語・第142話

良明は、ゆみには何も話さないのに、隆には

ゆみに見えないように大きく頷いていた。

「学校の勉強は慣れてきたか?」

「ええ、まだ英語はよくわからないですが」

「宿題とかあったら、ゆみにやらせちゃえば

良いからな」

「ありがとうございます」

良明は、隆とは普通に会話をしていた。

「ゆみ、そろそろ帰ろうか」

隆は、ゆみを連れて、自分たちの家へ帰るた

め、立ち上がった。

NY恋物語・第141話

「このほうれん草のお浸し美味しそうだな」

「隆くん、食べていいわよ」

「ありがとうございます、美味しいな」

隆は、良明のお弁当から一口頂いて食べた。

「良明、このお弁当は、絶対に食べないとも

ったいないぞ」

隆は、良明に食べた感想を伝えた。

「良明のお母さんのお料理は美味しいから、

お弁当は食べた方がいいぞ」

「はい!」

良明は、隆には返事していた。

NY恋物語・第140話

「ごはん空になっているよ」

ゆみは、テーブルに腰掛けている良明の前の

お皿が空っぽなのに気づいた。

「ゆみちゃんに見えないように、さっきから

隠れて食べていたみたい」

良明のお母さんは、自分の息子、良明の態度

に気づいていた。

「良明君、明日のランチタイムは一緒に食べ

よう、またお弁当持ってきてね」

ゆみが、向かい奥の良明に話しかけたが、良

明は、いつものように黙ったままだった。

NY恋物語・第139話

「まあ、人と話すのは時々面倒くさいなって

時もあるけど、食事しないっていうのは、俺

には考えられないな」

隆は、良明に答えた。

「良明君って、毎日学校にお弁当を持ってき

ているの?」

「そうなんだってさ」

隆は、ゆみに答えた。

「でも、皆の前で食べれないらしい」

「そうなの?」

ゆみは、テーブルの向こうの良明に聞いた。

NY恋物語・第138話

「良明は、昔から、日本にいた頃から学校で

弁当を絶対に食べないのよ」

良明のお母さんは、隆に伝えた。

「食べないってどういう事ですか?」

「わからないわよね」

良明のお母さんは、困ったようにしていた。

「すごく人見知りというか、恥ずかしがりや

というのか、学校では、ゆみちゃんと話さな

いように、他の生徒とは話さないし、食事の

時間も、他の子の前だと食事をできなくなっ

てしまうのよ」

NY恋物語・第137話

「ほら、良明のお弁当よ」

良明のお母さんは、良明のスクールバッグか

らお弁当を取り出すと、ゆみ達に見せた。

「あ、美味しそう」

良明のお弁当は、アメリカ的なサンドウィッ

チではなく、ジャパニーズスタイルのお米と

おかずの入ったお弁当箱だった。

「あれ、今日は学校でランチタイム無かった

のか?」

まだ中身が残っている良明の弁当を見て、隆

が不思議そうに聞いた。

NY恋物語・第136話

良明のお母さんは、良明の部屋へと走ってい

った。それを見た良明も慌てたように、お母

さんの後を追って、自分の部屋へ急いだ。

「あ、あった」

良明が自分の部屋へ入ると、お母さんが既に

いつも学校へ持っていているバッグを手にし

て、バッグの中身にお弁当箱があることを確

認していた。

良明は、慌ててお母さんからバッグを取り返

そうとしたが、お母さんは避けると、そのま

まバッグを持って、ダイニングに戻った。

NY恋物語・第135話

ゆみは、学校のランチタイムに良明がお昼ご

はんを何も食べていないことを思い出して、

良明のお母さんにお願いしたのだった。

「おまえが言わなくても、そんなこと俺が説

明しているし、おばさんも知っているよ」

隆が、ゆみに言った。

「ううん、ゆみちゃんの言う通り、食べてい

ないのかもしれないわ」

良明のお母さんは、何かに気づいたように、

良明の部屋へと走っていった。

その後を、慌てて良明も追っかけていく。

NY恋物語・第134話

「あ、良明君のお母さん」

ゆみが、良明のお母さんに声をかけた。

「なあに、ゆみちゃん」

良明のお母さんは、嬉しそうに返事した。

「うちの学校は、ランチタイムに食堂でお弁

当を食べるの。だから良明君にも、お弁当を

作ってあげてほしいです」

ゆみは、良明のお母さんにお願いした。

「そんなこと、わかっているよ。俺が学校で

お弁当必要なのは伝えてあるし」

隆が、ゆみに答えた。

NY恋物語・第133話

るみたいなんです」

隆は、良明のお母さんに返事した。

「あら、それはすごく良いことだわ」

良明のお母さんは、満面の笑みで嬉しそうに

隆へ返事した。

「だれ、由香お姉さんって?」

由香と美香が、お母さんに聞いた。

「隆さんの高校時代というか幼馴染みよね」

良明のお母さんは答えた。

「昔から、とても仲がよかったわよね」

「いや、それほどでもないですけど」

NY恋物語・第132話

隆は、ゆみに聞いた。

「いや、それはやめろよ。由香だって迷惑だ

ろうが、おまえのお母さんでは無いんだし」

「由香お姉ちゃんが、お母さんって呼んでも

いいって言ってくれたの」

ゆみは、良明に言った。

「あら、隆君。由香ちゃんとは、今もよく交

流は続いているの」

良明のお母さんは、隆に聞いた。

「俺がっていうか、ゆみは、なんか毎日のよ

うに学校から帰ると、由香とLINEしてい

NY恋物語・第131話

「うん」

ゆみは、由香に言った。

「由香ちゃんじゃなくて、由香お姉ちゃん」

ゆみは、由香に、日本に住んでいるお姉さん

のことを説明した。

「私と由香お姉さんの2人だけでLINEし

ているときは、いつもお母さんって呼んでい

るのよ」

ゆみは、嬉しそうに由香へ答えた。

「え、おまえは、由香のことをお母さんって

呼んでいるのか?」

NY恋物語・第130話

「なんかかわいそう」

由香が、良明に呟いた。

「俺が、お母さん代わりだから」

「でも、隆お兄さんのことをお母さんとは呼

べないじゃん」

うっすらヒゲも生えてる隆の顔を眺めながら

由香が言った。

「私、由香お姉ちゃんとLINEする時、い

つもお母さんって呼んでいるの」

ゆみは、由香に答えた。

「由香お姉ちゃん?」

NY恋物語・第129話

「良明君のお母さん」

ゆみが、良明のお母さんのことを呼んだ。

「はーい、何」

良明のお母さんは、笑顔でゆみに答えた。

「やっぱり、良明君のお母さんなんだね。美

香のお母さんって呼んでくれても良いのに」

美香が、ゆみに言った。

「毎日、学校で良明と同じクラスだものね」

良明のお母さんが、美香に答えた。

「ゆみちゃんって、自分のお母さんがいない

から、呼んだことないのよね」

NY恋物語・第128話

「あのぅ」

ゆみが、良明のお母さんに何か言い出そうと

していた。

「岡島のおばさんとか、良明のお母さんって

呼べば、良いんだぞ」

隆が、ゆみに日本語の呼び方を説明した。

「なんなら、お母さんでもいいわよ」

良明のお母さんが、ゆみに言った。

「ゆみちゃんのお母さんでも良いのだから」

「それは、呼びづらいって」

由香が、お母さんに言った。

NY恋物語・第127話

「そうかもしれないわね」

良明のお母さんは、隆に言った。

このハンバーグは、大学時代によく隆のお母

さんと一緒に、キャンプとかで作っていたハ

ンバーグの味だった。

「え、そうなんだ」

美香は、お母さんに言った。

「お母さんが大学生の頃に、キャンプとかや

っていたって、初めて聞いた」

「隆お兄さんのママと仲良しだったのね」

由香が、お母さんに言った。

NY恋物語・第126話

「確かに、俺の作るハンバーグの味だよな」

隆は、ゆみに言われて、納得していた。

まだゆみが小さかった頃、ニューヨークで、

自分1人でゆみを育てていこうと決意した時

のことを思い出していた。

その頃、まだ料理に慣れていなくて、岡島さ

んによく料理を教わっていた。ハンバーグな

んかは、まさに岡島さんに習った時の作り方

だった。

「俺は、このハンバーグで、おまえと俺のお

母さんの味を思い出すな」

NY恋物語・第125話

「ごはんですよ」

良明のお母さんが呼びにきた。

「はーい」

皆は、ダイニングに集まった。ダイニングテ

ーブルには、良明のお母さんお手製のハンバ

ーグの夕食ができていた。

「いただきまーす」

ゆみは、良明のお母さんが作ったハンバーグ

を一口食べて、お兄ちゃんが作るハンバーグ

と同じ味がすることに気づいた。

「お兄ちゃんのハンバーグみたい」

NY恋物語・第124話

「お兄ちゃん、いい加減にしなよ」

良明の部屋に、美香もやって来ると良明に声

をかけた。

「ゆみちゃんが同じクラスメートだからって

お兄ちゃんに話しかけているのに、ゆみちゃ

んに返事ぐらいすればいいじゃん」

美香は、良明のことを怒っていた。

「お兄ちゃんが返事しないなら、私がゆみち

ゃんと同じクラスになるからね」

美香は、良明に言った。ゆみと同じクラスの

良明が羨ましかったのだ。

NY恋物語・第123話

「私はね、いつもお兄ちゃんと一緒の部屋で

寝ているんだよ」

ゆみが良明に言った。

「さっきの人が、私のお兄ちゃんなの」

ゆみは、良明に説明した。

「ね、お喋りしようよ」

ゆみは、良明に聞いたが、良明は黙ったまま

だった。

「さっき、ヒデキ君たちといっぱい話してい

たじゃないの。私の日本語ってそんなに下手

なのかな?」

NY恋物語・第122話

「野球のペナントすごいいっぱいね」

ゆみも、良明の後を追っかけて部屋に入ると

声をかけた。

「良明君も野球やるの?」

ゆみは、ベッドの脇に置かれているグローブ

とバットを見つけて、良明に聞いたが、良明

は何も答えてくれずに、ベッドに腰かけた。

「良明君は、いつも、ここの部屋で1人で寝

ているの?」

ゆみも、良明の横に座ると、良明に聞いた。

「1人で寝るの寂しくない?」

NY恋物語・第121話

ヒデキと椎名が帰って、1人になった良明は

自分の部屋へ向かった。

「あ、良明くん」

それを見て、美香たちとの話を中断して、ゆ

みは良明の後を追っかけた。ヒデキたちとは

大きな声で声でお喋りしていたし、自分とも

お喋りしてくれると思ったのだった。

「ヒデキ君たち帰っちゃったね、今度は、私

と一緒に遊ぼうか」

ゆみが声をかけたのに、良明は黙ったまま何

も言わなくなっていた。

NY恋物語・第120話

良明のお母さんは、隆に言った。

「ね、せっかくゆみちゃんにも会えたんだし

一緒に食べていってくれない」

良明のお母さんに言われて、夕食をご馳走に

なることになった。

「昨日のシチューがまだ残っているよ」

「それは明日にしよう」

隆は、ゆみに言った。

「せっかく、良明のお母さんにご馳走になっ

て行こうか」

隆は、ゆみに言った。

NY恋物語・第119話

「そろそろ、俺らは帰るわ」

夕方で暗くなってきたので、ヒデキと椎名が

立ち上がった。

同じアパートメントのヒデキは、エレベータ

ーで降りるだけだが、椎名は、これから歩い

て帰らなければならなかった。

「今日はありがとうね、また遊びにきてね」

良明のお母さんも、2人をお見送りした。

「それじゃ、俺らもそろそろ」

「え、隆くん達はまだ良いじゃないの、夕食

も作っているから食べていってよ」

NY恋物語・第118話

良明のお母さんは、隆へ申し訳なさそうに謝

っていた。

,隆は、自分の妹の方を見たが、良明のお母

さんとの会話が、ゆみの日本語能力には少

し難しすぎたようで、よく話の内容を理解で

きないでいた。

「後で、家に帰ったら教えてやるな」

隆は、その場での説明を避けた。

良明のお母さんも、夕食の準備のため、キッ

チンに行ってしまったので、その話はそれっ

きりになってしまった。

NY恋物語・第117話

「良明君の声って、私、今日初めて聞いた」

ゆみは、兄の隆に言った。

「そんなわけはないだろう」

「ううん、そうなのかもしれないわ」

良明のお母さんは、隆に良明は日本で通って

いた学校の頃から学校では何も話さない極度

の人見知りであったことを告白した。

「そうなんですか」

「ええ、きっと同じクラスになってしまった

ゆみちゃんには、大変なご迷惑を掛けてしま

っているのでしょうね」

NY恋物語・第116話

「良明君って日本語も話せるのね」

ゆみは、良明が話している姿を見て、隆に少

し寂しそうに呟いていた。

「ゆみは、学校でも良明とは全然話したこと

ないのか?」

「ない」

ゆみは、隆に答えた。

「良明君って、学校ではシャロルともマイケ

ルとも誰とも話したことないもの」

「女の子と話すのが苦手なのかもな」

隆は、ゆみに言った。

NY恋物語・第115話

ゆみは、隆に連れられて美香たちのいるリビ

ングのソファへ来ると、美香たちとお喋りを

していた。

「よし、蹴り返せ!」

「良明、野球だけじゃなくサッカーもかなり

上手いんだな」

ヒデキたちは、良明とサッカーゲームをして

楽しんでいた。今まで、ゆみと一緒にいた時

とは違って、良明がヒデキと椎名の3人だけ

になった途端、大きな声でお喋りをしながら

サッカーゲームをやっていた。

NY恋物語・第114話

「おまえがトロいからだろう」

隆は、ゆみに言った。

「え、そうなの?」

ゆみが、良明に聞くと、良明は頷いた。

「ひどいぃ!良明君」

ゆみは、良明に文句を言った。

「ゆみ、サッカーは良明たち男の子に任せて

おいて、おまえは女の子なんだし、ちょっと

こっちに来いよ」

隆は、ゆみの腕を引いて、リビングの美香た

ちがいる方へ連れてきた。

NY恋物語・第113話

ゆみが良明に苦笑していた。

その後も、ゆみの方に飛んで来たボールは、

わざとゆみより先に良明がボールを蹴り返

してしまっていた。

「もう、良明君ひどい!」

ゆみは、良明の肩をポンと叩きながら、笑顔

で文句を言っていた。

「ゆみは良明に蹴らせてもらえないのか」

隆がやって来て、ゆみと良明のじゃれ合いを

笑って眺めていた。

「そうなの、良明君ひどいの」

NY恋物語・第112話

「良明とゆみちゃんのアスター先生チームと

俺らロールパン先生チームでいいじゃん」

「ボールが来たら、この棒を回してお人形で

蹴るのよね」

ゆみは良明に聞いたが、無視された。

自分の方に飛んで来たボールを蹴ろうとした

が、その前に良明が、ゆみの持っていたお人

形の操作棒を取り上げて、ゆみの代わりにボ

ールを打ち返してしまった。

「あ、良明君ひどい!私が蹴ろうと思ってた

のに、なんで蹴っちゃうの」

NY恋物語・第111話

「良明、ボードのそっち側のチームな。俺と

椎名でこっち側で一緒のチーム」

ヒデキは、良明に言った。

リビングの片隅に置いてあった良明のサッカ

ーゲームで遊んでいた。ボードの上にサッカ

ー選手の人形がいて、それをクルクル回すと

サッカーができるゲームだった。

「じゃ、良明君と私がチームになろう」

「ゆみちゃんは、俺と一緒のチームになろう

よ。良明と椎名で組めよ」

ヒデキが言ったが、椎名に却下された。

NY恋物語・第110話

「ゆみちゃん、お兄ちゃんとばかり遊んで」

美香は、ゆみが良明やヒデキたちとばかり、

サッカーのボードゲームしているのを眺めて

羨ましそうに、隆に言った。

「ごめんな、俺が同い年だから一緒のクラス

になれるとか期待させちゃったものな」

「ううん、隆お兄さんのせいじゃないよ」

美香は、隆に言った。

「今度、女の子たち3人だけで、うちに遊び

に来るか。ゆみとも4人で遊ぼう」

「うん!」

NY恋物語・第109話

「うそ、隆お兄さんも一緒にいて」

部屋から出ようとする隆を、美香が引き止め

ながら言った。

「かわいいお部屋!」

ゆみは、部屋に飾られているお人形や小物を

眺めながら呟いた。

「ごめんな、俺の稼ぎが悪いから、ゆみには

こんないっぱいのおもちゃとか買ってあげら

れなくて」

隆は、ゆみに言った。

NY恋物語・第108話

「私の部屋にも遊びに来てよ」

「え、うん、大丈夫」

美香は、ゆみの手を引いて、自分の部屋へ案

内した。

「うわ、かわいい部屋!」

野球好きの良明の部屋と違って、ぬいぐるみ

とお人形がいっぱいな部屋だった。

「さすが、女の子3人の部屋だな」

一緒について来た隆が、美香に言った。

「隆お兄さんはだめ、ここは女の子の部屋」

「そうか、ごめんごめん」

NY恋物語・第107話

「ゆみちゃん」

良明の部屋を見終わって、部屋から出るとき

同い年ぐらいの女の子に声をかけられた。

「え?」

ゆみは、その女の子のことを見た。

「私は美香、良明の妹」

美香は、ゆみに自己紹介した。

「本当は、私がゆみちゃんとクラスメートに

なれるんだと思って、楽しみにしてたの」

「そうなの」

ゆみは、美香に返事した。

NY恋物語・第106話

いつも負けてばかりいる野球チームのリーダ

ーをしているヒデキは、良明を誘っていた。

「ぜひ!」

良明は、ベッド脇に置いてあった自分のバッ

トとボールを手にしながら答えた。

「すごい良いバットじゃん」

「これは東京ドームで買ったんですよ」

ゆみは、男の子たちが話しているのを聞きな

がら、なんで良明君って私が話しかけても全

然お話してくれなかったのだろうと不思議に

思っていた。

NY恋物語・第105話

「いつも週末に、近くの公園に日本人の男の

子たちがたくさん集まって、そこで野球して

いるんだよ」

隆が、良明に説明した。

「野球ならば、あんたも得意じゃないの」

良明のお母さんが、良明に言った。

「日本でやってる時は、あんたはいつもホー

ムラン王だったじゃないの」

「マジですか?」

ヒデキが、良明のお母さんに聞いた。

「ぜひ、野球しに来てください」

NY恋物語・第104話

「日本の野球チームのペナントじゃないか」

「日本にも野球チームがあるんだ」

ゆみは、隆に聞いた。

「あるよ」

隆は、ゆみに答えた。

「良明君は、野球が好きなのか?」

「はい」

良明は、隆に頷いた。

「それじゃ、ヒデキたちと一緒に、週末はシ

ートンパークで野球すればいい」

「そうですね」

NY恋物語・第103話

良明のお母さんは、大学時代の大親友の娘、

ゆみのことを背後から優しく抱きしめながら

褒めてくれた。

「せっかく来たんだし、良明の部屋を案内し

てあげるわね」

良明のお母さんは、ゆみのことを良明の部屋

へ案内しながら、ゆみに会えたのが嬉しくて

たまらなそうだった。

「うわ、すごい!」

良明の部屋の壁には、いっぱい野球のペナン

トが貼られ、飾られていた。

NY恋物語・第102話

「ゆみちゃんは、お兄ちゃんと同級生?」

ゆみのことを自分と同い年と聞いていた良明

の妹、美香が隆に聞いた。

「そうなんだ。ゆみは飛び級してるんだ」

隆は、美香に説明した。

「ゆみは飛び級で学年を実際の年齢よりも飛

びこえて進級しているんですよ」

隆は、思い出したように、美香や岡島さんた

ち皆に説明した。

「やっぱり、ゆみちゃんは、私の大学時代の

同級生、和子の娘だわ、頭の良い子ね」

NY恋物語・第101話

「おまえは、なんで良明君と一緒だった」

隆は、岡島さんのリビングで、隣に腰掛けて

いる妹のゆみに聞いた。

「私と良明君とはクラスメートだもの」

「クラスメート?」

隆は、ゆみに聞き返した。

「良明君は、おまえよりお兄さんだろう」

そして、隆は気づいた。

「あ、そうか!おまえの言うヨシュワキー君

って良明君のことだったのか」

隆は、ゆみが話していたことを思い出した。

中古車輸出・第30話

昨今では、他にポルトガル語、ドイツ語、中

国語やロシア語ぐらいでの説明は、あった方

が良いかもしれません。

ゆみの勤務する横浜の貿易会社では、各国の

輸出担当スタッフが豊富に揃っているので、

彼らに訳してもらって、それを、ゆみがホー

ムページに落としこんでいきました。

「マイク、これロシア語に訳してほしいの」

ホームページが完成すると、今井ゆみのホー

ムページに毎日たくさん車のオファーが来る

ようになりました。

中古車輸出・第29話

「わかったよ、シャラン。ハイエースの車を

たくさん掲載するね」

いろいろな日本に在る魅力的な自動車、中古

車を写真付きでホームページにはたくさん掲

載しました。

「うん、お願い。ハイエースは、アフリカ以

外にも世界じゅうで売れるから」

さらに、その車の魅力などを各国語の解説付

きで紹介しました。

英語とフランス語、スペイン語ぐらいで解説

すれば、まず十分でしょう。

中古車輸出・第28話

今井ゆみは、中古車輸出業の仕事をしている

横浜の貿易会社にウェブデザイナーとして就

職しました。

「ゆみ、もっとハイエースをホームページ上

に掲載してよ」

中古車輸出業のお客さんは海外にいるため、

そんな海外のお客様にうちの会社で車を輸出

していますよってことを知ってもらうために

は、ホームページは必須ツールになります。

そのホームページを制作するスタッフとして

今井ゆみは採用されました。

NY恋物語・第100話

「え、なんでわかったんですか」

ヒデキは、岡島さんに聞いた。

「わかるわよ。伊達に男の子1人に、女の子

3人を育ててきていないから」

岡島さんは、ヒデキに答えた。

「でも、ゆみちゃんを連れて来てくれて本

当に嬉しかったわ」

良明のお母さんは、ヒデキに言った。

「最近、いつも隆君にしか会っていなかった

から、ゆみちゃんに会いたかったのよ」

隆は、岡島さんに苦笑していた。

NY恋物語・第99話

「あの、おばさん、ごめんなさい」

ゆみは、岡島さんに謝った。

「何のこと?」

「あのー」

「壊れてしまったバレッタのことかな」

「はい」

「あれでしょ、ヒデキ君に行けとか言われて

ここに来てしまったんでしょう」

「え、どうして?」

ヒデキが、岡島さんの顔を見た。

「わかるわよ、そんなこと」

NY恋物語・第98話

「はい」

「家で、しっかり話すからな」

ゆみは、隆に言われて、家に帰ったらしっか

り怒られることが確定してしまっていた。

「ゆみちゃん!会いたかったのよ」

岡島さんは、ゆみのことをハグした。

「岡島さんは、おまえのことを小さい時、い

ろいろ面倒みてくれた命の恩人なんだぞ」

隆は、ゆみに言った。

「そんな岡島さんに、わざわざ文句を言いに

来るとは、良い度胸しているな」

NY恋物語・第97話

「ううん、していないよ」

ゆみは、慌ててお兄ちゃんに返事した。

「じゃ、なんで今日は、わざわざ文句を言い

に来たんだ」

「それはね」

ゆみは、返事に困っていた。

「ね、隆君。彼女がゆみちゃん?」

「はい、そうです。妹のゆみです」

隆は、ゆみの頭を押してお辞儀させながら、

岡島さんに妹を紹介した。

「ゆみ、後で家に帰ったら話そうな」

NY恋物語・第96話

隆は、ヒデキから受け取ったバレッタを自分

のズボンのポケットにしまうと、ゆみの方を

向いて聞いた。

「ごめんなさい」

ゆみは、兄に謝った。

だから、あんなバレッタ1個で、わざわざ来

たくなかったのだ。兄に知られたら、ぜった

いに怒られるとわかっていたのに。

「ゆみ、おまえは、こんなものが壊される度

に、わざわざ学校の友達の家まで押しかけて

お友達のお母さんに言いつけているのか?」

NY恋物語・第95話

部屋の奥から、ゆみが日常いつも聞いている

聞き覚えのある声が聞こえた。

「ゆみ、おまえ何をやっているの?」

「お兄ちゃん!」

奥の部屋から兄の隆が突然現れたので、ゆみ

は驚いていた。

「良明が、ゆみちゃんの髪留めを階段の上か

ら落として壊してしまったんですよ」

ゆみの代わりに、ヒデキが隆に説明してから

壊れたバレッタを手渡した。

「それで、わざわざ文句を言いに来たのか」

NY恋物語・第94話

優しそうな良明のお母さんの姿を見ているう

ちに、なんでこんなバレッタ一つで文句を言

いに来てしまったのだろうと、自分のことを

悲しくなってしまったのだった。

「ほら、言わなきゃ」

ヒデキが、話を中断したゆみを即した。

「壊れちゃって、学校の階段から落ちたら壊

れてしまったの」

ゆみは、優しそうな良明のお母さんにうまく

今の気持ちを日本語で説明できないでいた。

「え、そこにいるのは、ゆみか?」

NY恋物語・第93話

「ほら、ゆみちゃん」

ヒデキは、ゆみを良明のお母さんの前に立た

せると、壊れたバレッタを持っているゆみの

手を、おばさんの前に差し出させた。

「あら、可愛らしいバレッタじゃないの。ど

うされたの?」

良明のお母さんは、ゆみに聞いた。

「なんか壊れちゃって」

ゆみは、途中まで話しかけて、話を中断して

涙が溢れてきてしまった。

「あのごめんなさい」

NY恋物語・第92話

「こんにちは」

玄関先には、良明のお母さんと思われる女性

が立っていた。

「あら、ヒデキ君」

女性は、皆の中に知っている顔のヒデキの姿

を発見して、声をかけた。

「こんにちは。なんか、彼女が話したいこと

あるらしいんです」

ヒデキは、愛想の良い言葉で、良明のお母さ

んに返事した。

「あら、可愛らしいお嬢さん」

NY恋物語・第91話

「良明のお友達?」

インターホンの女性が言うと、インターホン

が切れた。しばらくすると、玄関の扉が中か

ら開かれた。

「どうしよう?」

ゆみは、不安そうにヒデキの方を見たが、ヒ

デキは知らんぷりしていた。

「やっぱり来なければよかった」

ゆみは、不安になってきた。

「なんで、私ってこんなバレッタ一つで、こ

こへ来てしまったのだろう」

NY恋物語・第90話

ヒデキは、ゆみをインターホンの前に移動さ

せると、自分でベルを押した。

しばらくして、インターホンから優しそうな

女性の日本語の声がした。

「はーい」

ゆみは、ヒデキの方を見ると、首で早く答え

ろよって指図していた。

「あのー、私はヨシュワ、良明君のクラスメ

ートなんですけど」

ゆみは、知る限りの丁寧な日本語でインター

ホン越しに返事した。

NY恋物語・第89話

「なんで、ゆみちゃんの家へ行くの?」

「私たちクラスメートだし、私の家へ遊びに

来てもいいかなと思ったの」

ゆみは、ヒデキに言った。

「何にもない家だけど、犬のメロディーがい

るから、メロディーと遊べるかな」

それを聞いて、ヒデキは、俺だってまだゆみ

ちゃんの家へ遊びに行ったことないのに、な

んでこいつを遊びに行かせないといけないと

少し嫉妬していた。

「だめだよ」

NY恋物語・第88話

「押しなよ」

ヒデキは、ゆみに、突き当りの部屋のインタ

ーホンを指差した。

「私が?」

ゆみがヒデキに聞くと頷いた。良明の方を見

ると、押さないでほしそうだった。

「やっぱりいいわ、私はうちに帰る」

「だめだよ」

「なんかね、良明君が私のことを招待したく

ないみたいなの。だから、良明君と私の家へ

遊びに行こうと思って」

NY恋物語・第87話

エレベーターが17階に停まると、良明は降

りて、右側の廊下を進み始めた。ゆみも、慌

てて降りると、良明の後を追っかけて行く。

「どこに行くの?こっちだよ」

ヒデキは、ゆみたちに声をかけると、反対の

左側の廊下を進み始めた。

「あっちだってよ」

ゆみは、良明の手を握ると、ヒデキたちの方

向へ歩き出した。

「ここだよ」

ヒデキは、突き当りの部屋で立ち止まった。

NY恋物語・第86話

4階に止まったエレベーターに、野球のバッ

トを持ったヒデキたちが乗ってきた。

「ヒデキ君」

「え、何してるの?」

「どこの階に行くかわからないみたい」

ゆみは、ヒデキに言った。

「17階だよ」

ヒデキは、17階のボタンを押した。

エレベーターは、17階へ向かって再度昇り

始めた。

「また昇るのね」

NY恋物語・第85話

エレベーターが動き出したのは、誰かが下の

階からエレベーターを呼んだようだった。

「私の家へ遊びに来る?」

ゆみが良明に聞いても、良明は首を傾げるだ

けではっきりしなかった。

「いい?」

ようやく良明が首を縦に頷いた。

「じゃ、家においで」

ゆみが、7階のボタンを押したが、エレベー

ターは7階を過ぎてしまっていた。

エレベーターは4階に停止した。

NY恋物語・第84話

ゆみがエレベーターに乗ると、良明はエレベ

ーターの扉を閉じた。

「どこに行くの?」

ゆみは、良明に聞いた。良明は、エレベータ

ーのボタンをどこも押していないため、エレ

ベーターはずっと18階に停止していた。

「どうするの?」

ゆみは、良明に聞いた。

「ね、それじゃ私の家に遊びに来ない?」

ゆみが7階のボタンを押そうとした。その時

エレベーターが動き始めた。

NY恋物語・第83話

ゆみも、必死で追いかけて行くと、良明と一

緒に18階の廊下へ出た。

「お願いだからあんまり速く走らないで。私

迷子になちゃう」

ゆみは、泣きそうな顔で良明に頼んだ。良明

は、廊下を進んで行くとエレベーターの前へ

移動した。

「どこに行くの?」

ゆみは、良明に聞いた。エレベーターが来る

と、良明はまた乗りこんだ。

「また乗るの?」

NY恋物語・第82話

良明が左側の廊下を進み始めた。

「そっち?」

ゆみは、良明の後を追って行く。

「ここの家なの?」

ゆみは、突き当りのドアで立ち止まっている

良明に聞いた。良明は、急にUターンすると

廊下を走り始めて、階段室の中へ入った。

「え、そっち?」

ゆみは、必死で良明について行く。

良明は、階段室の階段を下って行くと、18

階の廊下へ出た。

NY恋物語・第81話

良明がすぐ扉を閉じてしまったため、ヒデキ

が降りる直前に押した17階は素通りしてし

まっていた。

「19階に止まったよ」

ゆみが言ったが、良明の反応は無かった。

すると、エレベーターの扉が閉まり始めて、

良明が慌ててエレベーターを降りた。ゆみも

慌ててエレベーターを降りた。

「19階に住んでいたのね」

ゆみが良明に聞いた。良明は、黙って19階

の廊下を歩き始めた。