ば有り難みがわかるよ」
隆が、瑠璃子に助言した。
「おばさんになったらって部分が、なんか引
っかかるんだけど」
麻美子は、隆の頭を小突いた。
「呼ばれたよ」
雪が皆を呼んだ。
レストランの並んでいた順番が周って来たみ
たいだった。
「お腹すいたね」
ば有り難みがわかるよ」
隆が、瑠璃子に助言した。
「おばさんになったらって部分が、なんか引
っかかるんだけど」
麻美子は、隆の頭を小突いた。
「呼ばれたよ」
雪が皆を呼んだ。
レストランの並んでいた順番が周って来たみ
たいだった。
「お腹すいたね」
麻美子は、大島といえば椿が有名なので、せ
っかく植物園に来たのならば、椿を見てみた
かった。
「大島の椿ってそんな有名なんだ?」
「そうよ、大島椿のオイルっていえば、高級
化粧品なんだから」
麻美子は、陽子に説明した。
「ぜんぜん知らなかった」
「瑠璃子は、まだまだ若いから必要ないもの
な。瑠璃子も、麻美子おばさんぐらいになれ
「ああ、植物園あるね」
「そこに行って、お昼ごはんを食べようかと
思うんだ」
隆は、麻美子に全てお任せで、またバスに乗
ってホテルから植物園へと移動になった。
「エスニック風な植物園だね」
バスを降りた隆は、植物園のアジアチックで
エスニック風な外観を眺めていた。
「椿とか咲いているのかな」
「季節的にどうなんだろうね」
「オーションビューのお風呂で良かったよ」
隆は答えた。
「お昼ごはんなんだけど、ここのレストラン
で食べていこうかと思ったんだけど、宿泊者
たちがいっぱいで、温泉だけの客は入れない
んだってさ」
麻美子は、隆に伝えた。
「ホテルの人が教えてくれたんだけど、港に
戻るバスの途中に植物園があって、そこのレ
ストランが人気あるんですって」
隆と別れた後のお風呂の中でも、麻美子のサ
ンフランシスコの話やら瑠璃子の会社での話
など、ラッコのメンバーたちは、女子会トー
クに花を咲かせていた。
あんなに、お風呂の中でも女子会トークが大
盛り上がりだったのに、お風呂から上がった
のは、隆よりも麻美子の方が先だった。
「どうだった?お風呂は」
麻美子は、お風呂から上がって来た隆に
お風呂の感想を聞いた。
「それじゃね」
また、男湯と女湯の別れるところに着いて、
麻美子は隆に手を振った。
「今日は、アクエリアスの皆が一緒だから、
1人じゃなくて寂しくないわね」
男湯にアクエリアスの皆と入っていった隆に
麻美子は声をかけた。
「隆さん、寂しそうだったんだ」
昨日、お風呂にいなかった雪が、笑顔で麻美
子に聞いていた。
「俺、オータニは興味無いけど、社長賞だけ
もらいたいな」
隆が、麻美子に言った。
「え、隆さんは、たぶん麻美ちゃんの弟より
も良いものを、いつも麻美ちゃんのお父さん
からもらっていると思うよ」
陽子が、隆に言った。
「そうよね!」
麻美子が、陽子に頷いた。
「毎日中目黒で色々してもらっているよね」
「それって、連れて行ったお客さんが、大喜
びだったりして」
「そうなのよ」
麻美子は、瑠璃子に言った。
「日本のお父さんに、オータニで喜んでもら
って、輸入品を安く買い付けられたって報告
したら、お父さんから弟が社長賞もらってい
たわよ」
麻美子が言った。
「それ、良いな」
「へえ、麻美ちゃんの弟って、サンフランシ
スコにいるんだ」
「それじゃ、オータニショーヘイも生で見て
いたりして」
「それが見たんだってさ。日本から出張で来
てたお客さんを、サンフランシスコジャイア
ンツの球場に連れて行ったら、そこでショー
ヘイがホームラン売ったとかって興奮してい
たよ」
麻美子は、瑠璃子に話した。
麻美子は、隆と話していた。
「サンフランシスコでは、ヨットは全然珍し
くないんだとかって偉そうに言っちゃって」
麻美子は、弟に憤慨していた。
「俺も、麻美子の弟は一回ぐらいは、ラッコ
に乗りに来てほしいとは思っている」
「そうよね」
「でも、サンフランシスコに行ったまま、ぜ
んぜん帰ってこないじゃん」
隆は、少し残念そうに呟いた。
瑠璃子が言った。
「そうね」
「私はさ、ゴルフを理由にして、うちのお父
さんとか弟をラッコに乗せて、着いた先で好
きなゴルフを楽しませてやりたいなと思った
んだけどね」
麻美子は、隆に言った。
「弟なんて、実際のヨットには一度も乗った
ことないくせに、陸上から海上のヨットを眺
めているだけで、満足しているのよ」
「私、高校生の頃はゴルフ部のユーレイ部員
だったよ」
瑠璃子が、麻美子に言った。
「私も、ゴルフクラブは持っていて、たまに
打ちっ放しの練習場に行くよ」
「私も、一応ゴルフクラブは持っている」
雪と陽子も言った。
「うちのヨット、意外にゴルフ人口多いな」
「本当に、そのうち皆がゴルフクラブ持って
大島までヨットで来るようになりそう」
「私は、あんまりしないけど、お父さんと弟
がよくゴルフするのよ」
麻美子は、隆に答えた。
「今度、ここにゴルフしに来るか」
「うん。そしたら、ラッコにゴルフクラブを
積んでこないとね」
隆は、ジェット機で大島へゴルフしに来ると
ころを想像していたのに、麻美子はヨットで
ゴルフクラブ持って大島に来て、ゴルフ場へ
向かうつもりになっていた。
「リスさんたち、可愛かったものね」
麻美子は、香代の頭を撫でながら答えた。
温泉ホテルの入り口まで少し歩いていき、受
付で入浴の手続きを終えた。
「ね、ゴルフ場もあるんだね」
アメリカのサンフランシスコでは、よく両親
に付き合って、弟とゴルフ場を周っている麻
美子が、温泉ホテルの周りにあったゴルフ場
のコースを眺めて、言った。
「麻美子、ゴルフをするものな」
「温泉ホテルって空港の近くなのね」
バスを降りると、麻美子は、すぐ上空を飛行
機が飛んで行くのを眺めながら、言った。
「ついこの間、レンタカーで周ったよな」
「また、懐石料理を食べに行っちゃう?」
「あの懐石料理屋さんは高いんだから、そん
なには食べに行けないよ」
麻美子は、瑠璃子の言葉に笑っていた。
「私は、懐石料理よりリス村に行きたいな」
動物好きの香代が、麻美子に言った。
「帰りの時間も、ちゃんとある?」
「結構いっぱい時間あるよ」
岡田港のバスの時刻表を確認して、麻美子が
隆に伝えた。
「バス、来たよ」
皆は、バスに乗って、岡田港を出発した。
「このバスって、大島空港行きだってさ」
「大島牧場にも停まるみたいよ」
「本当だ、前回行けなかった牧場行くか」
隆たちは、車内で話していた。
「さあ、どこかに出かけようか」
隆が提案した。
午後の時間が、まるまる余ってしまったので
またキャビンの中で宴会していても仕方ない
ので、岡田港から出ている公共のバスで近く
の温泉ホテルまで日帰り入浴して来ることに
なった。
今回は、アクエリアスのメンバーと雪も一緒
にお出かけすることになった。
「次のバスの時間はいつだ?」
瑠璃子も頷いていた。
「だって、香代ちゃんって、私たちみたいに
ただ乗っているだけじゃないものね」
陽子が言った。
「ちゃんと風向きとかコースとか考えながら
ヨットに乗っているもの」
「うん。その事がわかる陽子ちゃんもヨット
が上達しているよ。私じゃ、風向きなんてぜ
んぜん考えていないもの」
麻美子が、陽子に言った。
「香代は、セーリング、ヨットの楽しみがわ
かってきているな」
隆が、香代に言った。
「本当にそうだよね、香代ちゃんって、今回
のクルージングで一番成長しているよね」
麻美子も頷いた。
「もう麻美子よりもヨット上手だよ」
「そんなのわかっているって」
麻美子は、隆の頭を小突いた。
「私も、香代ちゃんに抜かれているな」
「そうだね」
「この間の海の日に行った時に、レンタカー
で行った場所だ」
香代のセーリングが良かったのか、それとも
風向きと潮が良かったのか、熱海からのジェ
ット船ほどではないが、ラッコも意外に早く
岡田港に入港できた。
「昼前に、岡田へ着けてしまったね」
隆は、香代に言った。
「うん、セーリング楽しかった!」
「船内で乗っているお客さんは、自分の乗っ
ている船が、あんなに浮かんでいるって感覚
はないんじゃないかな」
隆が言った。
「そうか。私たちは、走っている姿が見えて
いるけど、中のお客は見えてないものね」
麻美子は、隆に答えた。
「あそこって元町港?」
香代は、熱海からのジェット船が入港してい
った先の港を指差して聞いた。
「なんかすごいね!」
「左から船体が浮き上がった船がすごいスピ
ードで、こっちに来るんだけど」
陽子が、ラットを握っている香代に伝えた。
「熱海からの高速船だね」
隆が、陽子に言った。
「あんなに水面から浮き上がって走るんだ」
「ジェット船だからね」
「乗ってて怖くないのかな、あんなに浮き上
がって走っているの」
「岡田港に入港できるらしいよ」
中村さんは、奥に泊まっていた37フィート
のヨットから聞いた話を隆に伝えた。
「岡田港に入港できるんだったら、岡田の方
が横浜に近いし、帰りが楽になりますね」
「今日の目的地は岡田港にしましょうか」
ラッコとアクエリアスは、式根島を出航する
と大島の岡田港を目指してセーリングした。
「左から船体が浮き上がった船が来る」
陽子が言った。
「会社はあるけど」
「それじゃ、御蔵に行けないじゃないの」
麻美子は、陽子に言った。
「行きたいなって話をしていただけだよ」
隆が、麻美子に言った。
「隆の言い方は、話だけじゃなくて、本当に
会社をサボりそうにしか聞こえないけど」
麻美子の言葉に隆は苦笑するしかなかった。
「ここからテレワークで仕事するか」
「それ、良いかもね」
「もっと、あっちこっちクルージングしてい
たいよね」
陽子と瑠璃子が話していた。
「これから八丈島とか行くか?」
「八丈島より隆さんが行きたがっていた御蔵
島に行こうよ」
「そうするか、御蔵に行くか」
隆は、陽子に賛成した。
「陽子ちゃんって、週明けから会社に行かな
くても大丈夫なの?」
「え、サバ焼き!」
香代は、麻美子が作っている今夜の夕食を見
て、叫んだ。
「そう、温泉でサバ焼き定食を食べたいって
話していたでしょう」
麻美子は、香代が言っていた言葉を覚えてい
て、今夜の夕食はサバ焼きにしたのだった。
「明日は、懐かしの大島に行って、その後に
横浜に帰るんだよね」
「あーあ、横浜に帰りたくないな」
「雪、もしかして酔ってる?」
隆は、メインサロンで頬を少し赤くして、ビ
ールを飲んでいる雪に聞いた。
パイロットハウスで宴会をしていたアクエリ
アスのメンバーたちも、既に結構飲んで出来
上がっていた。
「飲み組の人たちは、夕食が無くても、何か
お酒のつまみがあるだけで良さそうね」
麻美子は、温泉組を中心に夕食を準備した。
「さて、今夜の夕食は何にしようかな」
「雪ちゃんも一緒に来ていたら、ここで食べ
ていちゃっても良いのだけどね」
隆の提案は、麻美子に否定された。
帰りは、表の道路へ出るまで、のんびりブラ
ブラと歩いてから、またタクシーを拾って、
港まで戻って来た。
「あ、お魚屋さん」
漁港に到着する少し前でタクシーから降りる
と、見つけた魚屋さんでお買い物をしてから
ラッコに戻ってきた。
「麻美ちゃん、香代ちゃんがね、サバ焼き定
食を食べたいってさ」
瑠璃子が、香代と奥にあった食堂のメニュー
を見てきた感想を伝えた。
「本当、美味しそうな定食ね」
そこの食堂のメニューは、エントランスのソ
ファにもチラシが置いてあったので、それを
眺めた麻美子が言った。
「夕食、ここで食べていってしまおうか」
隆が提案した。
「隆以外に誰も入浴していなかったの?」
「誰もいない。1人で両手両足をめいっぱい
伸ばして入浴してきたよ」
隆が自分の両腕を大きく伸ばして答えた。
「女湯は、けっこう混んでいたよね」
「男湯は、誰もいなかったら、男湯に来れば
良かったのに」
「そうね」
麻美子は、隆に答えかけて、
「いや、隆がいるじゃないの」