中古車輸出・第218話

「うん、それは大丈夫」

ゆみは、経理担当に答えた。

「だって、着払いだもの」

「着払いって」

「着払いでしょう?だから私、FOBで計算

して見積もったんだけど」

ゆみが、経理担当に質問した。

「着払いって」

経理担当は、ゆみに頷いた。

「まあ、着払いといえば着払いなんだけど」

中古車輸出・第217話

船賃は、現地に到着した時に、海外バイヤー

が入管で支払うのだった。

「船賃の計算しなくて良いから楽ね」

ゆみは、単純に考えていた。

「でも、ニュージーランドの海外バイヤーは

価格厳しいわよ」

経理担当は、ゆみに忠告していた。

「年式制限もあるから、新しい車よね?」

経理担当は、ゆみに聞いた。

「240万で足りるの?」

中古車輸出・第216話

「こんな感じかな」

「そうだな、内装がもう少し綺麗な感じで」

さすがプロの車屋さんだけに、商談は終始リ

ードされて、ゆみの方がずっと押されっぱな

しだった。

ニュージーランドは、日本から輸出できる車

に車台番号(各自動車が持っている規格、個

別番号)で制限があって、多くの輸出車輌は

大概FOB(日本港渡し価格)で輸送されて

いるのだった。

中古車輸出・第215話

「全く、ゆみちゃんは、自分の入金かぐらい

は、シャランに聞かなくても、自分でわかる

ようにしなさいよ」

経理担当は、ゆみに苦笑していた。

ニュージーランドの海外バイヤーは、現地の

車屋さんだった。

「ユミー、白いプリウスはないか」

「こんなのあるよ」

「それは車台番号が合わない」

「それではこっちは?」

中古車輸出・第214話

「なんか違うかも」

ゆみが返事した。

「ゆみちゃんみたい」

シャランが経理担当に告げた。

「どっちよ?」

経理担当が、2人に聞いた。

「ゆみちゃんの入金で合ってる」

「そうなの?」

ゆみが、シャランに確認した。

「そうよ!」

中古車輸出・第213話

「240万の入金があったんだけど」

ゆみが出社すると、経理担当が大声をあげて

皆に確認していた。

「ニュージーランドだったら私かも」

ゆみは、経理担当に返事した。

「どこの国かじゃなくて、入金額で確認して

ちょうだい」

経理担当に言われて、ゆみはシャランと一緒

に自分で書いたプロフォーマインボイスを見

直していた。

中古車輸出・第212話

いつか他にもバスの運転手さんになってくれ

る人が増えてくれるといいなと、ゆみに話し

てくれた。

「そしたら、またバスを日本から送るね」

「うん、お願い」

ゆみが、マラウィの人と話していると、

「ゆみちゃん、そんなことで1人1人に拘っ

ているんじゃなく、ビジネスなんだから少し

ドライになりなよ」

シャランが、ゆみに注意した。

中古車輸出・第211話

マラウィの海外バイヤーが毎日ザンビアまで

運転しているバスは、マラウィの村人たちに

とっても大切な交通手段で、何かあると村人

みんなで手伝ってくれていた。

「なんか良いな」

ゆみは、その話をマラウィの海外バイヤーか

ら聞いて、なんか心が暖かくなった。

「1人で毎日運転しているのは休めないし、

大変なんだ」

マラウィの海外バイヤーは、ゆみに言った。

中古車輸出・第210話

「透き通ったきれいなオイルに変わったよ」

ゆみに、メールで綺麗になったオイルの写真

を送ってくれた。

マラウィの海外バイヤーは、自分1人だけで

は交換できなかったらしく、いつも乗車して

くれるお客さんにも手伝ってもらって、オイ

ル交換を済ませたらしかった。

「お客さんと一緒のオイル交換いいな」

村人たち皆で、ゆみが輸出したバスを可愛が

ってくれる姿に感動していたゆみだった。

中古車輸出・第209話

ゆみは、改めてマニュアルのオイル交換ペー

ジを図柄入りでスキャンして英訳し、メール

に添付してから、海外バイヤーにメールし直

してあげた。

「ありがとう、英語訳もついてて、すごくわ

かりやすかったよ」

マラウィの海外バイヤーは、ゆみの送ったマ

ニュアルを見ながら、オイル交換した。

「相当走ったバスだったんだね、オイル真っ

黒だったよ」

中古車輸出・第208話

「あ、これこれ!」

ゆみが、デスクに座ったまま待機していると

経理担当がバスのマニュアルを見つけて持っ

てきてくれた。

オイル交換のページを開いて、書いてある内

容をメールに書き写してから、マラウィの海

外バイヤーさんへメールした。

「ありがとう、でもよくわからないよ」

「ごめんね、私の書き方が悪いのよね」

「日本語が読めない」

中古車輸出・第207話

「ゆみちゃん、全然違うバスばかり探してい

るじゃないの」

シャランも探すの手伝いにきてくれて、ゆみ

が探しているマニュアルを見て言った。

「ゆみちゃんって、バスの種類全然わかって

いないでしょう」

「うん、よくわからないよ」

ゆみは、シャランに答えた。

「ゆみちゃん、邪魔なだけだから、探してく

れなくていいよ」

中古車輸出・第206話

ゆみも、経理担当と一緒に、書棚の中から古

いバスのマニュアルを探していた。

「無いよね」

「もうどっかに行ってしまったのかな」

ゆみは、全然違うバスのマニュアルを手にし

ながら、以前自分が輸出したバスのマニュア

ルを探していた。

「あのバスって、どんな形していたかな」

マニュアルの表紙に付いているバスのイラス

トを眺めながら、ゆみは呟いていた。

中古車輸出・第205話

「あ、これこれ」

ゆみは、自分がいつも乗っている赤い小さな

ベンツのマニュアルを手にしていた。

「あら、そのマニュアル探していたの?」

「あ、違った。前にマラウィに古いバスを送

ってあげたじゃない」

「ぜんぜん違う車じゃないの」

経理担当は、ゆみの手にしているマニュアル

を書棚に返しながら、日野のバスのマニュア

ルを探した。

中古車輸出・第204話

「アフリカだったら、オイル交換ぐらい自分

でやるかもしれないよ」

シャランは、ゆみに返事した。

「オイル交換の何が知りたいの?」

「どこのフタを開けたらいいのかが、わから

ないらしいの」

「マニュアルとか無いのかな」

シャランに言われて、ゆみは思いついて経理

担当の後ろのマニュアル類が置かれている書

棚を探し始めた。

中古車輸出・第203話

「オイル交換?私も知らないわよ」

経理担当が、ゆみに答えた。

「私も知らない」

シャランも答えた。

「自分の車のオイル交換はどうしてるの?」

シャランは、ゆみに聞いた。

「東京の、家の近くのガソリンスタンドに持

っていっているけど。そうよね、オイル交換

なんて、自分でやったりしないよね」

ゆみは、シャランに頷いた。

中古車輸出・第202話

「ゆみの負担も、そんなでもないさ」

社長は気軽に言って、育成部門担当者からの

提案は、早速採用されることが決まった。

「来月も全体では、この金額の売上げ、各自

でもそれぞれの目標目指して達成しよう」

社長は、ホワイトボードの数字を指差しなが

ら、皆に伝えて今月の売上会議は終了した。

「井馬さん、オイル交換ってどうやるの?」

「オイル交換?私も知らないわよ」

会議が終わり、ゆみは経理担当へ質問した。

中古車輸出・第201話

「早速、ホームページも作れますの案内も、

受講前にも掲載しよう」

社長が、育成部門担当者に指示した。

「輸出にホームページって、ゆみちゃんの負

担がまた増えちゃいますね」

経理担当が、社長に言った。

「え、いやそれほど増えないだろう」

社長が答えた。

「彼女は頑張り屋さんだし、仕事も早いから

そのぐらいならば大丈夫だろう」

中古車輸出・第200話

「今までは、中古車輸出業を覚えましょうっ

て案内して、受講した後で、海外バイヤー向

けホームページを作レますよって案内してい

ますけど」

育成部門担当者が提案した。

「受講前から中古車輸出業を覚えられて、必

要な海外バイヤー向けホームページも作れま

すよって案内したら、どうでしょうか」

「確かに、それなら受講時から受講料と制作

を取れるから、売上げアップになるな」

中古車輸出・第199話

「新規の受講者を増やすにはどうするか」

社長が担当者達に聞いた。

「SEOですかね」

「オンライン通信教育サイトのアクセスを増

やさないとダメですかね」

「そうだな」

社長は、担当者達の意見に頷いた。

「そのためには、何か新しい企画だな」

社長が言った。

「ええ、何か受講してみたくなるような」

中古車輸出・第198話

「はい、今月の予算がもう無いから、来月に

なってから続きの分は注文するそうです」

「それは楽しみだな」

社長は、ゆみの返事に満足気に頷いていた。

「輸出部門の売上げは伸びているが」

社長が、育成部門担当者に言った。

「育成部門の方がちょっと少ないな」

「そうですね」

「オンライン通信教育の方、新規の受講者が

あまり増えていないようだな」

中古車輸出・第197話

社長は、ホワイトボードの今月の合計粗利金

額を書き直しながら、呟いた。

「会社として、毎月このぐらいの粗利が出て

いれば、全く問題なしなんだけどな」

社長は、皆に言った。

「この売上げが続けば、会社の業績も好調に

なるし、皆のボーナスだって大きく出るよう

になるぞ」

社長は、今月の売上げを満足そうに言った。

「来月もドイツは注文くれるんだって?」

中古車輸出・第196話

「仕入れられないのか?」

ゆみは、社長に聞かれて首を横に振った。

「うん。今月分にドイツの売上げ分も入れて

も良いだろう」

「でしたら予想落札価格で、+70の210

万ですかね」

経理担当は、急いで電卓を打って計算すると

計算結果を社長に伝えた。

「ああ、このぐらいの売上げあると、これで

やっと次が見えてくるよな」

中古車輸出・第195話

「え、なんで?入金はあったんだろう」

「入金はありましたけど、ゆみちゃんがまだ

車を仕入れてませんし」

「入金あったら、それはもう売上げとして計

算してしまっても良いだろう」

社長は、経理担当に言った。

「売上げは金額ベースで考えて良いだろう」

社長は、経理担当に言った。

「そうですか、車がまだ仕入れできるかがわ

かりませんけど」

中古車輸出・第194話

「入金、入金の経理の声からすると、もう少

しいくかと思ったのだが」

社長に、少し欲が出てきていた。

「社長、それは欲張りすぎ」

経理担当は、社長に苦笑していた。

「ドイツからも2回目の注文来たしな」

社長は、ゆみに言った。

「ドイツの売上げは、まだ今月分には入れて

いませんよ」

経理担当は、社長に伝えた。

中古車輸出・第193話

「まあ、シャランはモルジブのエリアを切り

開いたしな」

社長は、シャランをフォローしてくれた。

「しかし、全体での売上げ金額の達成率が少

し少ないよな」

社長は、ホワイトボードに書かれた全員の売

上げ金額を合計しながら呟いていた。

「ゆみは、140万だけか」

社長は、ゆみの売上げ金額を見て質問した。

「140万でも、80より60多いですが」

中古車輸出・第192話

「そうですね、海外バイヤーとのやり取りも

慣れてきたというか、かなりスムーズにして

いるみたいですしね」

経理担当は、ゆみの商談時の様子を社長に伝

えていた。

「しかし、他の営業担当は全員目標達成でき

ずなのか」

社長は、本来の営業担当者たちに聞いた。

「私、あと5万だけ足りずだったんだけど」

シャランが言った。

中古車輸出・第191話

経理担当が、計算の苦手なゆみの代わりに、

ゆみの売上げ分の粗利を報告した。

「おっ、随分といったな」

社長は、経理担当からのゆみの売上げ報告に

微笑んでいた。

「確か、彼女の先月の目標って、80万では

なかったか」

「そうですよ、80万でしたね」

経理担当は、社長に伝えた。

「うん、なかなか調子づいてきたな」

中古車輸出・第190話

「あと来月になったら、されにもう少し注文

するって言ってくれているの」

ゆみは、経理担当に返事した。

「さあ、そろそろ今月の売上会議をやるぞ」

午後、社長が皆を会議用テーブルに集めた。

「まずは部長から行くか」

部長の報告を筆頭に、皆が順番に自分の売上

げを報告していく。

「で、ゆみは?」

「140万ですね」

中古車輸出・第189話

ゆみがプロフォーマインボイスを作成すると

ドイツの海外バイヤーがすぐに送金手続きし

てくれた。

「ゆみちゃん、これドイツからの入金?」

経理担当に聞かれて、ゆみは頷いた。

「ずいぶん金額が高いけど、なんの車なの」

「2台分」

「ああ、2台分なのね」

経理担当は、金額に納得した様子だった。

「1台がベンツで、もう1つはポルシェ」

中古車輸出・第188話

「ああ、ドイツで中古車屋やってる。それで

次の車もオーダーしたい」

ドイツの海外バイヤーは、ゆみに言った。

「次?」

「ああ、まだまだいっぱい注文するぞ」

そして、ドイツの海外バイヤーとの商談が、

今後も長く続いていくこととなった。

「そうね、ベンツの方は140万、ポルシェ

は180万でどうかしら」

「オーケイ。ファインファイン」

中古車輸出・第187話

「ユミー、久しぶりだね」

「あら、お久しぶり」

「送ってくれたポルシェ届いたよ、最高だっ

たよ!ほんの少しの整備ですぐ売れた!」

それは、ゆみが車の初受注できたドイツの海

外バイヤーさんからだった。

「そうなの?それは良かったわ」

「エンジンも殆ど調子悪いとこも無く、すぐ

に店頭へ並べられたよ」

「そうなのね、車屋さんだったわね」

中古車輸出・第186話

「160万には、日本からケニアまでの船賃

も全部込み込みなのよ」

「そうか、それだったら安い方なのか」

そして、数日後には、横浜の貿易会社にウガ

ンダからも入金があった。

「入金ありがとうね。良いハイエースコミュ

ーターを仕入れて、そちらに送るわね」

「ああ、お願いします。天窓の付いたハイル

ーフタイプのでお願いね」

ウガンダ海外バイヤーは、ゆみに依頼した。

中古車輸出・第185話

「良いハイエースなんだけど、もっと安くな

らないのかな」

ウガンダ人海外バイヤーは、ゆみに言った。

「だって、ウガンダの車屋さんでは300万

はするのでしょう?」

「まあ、そうね」

「それを私は、160万で見積もってあげて

るのよ。しかも船賃込みよ」

ゆみは、送ったプロフォーマインボイスを再

度、ウガンダ海外バイヤーに提示した。

中古車輸出・第184話

「皆、ケニアのモンバサ港から乗って来たお

客さんたちだ」

ケニアの港や空港からウガンダに遊びに来る

観光客たちを乗せている乗合タクシーなのだ

そうだ。

「こんな運転手さんをやりたいのね」

「そう、そうなんだ」

ゆみは、ウガンダ人海外バイヤーにハイエー

スを見積もってあげた。

「いい感じのハイエースじゃないか」

中古車輸出・第183話

ゆみが、海外バイヤー宛にハイエースコミュ

ーターの写真を送ると、

「そう、それそれ!」

案の定、ウガンダ人海外バイヤーから早速返

事が返ってきた。

「ユミ、この写真を見てよ」

ウガンダ人海外バイヤーは、ゆみにウガンダ

の首都であるカンパラの街の写真を見せた。

土を踏み固めただけの広場に、たくさんのハ

イエースコミューターが停車していた。

中古車輸出・第182話

「どうせ、またハイエースとはいっても、コ

ミューターの方のハイエースよね」

ゆみは、ウガンダはアフリカで、ハイエース

なのでコミューターと察していた。

「屋根も高いやつじゃないとだめなのよね」

ゆみは、中古車オークション会場のサイトに

ログインすると、ハイエースしかもコミュー

ター、さらには天井が高くなっているハイエ

ース、天井辺りに小窓も付いたのを探した。

「こんな感じのが欲しいのでしょう?」

中古車輸出・第181話

「今月は80万の目標を達成しなければなら

ないものな」

部長は、ゆみの売上げを満足そうに頷いた。

「ほかの皆も、彼女を見習って頑張れよ」

部長は、本来の営業担当者たちにも、ハッパ

をかけていた。

「え、ハイエースが欲しいのね」

そんなゆみは、もう別のウガンダ人の海外バ

イヤーと次の商談を進めていた。

「バスタイプのハイエースで良いですか」

中古車輸出・第180話

「そうなのね。だけど、このぐらいの状態だ

と、見た目だけでなくエンジンとか色々」

「そうか、それはそうだよね」

海外バイヤーも、ゆみの意見に同意した。

そして、その数日後にミャンマーより横浜の

貿易会社宛に165万の入金があった。

「また今回の入金も、ゆみちゃんなの」

経理担当は、会社の銀行口座の入金額を確認

して驚いていた。

「この所、ゆみちゃんの入金が多いわね」

中古車輸出・第179話

「でも、これはお勧めしない。だって、絶対

に壊れるもの」

「確かに、このトラックはやめよう」

お友達も、ゆみに同意した。

「まあ、見た目は、そのぐらいでも良いんだ

けどね」

お友達は、ゆみに返事した。

「だって、俺は、ペンキ塗りは良くやるので

いろいろ得意なんだけどね」

お友達は、ペンキ塗りの経験があるようだ。

中古車輸出・第178話

「でも、もう少しだけ安くならないか」

「そうね。それじゃ165万でどうかな」

1日考える時間を作ってから、海外バイヤー

宛にメールで返信した。

「やっぱり、良いトラックだし、そのぐらい

は、掛かってしまうんだね」

「うん、本当は、こんな魚を運ぶトラックも

あるんだけど」

ゆみは、古くてあっちこっちかなり傷んでい

る活魚トラックの写真を送った。

中古車輸出・第177話

ミャンマーの海外バイヤーからメールが届い

た日の午後、お友達からもメールが来た。

「これって、いくらぐらいで買えるんだ」

「そうね、170万かな」

「少し高くないか」

お友達は、ゆみに言った。

「だって、日本にだって、そんなに多くある

車じゃないもの」

「そうか、それはそうだね」

お友達は、ゆみに返事した。

中古車輸出・第176話

魚を運ぶ車とは、活魚を出す料理屋さんの前

に、たまに停まっていたりする荷台部分に大

きな水槽が付いていて、中で魚が泳いでいる

トラックのことだ。

「これ、横にお魚さんの絵が入っていて、可

愛いじゃないの」

ゆみは、何台か見つけたお魚のトラックの写

真を、ミャンマーの海外バイヤーに送った。

「魚が描かれたトラックの写真を友達に転送

しておいたよ」

中古車輸出・第175話

「お魚さんを運ぶ車」

ゆみは、中古車オークション会場のサイトに

ログインして、少し調べてみる。

「あ、そんなに数は無いけど、確かに何台か

あるわよ」

ゆみは、タンク車を送ってあげたミャンマー

の海外バイヤーにメールを書いていた。

彼の友達が、日本から届いたタンク車を見て

日本に魚を運ぶ車もあるのならば、買いたい

と言われたのだそうだ。

中古車輸出・第174話

「駐車場じゃなくても良いのね、畑だらけの

真ん中だし」

ゆみは、送られてきた写真を見ながら、シャ

ランと話していた。

「何、その写真?」

経理担当も、写真を覗きこんだ。

「まあ、周りに何もない畑だらけの場所ね」

「何もない田舎よね」

シャランも、言った。

「タンク車が余計に大きく見えるわ」

中古車輸出・第173話

「ミャンマーの人がタンク車届いたって」

ゆみは、ミャンマーからの返信を読んで、シ

ャランに伝えた。

「そうなんだ、良かったわね」

ミャンマーの海外バイヤーは、ゆみから届い

たタンク車を大変気に入ってくれたそうで、

自宅の家の前の道に停まっている大きなタン

ク車の写真を撮って、見せてくれた。

「道に停めているのね」

シャランが、写真を見て、言った。

中古車輸出・第172話

「あ、これってうちの車」

ゆみが、書棚の中に自分の車のマニュアルを

見つけた。

「じゃ、持って帰ったら」

「でも、同じマニュアルが、もう車の中に入

ってしまっているもの」

ゆみは呟いた。

「そうよね、もう入っているわね」

経理担当は答えた。

「だから、貯まっていってしまうの」

中古車輸出・第171話

してもらう。

車検証は輸出抹消証に変わるが、その他のマ

ニュアル類はそのまま残ってしまう。

行政書士は、手続きが終わった後で、依頼主

に返却してくるのだった。

「いっぱい貯まってしまっている」

「そうなのよ、ゆみちゃん持って帰ってよ」

経理担当が、マニュアル類の処分に困ってし

まうほど、書棚には大量のマニュアルが並ん

でいた。

中古車輸出・第170話

「このバスマニュアルは?」

「要らなければ、ここに置いておきなさい」

経理担当は、自分のデスクの後ろ側にある書

棚を指差した。そこには、他にも多くの車の

マニュアル類が整然と並んでいた。

「ここに置いておけばいいの?」

ゆみは、自分のデスクの上にあったバスのマ

ニュアルも棚に並べた。

車を輸出するときには、車検証の書類を行政

書士に依頼して、運輸局で輸出抹消証に変更

中古車輸出・第169話

の車を買ったんでしょう?ゆみちゃんは?」

「私は、もともとお母さんの車だし」

ゆみは、答えた。

「お母さんに買ってもらったようなものね」

「ゆみちゃんって甘えん坊だね」

シャランが2人の話を聞いて、返事した。

「甘えん坊っていうか、お嬢様なのよね。お

母さんにとっては、次女が可愛くて可愛くて

しょうがないのね」

経理担当が、シャランに言った。

中古車輸出・第168話

「名義とかも、ゆみちゃんの名義なの?」

「うん。変えてもらったよ」

ゆみは、経理担当に答えた。

「保険が、私の名義の方が良いみたい」

「それは、確かにそうね」

「お姉ちゃんが自分の車を買ったから、それ

でお母さんが、ゆみにも自分の車をって変え

てくれたの」

ゆみは、経理担当に説明した。

「でも、お姉ちゃんは、自分のお金で自分

中古車輸出・第167話

ゆみは、バスのマニュアルに困惑していた。

「ゆみちゃんの車じゃないでしょう。ゆみち

ゃんのお母さんの車でしょう」

経理担当が、ゆみに聞いた。

「ううん、私の車だよ」

ゆみは、答えた。

「お母さんの車だったんだけど、もう私しか

乗らないからって、私の車になったの」

「そうなの?」

経理担当は、ゆみに聞いた。

中古車輸出・第166話

「私は、バスの屋根ですぐわかったの」

ゆみは、シャランに言った。

「なあに、これ?」

ゆみがトイレからデスクに戻ると、机の上に

バスのマニュアルが置かれていた。

「それ、ゆみちゃんのよ」

ゆみは、経理担当に言われた。

「私の?」

「なんかの時に使ったら」

「私の車って、赤い小さなベンツだけど」

中古車輸出・第165話

「どうだったの、ちゃんと迷わずに行けた?

バスの写真は撮れたの?」

ゆみが会社に戻ると、皆が心配してくれた。

「大丈夫、道は少し迷ったけど、ちゃんとバ

スの写真いっぱい撮れたわよ」

ゆみは、シャランたちに答えた。

「道は迷わなかった?」

「カーナビがまた迷ったわ」

「カーナビじゃなく、ゆみちゃんが迷った」

シャランは、ゆみの言葉を言い直した。

中古車輸出・第164話

「お嬢さんがね、アフリカまで届けるんだ」

守衛のおじさんは、ゆみのことを頻りに褒め

て、感心してくれた。

「私が届けるわけじゃないけど」

ゆみは、おじさんに答えた。

「RORO船っていう自動車専用船が、アフ

リカまで届けてくれるんだけどね」

「ほお、詳しいね」

「車を輸出する貿易会社で働いているから」

ゆみは、おじさんに説明した。

中古車輸出・第163話

ゆみは、バスの側まで行くと、前後左右と何

枚も写真を撮ってから、車内に入った。

運転手さんの席や乗客の席、後方に付いてい

たトイレの中、収納棚などありとあらゆる場

所を撮影してあげた。

「あなたが落札したの?」

「はい。アフリカのマラウィって国の人が購

入したんです」

「へえ、あなたがアフリカまで、このバスを

届けてあげるとは」

中古車輸出・第162話

最終的には、保税地域の塀の上から出ていた

バスの青い屋根で見つけたゆみだった。

「あの、」

ゆみは、入り口の守衛さんに声をかけた。

「私の落札したバスの写真を撮りに来たので

すけど」

ゆみは、車を入り口の駐車場に停めて、守衛

さんに質問した。

「ああ、どうぞ」

守衛さんは、ゆみのことを通してくれた。

中古車輸出・第161話

「あ、あった!」

ゆみは、自分が落札したバスの青い屋根を見

つけて興奮していた。

昨日、新潟から横浜の埠頭に陸送されてきた

ばかりのバスだった。

今朝、カーナビへ埠頭にある保税地域の住所

を入力してきたのだが、案の定、道に迷って

しまったゆみだった。

「カーナビさん、ここどこなの?」

カーナビさんにも、わからない。

中古車輸出・第160話

「大黒ふ頭のところだから、ちょうど東京か

らくる途中ぐらいの場所よ」

経理担当が、地図を持ってきて、ゆみにバス

が届く場所を説明してくれた。

「カーナビ付いているんでしょう?」

「カーナビあるけど、私ってすぐ迷うの」

ゆみは、シャランに言った。

社長も車を持っていないし、会社で車を持っ

通勤に使っているのは、東京から通っている

ゆみ1人だけだった。

中古車輸出・第159話

「私が行くの?」

「そうだよ。おまえは車で通勤してるんだろ

う。通勤前に寄ってきて撮ってくればいい」

社長は、ゆみに言った。

「そうよ、自分の車を持ってるのゆみちゃん

だけなんだし」

シャランも、社長に同意した。

「いつも、お母さんの車で、東京からここま

で通勤しているんでしょう」

経理担当も、ゆみに言った。

中古車輸出・第158話

ゆみは、アフリカの海外バイヤーの気持ちを

考えて困惑していた。

「彼にとっては、大金投じて買ったバスだろ

うし、早く見たいよね」

「撮ってきたい車はどこにあるんだ?」

社長が、ゆみに聞いた。

「いま新潟から横浜港へ陸送しているの」

ゆみの代わりに、経理担当が社長に答えた。

「そしたら、横浜港に着いたら、おまえが行

って写真を撮ってくればいい」

中古車輸出・第157話

「そんなの無理」

ゆみは、シャランに断られてしまった。

「でも、マラウィの運転手さんは、せっかく

買ったばかりのバスで、早く見たいのよ」

「そう言われても、無理なものは無理だから

ゆみは、シャランに言われてしまった。

「ぜったい恥ずかしいから、陸送屋さんに写

真撮ってなんて頼まないでよね」

「なんて言って断ろう」

ゆみは、困惑していた。

中古車輸出・第156話

大型のバスなどでは、カーキャリアーには乗

っからないので、自走して運ばれてくること

となった。

「こういうのを自走って言うんだ」

ゆみは、自走のことを初めて知った。

「運転手さんに、バスの写真を撮ってもらえ

るように頼んでもいいのかな?」

ゆみは、シャランに質問した。

アフリカの海外バイヤーが自分のバスの写真

を撮ってメールで送ってほしいと言うのだ。

中古車輸出・第155話

さな中古車オークション会場にあった古い中

古バスを落札したのだった。

「ゆみちゃん、横浜まで陸送してくれる」

ゆみは、経理担当に指示されて、新潟で落札

した中古バスを横浜港まで陸送するように手

配した。最近では、陸送の手配も簡単にでき

るようになってきたゆみだった。

「自走してもよろしいですか」

小さな自家用車だとカーキャリアーに積んで

陸送されるのが一般的だった。

中古車輸出・第154話

ゆみは、前に経理担当の伊馬さんが話してい

たことを思い出した。

「小さいオークション会場か」

ゆみは、中古車オークション会場のサイトで

地域別に検索してみると、大阪にHAA神戸

という会場を見つけた。

「ここの会場なんか、掘り出し物がわりと見

つかりそうな感じの会場ね」

ゆみは、HAA神戸の車をいろいろ確認して

回ったが、結局そこでは入札せずに新潟の小

中古車輸出・第153話

「だから、言ったじゃない」

シャランは、ゆみに言った。

「村の人皆のための優しいバスの運転手さん

だから、絶対にバスを送ってあげるなんて理

由で、仕事は取ってはいけないのよ」

「だって、良い人に思えたのだもの」

ゆみは、シャランに言われて、軽くショック

を受けていた。

「小さいオークション会場の方が安く落札で

きたりするのよね」

中古車輸出・第152話

今回、なかなか低めの金額で見積もってしま

ったため、利益をわずかでも取ろうと思うと

なかなか入札できるバスが見つからない。

「なんか難しいな。もしバス見つからなかっ

たらどうしよう」

ゆみは、不安になってきていた。

せっかく入金してもらったけど、返金するし

かないのかなとも考えていた。

「ね、シャラン、どうしよう?」

「私に聞かれても知らないけど」

中古車輸出・第151話

「ゆみちゃん、90万の入金が入ってくるの

待っているんじゃないの?」

ゆみは、朝出社すると、おはようの挨拶前に

経理担当から声をかけられた。

「あ、アフリカのバスの運転手さん」

「入っていたわよ」

ゆみは、経理担当に返事した。

「良かった!嬉しい」

ゆみは、中古車オークション会場のサイトと

にらめっこしていた。

中古車輸出・第150話

ゆみが中古車オークション会場で探し出した

バスの写真を送ってやると、マラウィの海外

バイヤーからすぐに返事が返ってきた。

「このバスを、送ってくれたプロフォーマイ

ンボイスの値段で買えるのか?」

「うん、なんとか大丈夫よ」

ゆみは、海外バイヤーに返事した。

ゆみが送ってあげたバスは、日野の28人乗

りで、通路には折りたたみの補助席も付いた

バスだった。

中古車輸出・第149話

だから、いつも少し見積額高いかなと思って

も、多めに金額を上乗せしてプロフォーマイ

ンボイスを書いていた。

でも、今回の海外バイヤーは予算ギリギリだ

し、シビアに見積もるしかなさそうだった。

「もっと、田舎のローカルな中古車オークシ

ョン会場の車から探すしかないか」

これとかは、どうかな。

「ゆみ、このバス良いじゃん、いいじゃん」

海外バイヤーからすぐに返事が来た。

中古車輸出・第148話

「うーん、このバスならどうかな」

ゆみは、中古車オークション会場のサイトで

古いバスとにらめっこしていた。

「もう少し安いのないかな?」

ゆみは、自分が見積もった金額で、会社が赤

字になってしまうのも嫌だった。

「会社には迷惑をかけたくないし」

計算間違いしてあると思っていた利益が無く

なってしまうのも、もっと嫌だった。

「私、計算が苦手だからな」

中古車輸出・第147話

「それでは、村の皆全員を乗せられない」

彼は、ゆみに相談していた。

もっとちゃんとした大きなバスが欲しいのね

偉いじゃない、村の皆のために大きな本格的

なバスで始めたいとか、ゆみは思った。

「少し古いバスになっても良いかな?」

「古くても良い、もう予算がギリギリで、こ

の予算で買えるバスないだろうか」

ゆみは、本当に村の皆のためのバスを探して

いるの見つけてあげたいなと思った。

中古車輸出・第146話

「そうか、バスの運転手になりたいのね」

ゆみは、今日も海外バイヤーとメールのやり

取りをしていた。

相手は、マラウィに住むアフリカ人で、マラ

ウィの村からザンビアの町へ通勤する人たち

が大勢いるのだが、彼らを町まで運ぶバスの

本数が少ないのだそうだ。

それで、バスの運転手になりたいようだ。

「ハイエースには、18人まで乗れるバスタ

イプの車があるのよ」

中古車輸出・第145話

しかも、横浜の貿易会社の会社IDで中古車

オークション会場に出入りし、そこで知り合

った日本人の中古車屋さんと仲良くなって、

中古車オークション会場の入会まで紹介して

もらってしまっていた。

「全く信じられないような奴だな」

社長は、彼のことを一際可愛がって、中古車

輸出業のことを指導していただけに、かなり

ショックを受けていた。

「何から何まで教えてやったのに」

中古車輸出・第144話

そのオーストラリア人も、入社後は、社長の

書いた教本を読んで、中古車輸出業のやり方

を覚えていた。

1ヶ月後、中古車輸出業のやり方を覚え終わ

ったからと横浜の貿易会社は辞めてしまって

会社のすぐ近所、徒歩15分ぐらいの所に事

務所を借りて、そこで自分の中古車輸出会社

を起業させてしまっていた。

「日本人なら考えられない恩知らずの奴だ」

社長は、彼のことを憤慨していた。

中古車輸出・第143話

「どうだ、できそうか?」

「はい、この教本を読みながらやれば、簡単

にできそうな感じです」

社長は、自分が書いた教本がわかりやすいと

言われて、嬉しそうだった。

ゆみが働いている横浜の貿易会社は、人の出

入りが激しい会社で、つい先日もウガンダの

人が入社後すぐに退社したばかりだった。

先日のオーストラリアの人も退社していて、

人の入れ替わりが激しい会社だった。

中古車輸出・第142話

「だめよ、バレバレなんだからサボりは」

シャランに言われてしまったゆみだった。

「なるほど、この本は読みやすいですね」

イアンは、社長に言われて、社長が著者の会

社で発売している、育成部門のオンライン通

信教育でも教本として使用している中古車輸

出業の教本を読んでいた。

オンライン通信教育の受講者たちが、読んで

いる教本だったが、会社に新人が入社した時

の新人教育用の教本としても使っていた。

中古車輸出・第141話

「私、いまグルジアの人と話してるから、そ

の海外バイヤーをあげようか」

ゆみは、イアンに言った。

「いや、それは、ゆみの海外バイヤーなんだ

から、ゆみがやれ」

イアンにロシア系の海外バイヤーを分けてあ

げようとしたら、部長に断られた。

「ゆみちゃん、グルジアのバイヤーとの取引

をサボろうとしたね」

「だって、私は営業じゃないし」

中古車輸出・第140話

ロシア、旧ソビエト連邦から独立した国々に

多い名前だった。

日本側の沿岸にある中国の港から、これらの

国々へは、鉄道が通っており、日本からコン

テナ船に中古車を載せて、そのまま輸送する

ことができた。

モンゴルなんかも、日本からコンテナ船で中

国の港経由で鉄道で輸送できる。

「ゆみ、告っちゃえば」

「だから、違うって」

中古車輸出・第139話

「今日から一緒に働くイアン君だ」

「よろしくお願いします」

白人の男性は、流暢な日本語で会社の皆に挨

拶した。ロシア系のカザフスタンから来た青

年だった。

「ゆみちゃん、良かったね」

「え、そんなんじゃないよ」

ゆみは、シャランに苦笑した。

カザフスタンやウズベキスタンとかスタンが

につく国名は、ロシア系の国だった。

中古車輸出・第138話

「面接に来ました」

「ありがとうございます、どうぞこちらへ」

ゆみは、背の高い白人を社長室へ案内した。

「ね、すごいかっこ良い人だと思わない」

「そうかな、私のタイプじゃないかな」

みなと横浜で、車の海外輸出をしている貿易

会社だけあって、ゆみの勤める貿易会社には

海外の人たちからの応募も多かった。

「背が高くてスラっとしてイケメン」

ゆみは、うっとりしていた。

中古車輸出・第137話

「うん、海外バイヤーに、どの車にするか聞

いているところ」

「そうか、入札するのはその後か」

「うん」

ゆみは、シャランに答えた。

「すみません、面接に来ました」

会社の入り口に背の高い白人が立っていた。

「はーい」

会社出入り口に一番近い席に座っているゆみ

が、来客者の対応もしていた。

中古車輸出・第136話

「あ、船が出航しない港もあるのか」

「そう、新潟会場なんかも横浜港まで陸送し

たりすることもあるわ」

「なるほど、落札した会場と輸出先の国への

船が出航する港と合わせて、陸送する港は考

えないといけないのね」

ゆみは、シャランに教えてもらっていた。

「あと、終わったらアフリカのハイエースも

落札するんでしょう」

シャランは、ゆみに聞いた。

中古車輸出・第135話

「そうか、福岡の会場で落札したから福岡の

港に陸送するのね」

ゆみは、シャランに頷いた。

「うん、大阪会場なら大阪港、名古屋会場な

ら名古屋港みたいに」

「なるほどね、北海道会場なら北海道港、沖

縄会場なら沖縄港ね」

「北海道とか沖縄だと船が直接出ていなかっ

たりするから、東北とか九州まで持ってくる

こともあるけどね」

中古車輸出・第134話

「シャラン、これで大丈夫よね」

ゆみは、初めて自分で書いた陸送申込書の内

容をシャランに見せた。

「うん、大丈夫じゃない。え、待って」

シャランは、経理担当の方に振り返った。

「伊馬さん、船は横浜から出すんですか?」

「ううん、福岡港よ」

「ですよね。だったら横浜港でなく福岡港に

陸送しなきゃ。福岡で落札した車は、福岡の

1番近い港から出す方が経費も効率も良い」

中古車輸出・第133話

「本当に落札出来ているんだ」

シャランは、経理担当の差し出した落札通知

の用紙を見て答えた。

「ゆみちゃんには、こっちね」

経理担当は、ゆみに陸送申込書を手渡した。

「今回、福岡から出すからアトラスさんに依

頼するから、船のブッキングは、こちらでや

るわ。だから、オークション会場から港まで

の陸送を依頼してちょうだい」

ゆみは、経理担当に命じられた。

「まだ、よくわからないよ」

中古車輸出・第132話

「え、もう落札したの?」

「うん」

ゆみは、シャランに頷いた。

「だって、入札、落札は簡単じゃない」

そこは、本職がウェブデザイナーだけに、パ

ソコンの操作はお手のものだった。

「落札するの早くない?」

「本当に落札されているわ。福岡のローカル

なオークション会場の車に落札したのね」

経理担当は、オークション会場からファック

スされてきた落札通知の紙を見せた。

中古車輸出・第131話

「ゆみちゃん、また中古車オークション会場

で落札しなきゃだね」

「うん、ミキサー車は、この間いっぱい扱っ

ているところ見つけたの」

ゆみは、シャランに答えた。

「じゃ、いまオークション会場用のパソコン

空いているから、今入札してきなよ」

シャランに言われて、ゆみは、会社で中古車

オークション会場用に使っているパソコンの

ところに移動すると、そこでミャンマー向け

のミキサー車を落札して戻ってきた。

中古車輸出・第130話

シャランが、ゆみに叫んだ。

「また入金あったのか、なんか海外バイヤー

とのやり取りにすっかり慣れたな」

社長が、ゆみに言った。

「うん、なんか最近は、海外バイヤーも皆、

割とすぐにお返事返してくれるの」

「そうか、返事の書き方にも慣れてきたな」

社長は、ゆみの進歩に満足そうだった。

「こうなってくると、この先は、おもしろい

ように車の注文が取れるようになるぞ」

社長は言った。

中古車輸出・第129話

「ね、ゆみちゃんじゃないの?」

シャランが、ゆみに聞いた。

「ミャンマーからは、もうお金入っているし

そんなに何件も、私のお金入らないわよ」

ゆみは、首を横に振った。

「もう1回確認してみな」

「あ、私かな?ハイエースの人かな?」

ゆみは、自分が送ったプロフォーマインボイ

スを1件ずつ確認して答えた。

「ハイエースなら180万なんだけど」

「ゆみちゃんじゃないの!」

中古車輸出・第128話

「私も、モルジブからはまだもう少し入金ま

でには、日数が掛かるかな」

シャランも、経理担当に返事した。

「70万ですかね?」

それぞれ営業担当者たちが経理に返事した。

「70万ではないわね、180万よ」

経理担当が答えた。

「180万の入金待っている人いないの?」

経理担当が、もう一度皆に聞いた。

「さあ、知らない」

誰も心当たりのある営業担当はいなかった。

中古車輸出・第127話

「220万の入金。ゆみちゃんでしょう?」

「そうかもしれない、ミャンマーの人よね」

ゆみは、経理担当に答えた。

「ずいぶん高いけど、なんの車なの?」

「ミキサー車」

ゆみは、経理担当に答えた。

「他に、シャランか誰かで入金を待っている

人は、いない?」

経理担当は、営業担当全員に聞いた。

「いや、今の所は誰も待っていないかと」

部長が、経理担当に答えた。

中古車輸出・第126話

「行ってみたいな。っていうか、マダガスカ

ルも大きな島なのね、私ずっとマダガスカル

ってアフリカ大陸の中にある国なのかと思っ

ていた」

ゆみが、パソコンで地図を確認しながら、常

識はずれなことを呟いているのを聞いて、シ

ャランは思わず自分のデスクで作業しながら

吹き出してしまっていた。

「ゆみちゃん、入金あったわよ」

マダガスカルを眺めていたゆみに、経理担当

から報告があった。

中古車輸出・第125話

「リングテールルマーのいる島よね」

ゆみは、シャランに答えた。

リングテールルマーは、黒白の、シマシマの

長い尻尾があるアライグマみたいな顔をした

シルバー色のお猿さんだ。

世界中の国の名前を、動物たちの故郷で覚え

ている動物好きのゆみだった。

「モーリシャスってきれいな島ね」

ゆみは、ネットでモーリシャスの島を確認し

て言った。世界のリゾートアイランドで、富

裕層たちの人気の観光地なのだそうだ。

中古車輸出・第124話

「次はモーリシャスか」

ゆみは、次の海外バイヤーからの返信メール

を開いて、中身を確認していた。

「モーリシャスってなに?」

ゆみは、オファーメールの内容を確認して呟

いた。モーリシャスってどこの国よ。

「アフリカの島よ。マダガスカルの向こうに

ある島」

シャランが、ゆみの大きな声の独り言に反応

して、返事をしてくれた。

「マダガスカルは知ってるわ」

中古車輸出・第123話

ハーイの後は、すぐにこんな車があるよって

海外バイヤーさんが希望している車を写真付

きで案内してあげるだけの方が、反応が良い

ように思えた。

それが、この1ヶ月間ずっと何十人もの海外

バイヤーとやり取りしてきての、ゆみとして

の海外バイヤーへの返信のやり方だった。

他の人にとっては、会社の自己紹介から始め

て、やり取りをスタートさせるのがベストな

のかもしれない、でもゆみにとっては、返信

での会社案内とかは不要という結論だった。

中古車輸出・第122話

「なんか会社の自己紹介みたいのいらない気

するな」

ゆみは、いつもオファーメールへの最初の返

信では、私は横浜の貿易会社の何々で、こん

な仕事をしていますみたいな自己紹介を付け

ていたが、何回か海外バイヤーに返信してい

るうちに特に自己紹介は必要ないように感じ

てきていた。

「ハーイ、誰々さん。アムユミー」

それだけで十分だなと感じていていた。

「その後の自己紹介は無くてもいいな」

中古車輸出・第121話

「マラウィの海外バイヤーさんなんだ。ラン

ドクルーザーをご希望ですね」

アフリカは、動物たちがたくさん暮らすサフ

ァリが多いのか、ジープ特にランドクルーザ

ーのオファーが多かった。

もちろん、ハイエースコミューターのオファ

ーも多いのだが、それと同じぐらいにランド

クルーザーのオファーも多かった。

「何に使うのだろうか。ライオンさんとかキ

リンさんの世話とかするのかな」

ゆみは、アフリカの様子を想像していた。

中古車輸出・第120話

それらの情報を写真と共に、ミャンマーの海

外バイヤーへ返信してあげた。

「そしたら、ミャンマーは、お返事が来るま

で待っていればいいから」

ゆみは、次のメールを開いた。

「次は、アフリカの方ね」

ゆみは、まるで自分のメールボックスに入っ

ている海外バイヤーたちが、歯医者の待合室

で診察の順番待ちしているように、いや銀行

で受付の順番待ちしているように見立てて、

メールを順番に対応していた。

中古車輸出・第119話

ゆみは、オークション会場のサイトにログイ

ンすると、ミキサー車を検索してみる。

けっこう、いろいろなミキサー車が出品され

ていた。

ゆみは、個人的にタマゴの形をしたタンク部

分にEGGと書かれているミキサー車が可愛

くて好きだった。

「彼の予算に、はまるミキサー車で何か良い

ものはあるだろうか」

ゆみは、オークション会場サイト上でいくつ

か良さそうなミキサー車を選んだ。