「こういう展示場形式のヤードを、もっと他
の多くの国々で持てたらいいのにな」
社長は、小倉と経理担当に話していた。
「そんなに、上手く見つかりませんよ」
経理担当は、社長の欲に苦笑していた。
「でも、カンパラの手数料があるから、輸出
部門の毎月の売上確保が楽になっただろう」
「経理計算も余裕が持てます」
「本当に、楽になりましたよ」
小倉も、社長に返事した。
「こういう展示場形式のヤードを、もっと他
の多くの国々で持てたらいいのにな」
社長は、小倉と経理担当に話していた。
「そんなに、上手く見つかりませんよ」
経理担当は、社長の欲に苦笑していた。
「でも、カンパラの手数料があるから、輸出
部門の毎月の売上確保が楽になっただろう」
「経理計算も余裕が持てます」
「本当に、楽になりましたよ」
小倉も、社長に返事した。
「もうカンパラ大作戦は、うちで預からなく
ても、蒲原さんと受講生たちだけで十分に販
売していけそうな感じだな」
社長は、カンパラ大作戦成功に満足だった。
「うちは、何もしないで手数料だけ入るのが
良いですね」
小倉まなみも、社長に笑顔で報告していた。
「小倉は、よく蒲原さんのメールを見落とさ
ずに気づいてアクション起こしたな」
「たまたまですけど」
育成部門担当者達は、受講者たちに横浜の貿
易会社でカンパラに展示場を持ったから、カ
ンパラで売れると知らせた。
「販売手数料はどのぐらいですか」
「カンパラで販売するには、どのようにする
のですか」
受講者たちからの反応はよく、カンパラ大作
戦用の自動車は、うちの横浜の貿易会社で輸
出しなくても、受講者たちが輸出する自動車
だけで展示場は満杯になってしまった。
「あのー、社長」
小倉まなみが社長に手をあげた。
「育成部門の受講者達にも協力してもらった
らどうでしょうか」
小倉まなみは、社長に提案した。
「まだ中古車輸出業は始めたばかりで、海外
「そうだな、それは良い考えだ」
社長は、育成部門担当達に伝えた。
「カンパラ大作戦のこと教えてやれ」
社長は、育成部門の担当者達に命じた。
「このプロジェクトは題して、カンパラ大作
戦と名付けようと思う」
小倉まなみと社長が中心になって、カンパラ
大作戦のプロジェクトは全社あげて進行する
こととなった。
「うちは車を輸出してあげるだけ」
「後は、現地の日本人、蒲原さんがカンパラ
で販売するんですよね」
「横浜の貿易会社の名前も、現地の販売場に
輸入元として掲載してもらえるんだ」
「うちは、車を仕入れてウガンダに輸出して
あげれば良いだけだ」
社長は、輸出部門の担当者を全員集めると、
内容を説明した。
「ウガンダのパンパラにある土地っていうの
は、保税地域で、そこに日本から輸出した車
を販売、購入した人は、関税を支払って持ち
帰る」
社長が言った。
「この企画は、きっとカンパラで受けるぞ」
「なんだか、おもしろそうな話じゃないか」
社長は、小倉まなみに言った。
「とりあえず、俺と小倉で会ってみようか」
「今は日本に帰ってきているらしいです」
「それじゃ、会社まで来てもらって打ち合わ
せようじゃないか」
「相手は、日本人ですし、日本語で打ち合わ
せできますよ」
「そうだな」
社長と小倉は、話し合っていた。
「ゆみちゃんが、返事してみてよ」
小倉まなみは、ゆみに命じた。
「この人、日本人だったよ」
ゆみは、その海外バイヤーからもらった返事
を、小倉に説明した。
「ウガンダのカンパラの街中に、広い土地を
持っているんですって。それで、そこに日本
から輸入した中古車の一台基地を構えて、そ
こで車を販売したいんですって」
小倉は、ゆみの話を社長に説明した。
「ゆみちゃん、このメールなんだろう?」
小倉まなみは、ゆみに質問した。
「なんだろう、よくわからない」
小倉まなみが質問したメールは、横浜の貿易
会社に問い合わせてきたメールで、アフリカ
に大きな市場を開きたいのだが、支援しても
らえないかというものだった。
「この人に返事してあげた?」
「ううん、私はまだ何も返事してないけど」
ゆみは、小倉まなみに返事した。
「本当に、これだけ毎度、ドイツ行きの依頼
して頂けると、うちとしても助かります」
船会社、アマカップの担当者は、経理担当と
輸出関連での打ち合わせを話し合っていた。
「彼女がドイツの担当者なんですよ」
経理担当は、打ち合わせが終わって帰社時に
ゆみのことを担当者に紹介した。
「あ、彼女が担当なんですか」
担当者は、まだ若い女性が担当で毎月何台も
輸出していることに驚いていた。
ドイツに、かなりの数のポルシェやらベンツ
やらを輸出することになったが、船会社の担
当窓口の人も特殊なエンジンの掛け方につい
て覚えていてくれたので、また再度聞かれる
ことはなかった。
これだけ続けざまにドイツへポルシェなどを
輸出していると、経理担当も、すっかり船会
社の担当窓口とも仲良くなってしまった。
「いつもお世話になっています」
担当者が会社へ訪問して来ることもあった。
「次のポルシェ出す時に、また船会社から聞
かれるかもしれないしね」
「はーい」
ゆみは、経理担当に頷いた。
「もし忘れてしまったら、小倉さんに聞く」
「自分でも覚えておきなさい」
その後、ドイツの海外バイヤーとのお付き合
いは長く続いて、かなりの数のポルシェやら
ベンツやらを輸出することになった。
「またアマカップに依頼しましょう」
小倉まなみが、ポルシェのエンジンの掛け方
について、輸出部門の皆へ解説していた。
「ポルシェって普通の車と違って、アクセル
とギヤの入れ方が特殊で、うまく調整してか
らでないとエンジンが掛からないのよ」
「へえ、そんなの知らない。初めて聞いた」
シャランが、小倉に返事した。
「ゆみちゃん、次からは、ちゃんと覚えてお
きなさいよ」
経理担当は、ゆみに命じた。
ゆみは、ポルシェのエンジンの掛け方で検索
してみた。サイドレバーを引いて掛けるみた
いな事が書かれていた。
「なんだかわからない車ね」
経理担当は、ドイツ行きの船会社との電話を
切ると呟いた。
「ゆみちゃんのポルシェって、古いポルシェ
ばかりだから故障しているんでしょう」
シャランは、経理担当に聞いた。
「アクセルとギヤで掛けるのよ」
「ね、ゆみちゃん」
経理担当は、ドイツに出航している船会社の
担当者と電話で話しながら、ゆみを呼んだ。
「はーい」
「ポルシェのエンジンの掛け方って、どうや
って掛けるか知っている?」
経理担当は、ゆみに質問した。
「キーを差して、キーを回してかけないの」
「それだと掛からないらしいのよ」
経理担当は、ゆみに言った。
「あら、すごい!もう4回目分」
経理担当は、ドイツ海外バイヤーからの注文
サイクルの速さに驚いていた。
「明日、3回目のポルシェが港で船積みよ」
経理担当は、ゆみに言った。
「輸出書類の準備終わったんだ」
ゆみは、経理担当に答えた。
「ゆみちゃんが、ちゃんとスムーズに行政書
士へ依頼できたからよ」
「うん!だいぶ手続きのこと慣れてきた」
「きっと、海外バイヤーの気持ちをうまく引
き出しているから、ゆみちゃんは、ちょいち
ょいと海外バイヤーから送金もらえるのよ」
経理担当は言った。
「ポルシェとベンツが届いたって」
ゆみは、ドイツの海外バイヤーから来たメー
ルを読んで、経理担当に報告した。
「2回目の輸出分のこと?」
「うん、それでこれから4回目のポルシェの
注文を打ち合わせるの」
「これがいいかな」
ゆみは、ジャマイカの海外バイヤーとも相談
して、トランク部分に大きなウーファースピ
ーカーの付いた日産テラノを、中古車オーク
ション会場から落札した。
「ゆみちゃんのバイヤーって、大きなスピー
カーとか、バスの運転手したいとか個人的な
変わったこと希望する人が多くない」
「ゆみちゃんが聞き出し上手なんじゃない」
経理担当は、シャランと話していた。
「送金額で買えるのならば」
経理担当が、ゆみに言った。
「もし金額が足りないのならば、追金で入金
してもらえるのなら買えるわよ」
「そうか!そうよね」
ゆみは嬉しそうに、経理担当に答えた。
「何の車に変えるの?」
「テラノ、大きなスピーカーがトランクに付
いているやつ」
ゆみが答えた。
「アウトランダーじゃなくテラノがいいな」
「え、今から車の種類を変えるの?」
「ああ、なんか友達のテラノが、でかいスピ
ーカー付いてていいな」
ジャマイカ海外バイヤーは、ゆみに言った。
「シャラン、最初の車から違う種類の車に変
えてもいいの?」
「何それ、わがままじゃない」
シャランは、ゆみに返事した。
「別に変えても良いんじゃないの」
「まだこっちに届くには数日掛かるね」
シャランは、ゆみに言った。それから、数日
して経理担当から報告があった。
「入金あったわよ」
経理担当は、ゆみに伝えた。
「落札してもいいの?」
「それは、私でなく海外バイヤーさんに聞き
なさい」
ゆみは、ジャマイカの海外バイヤーへ入金確
認の連絡と今後の入札について話していた。
「ジャマイカって南米かな」
「南米じゃないよ、カリブ諸島よ」
シャランは、世界地図の地理に乏しいゆみに
苦笑していた。
「そうなんだ、私の初めての南米海外バイヤ
ーだと思っていたのに」
「なんか車の注文がきたの?」
「うん、三菱アウトランダーが欲しいって」
「入金は?」
「さっき、銀行から送金してくれたそうよ」
ゆみは、育成部門担当と打ち合わせていた。
新しい受講者の海外バイヤー向けホームペー
ジを作ることが、輸出部門に配属しているゆ
みにとっては、唯一の育成部門の担当者達と
の接点ではあった。
「そんな感じで制作を進めてくれる」
「はい、わかりました」
ゆみは、育成部門担当との打ち合わせを終え
て、早速、彼のホームページのデザインを作
り始めていた。
ゆみは、育成部門担当から新しい受講者から
のホームページ依頼の資料を受け取った。
新しい受講者の海外バイヤー向けホームペー
ジも、ゆみが制作していて、新しい受講者達
は、そのホームページを基に自動車輸出業を
スタートしていくのだった。
「青色をベースにした爽やかな感じのホーム
ページをご希望なのね」
「それで、少し和風テイストにしてほしいの
だそうだ」
「ホームページを任せておけば、その分、本
来の営業に集中できるだろう」
「ええ、全くその通りです」
それが、社長の方針でもあり、横浜の貿易会
社の育成部門での方針でもあった。
「ゆみちゃん、新しい受講者が1人入って、
彼からも、ホームページの制作依頼が来たん
だけど」
「はい、わかりました」
ゆみは、育成部門担当者に返事した。
ゆみは、小倉に言われるように修正していた
「私、自動車整備工場を退職した後、1人で
車の販売していた頃は、ホームページの修正
がうまくできなくてイライラしていました」
小倉は、社長に言った。
「ゆみちゃんに任せられるようになって、す
ごい気が楽になったです」
「そうだろう、ホームページの制作は、専門
家に任せておけばいいのさ」
社長は、小倉に言った。
「ね、ゆみちゃん。ホームページだけどさ」
小倉は、ゆみの制作しているホームページの
内容について構成を指示していた。
「ここのところを、もう少し車の写真を大き
めにできないかな」
小倉は、以前社長に言われたように、自分は
商談中心に進めながら、ホームページの構成
については、ゆみを指示して内容を修正させ
るようになっていた。
「こっちの写真を大きめにするのですね」
社長は、小倉の初月受注額に満足していた。
「小倉が輸出部門の皆を引っ張って受注を上
げていってもらえれば、ゆみだって、また本
来のサイト制作だけに戻れるぞ」
社長は、ゆみに言った。
「ゆみちゃん、サイト制作に戻りたいの?」
経理担当は、ゆみに聞いた。
「サイトの制作だけじゃなくて、輸出の実務
だって好きでしょう」
ゆみは、経理担当に頷いた。
「今月の売上げだけど、さすがだな」
社長は、月末の売上げ報告会議では、小倉の
ことを褒めていた。
「今月も、ゆみちゃんの海外バイヤーからの
送金額も多かったわよ」
経理担当が、社長に言った。
「それでも、小倉の送金額の方が多かったの
は、さすがプロフェッショナルだな。この感
じで、営業担当皆の売上げがどんどん伸びて
いってくれると良いんだけどな」
「受講者にも、彼女に作らせたホームページ
を基に海外バイヤーと商談を進めさせて、車
の輸出することをメインに教えているんだ」
「なるほどね」
「小倉も、ホームページはゆみに任せて、海
外との商談をどんどん進めていってくれ」
「確かに、それが良さそうですね」
小倉まなみは、社長に言われたように、商談
中心に進めていきながら、車の輸出方法を1
つ1つ覚えていく事にした。