中古車輸出・第24話

育成部門のスタッフは皆、日本人だった。3

人とも大学を出て数年ぐらいの若いスタッフ

ばかりだ。

それに対して、輸出部門のスタッフは、部長

とゆみを除いて、他は全て外国人スタッフば

かりだった。

輸出部門は、少し前まではベトナム人、オー

ストラリア人にカナダ人のスタッフだった。

現在は、アフリカのケニア人、タンザニア人

にスリランカ人の構成だった。

結構、入れ替わりの激しい部署だった。

中古車輸出・第23話

「そうなんだ。ハイエースならば、いくらで

もあるんじゃないの」

「まあ、そうだろうけど」

2人は、笑顔で笑っていた。

「古物商許可証って、どうやったら取れるの

さ。警察に行っても、文句ばかり言われて取

れないよ」

受講者から愚痴をこぼされる時よりも、

「初めて車のオファーが届いたよ」

そう報告される方が、受講者達の成長も感じ

られて嬉しくなる瞬間だった。

中古車輸出・第22話

「オファーが来たんだってさ」

育成部門の担当者が、ゆみの作ってあげたホ

ームページに車のオファーが初めて来たこと

を、ゆみに報告してくれていた。

「そうなの、良かった」

ゆみは、彼に言った。

「アフリカからのオファーで、ハイエースを

リクエストされているんだそうだ」

輸出部門担当者は、話してくれた。

「これから、中古車オークション会場から車

を探して、返事を書くんだそうだ」

NY恋物語・第50話

「ゆみちゃん!」

ミスタールビンに良明をお願いして、自分の

クラスに戻ろうと歩き出したゆみは、教室の

後方から呼び止められた。

「あら、こんにちは」

ゆみは、ヒデキに挨拶した。

ヒデキも、ミスタールビンの英語の授業を受

けていたのだった。

「どうしたの?ゆみちゃんもミスタールビン

の授業を受けるの?」

ヒデキは、ゆみに聞いた。

NY恋物語・第49話

「ゆみ、久しぶりじゃないか」

ミスタールビンは、ゆみに日本語で言った。

ミスタールビンは、大学で日本語を勉強して

いて、日本人と同じぐらい上手に、きれいな

日本語を話せる先生だった。

「うちのクラスのヨシュワキー君です」

ゆみは、ミスタールビンに紹介した。

「こんにちは、ヨシュワキー君」

ここPS24小学校では、日本から来たばか

りの日本人生徒たちを集めて、ミスタールビ

ンが英語の授業を行なっていた。

NY恋物語・第48話

「私たち、先に行っているね」

シャロルは、ゆみに言った。

ゆみたちの午後の授業は音楽だった。ゆみは

良明をミスタールビンの教室に連れて行かな

ければならなかったので、シャロルは、先に

音楽室へ向かった。

「これからミスタールビンの教室に行くの」

ゆみは、良明に説明した。

「ミスタールビンは、私よりも日本語がすご

く上手だから、話しやすいと思うよ」

ゆみは、良明に伝えた。

NY恋物語・第47話

「私のサンドウィッチ、半分食べる?」

ゆみは、自分の分のサンドウィッチを半分、

良明に差し出したが、良明は、結局それも全

く何も食べてくれなかった。

「ゆみ!」

アスター先生が、ゆみたちの座っているテー

ブルにやって来た。

「午後からの授業なんだけど、午後は、ヨシ

ュワキーはミスタールビンの授業なので、ミ

スタールビンのところに連れて行ってあげて

ちょうだい」

NY恋物語・第46話

アメリカの学校でのお弁当は、紙袋にサンド

ウィッチと缶ジュースを入れて持ってきてい

る子が殆どだった。

「ごはんだよ」

ゆみも、自分の紙袋を開くと、中から持って

来たサンドウィッチと小さな缶ジュースを出

して食べは味めた。

良明は、横の席に座ったままだ。

「ごはん持って来ていないの?」

ゆみは、良明に聞いたが、良明は黙ったまま

椅子に腰掛けていた。

NY恋物語・第45話

いつの間にか、ゆみは、日本語で説明すると

いうよりも、良明の手を引っ張って、移動さ

せるようになっていた。

「マイケルじゃないけど、ゆみのそれっても

はや通訳じゃないよね」

シャロルも、ゆみの通訳を笑っていた。

食堂には、机と椅子が用意されていて、生徒

たちは、そこへ腰掛けてお昼を食べる。

お昼ごはんは、給食ではなくて、生徒たちそ

れぞれが持参して来た自分のお弁当を食べる

ことになっていた。

NY恋物語・第44話

「ゆみ、その通訳ならば、俺は日本語を全く

話せないけど、俺でも出来ると思うぞ」

マイケルが笑いながら、ゆみに言った。

確かに、今のゆみの誘導は、日本語らしい言

葉をまるで使っていない、手で引っ張っただ

けだった。

ランチタイムは、学校の地下にある食堂へ行

って、そこで食事をするのだった。

「食堂に行くのよ」

どうせ、ゆみが話す日本語は良明には通じな

いのだから、手振りで説明し始めていた。

NY恋物語・第43話

「次はランチタイムです、生徒の皆さんは教

室の前に並んでください」

アスター先生は、皆に言った。

午前の授業中、ずっとゆみは自分のルーズリ

ーフを広げて、良明にも見せて、一生懸命、

先生の話している授業の内容を説明していた

のだったが、ゆみの日本語が通じないらしく

て、良明はずっと黙ったままだった。

「ランチタイムよ。前に並ぼう」

ゆみは、良明の手を引っ張って、椅子から立

ち上がらせると、一緒に前へ並んだ。

NY恋物語・第42話

「アスター先生!ゆみの日本語がおかしくて

全然通訳になっていません」

マイケルが手を上げて笑いながら、アスター

先生に報告した。

「ゆみも、アメリカ生活の方が長くて、あま

り日本語得意じゃないから困ったわね」

アスター先生は、マイケルに苦笑した。

「ゆみちゃんは、簡単な日本語で良いから、

彼に説明してあげなさい」

もっとお兄ちゃんと日本語の勉強をしておけ

ば良かったと思っても今更手遅れだった。

NY恋物語・第41話

「私、ゆみ。ヨシュワキー君、こんにちは」

やはり、良明は何も言わず黙ったままだ。

「ね、たぶん日本語の発音おかしいのよ」

シャロルは、ゆみに言った。

以前、ヒデキ君たち日本人とゆみが会話して

いた時にも、ゆみの日本語の発音がおかしく

て、ヒデキたち日本人にさえ、ゆみの言葉が

通じなかったことがあったのを思い出した。

「そうかもしれない」

ゆみが、困ったようにシャロルの顔を見た。

「どうしたら良いかな」

NY恋物語・第40話

ゆみは、アスター先生に言われて、良明を自

分の隣の席に案内した。

「ヨシュワキー君、ここがあなたの席よ」

ゆみは、手で引っ張って椅子に座らせると、

良明に言った。

「ここ、あなたの席」

ゆみが話しかけても、良明は黙っていた。

「ゆみ、ゆみの日本語って発音下手だから通

じていないんじゃないの」

それを見て、親友のシャロルが、向かいの席

からゆみに言った。

NY恋物語・第39話

ゆみの隣の席には、マイケルがいた。

「マイケルは、向かい側のシャロルの横に席

を変わってちょうだい」

アスター先生は、ゆみの横の席を空けると、

そこに良明のことを座らせた。

「ヨシュワキー、ゆみの隣があなたの席よ」

アスター先生は、良明に伝えた。

「英語じゃ通じないか。ゆみ、あなたが日本

語で説明してあげてちょうだい」

アスター先生は、ゆみに命じた。

「こんにちは、ここがあなたの席よ」

NY恋物語・第38話

「えーと、彼の名前は、」

アスター先生は、紙に書いてある良明の名前

を読み上げようとして、苦労していた。

「これは、どう読んだらいいのかしらね」

アスター先生は、日本人の名前の読み方の難

しさに悩んでいた。

「えーと、多分ヨシュ。ヨシュワキーかな」

アスター先生は、なんとか読み切った。

「日本人同士だから、ゆみの隣の席にしまし

ょうか。ゆみちゃん、色々教えてあげてね」

アスター先生は、ゆみに言った。

NY恋物語・第37話

アスター先生は、良明には英語が通じないと

は思ったが、一応そんなことをお喋りしなが

ら、良明と歩いていた。

「はーい。皆さん、授業を始めますよ」

アスター先生は、教室の入口に立つと、中に

いる生徒たちに声をかけた。

「今日は、新しく仲間になる日本から来た新

入生を紹介します」

アスター先生は、良明のことをクラスの生徒

たちに紹介した。

「彼の名前は、」

NY恋物語・第36話

アスター先生は、良明と一緒に廊下を歩いて

教室へ向かっていた。

「こんにちは、アスターといいます」

アスター先生は、良明に自己紹介したが、良

明には英語が通じなかったようだった。

「まだ日本から来たばかりで、英語じゃわか

らないのか」

良明は、黙ったまま、歩いていた。

「うちのクラスには、日本人の女の子がいる

のよ。席は、その子の隣にする予定だから、

いろいろ学校のことは、彼女に聞いてね」

NY恋物語・第35話

岡島の奥さんも、中山先生たちと一緒に2人

の教室へついて行くことになった。

「隆くんは、もうここまでで良いわよ」

「良いんですか?」

「隆くんは、会社だってあるでしょう」

中山先生は、隆のことを解放してくれた。

「それじゃ、宜しくお願いします」

隆は、中山先生たちと別れると、車に戻って

マンハッタンの会社へ出勤した。

「意外に、早く解放してもらえた」

隆は、車の運転しながら呟いていた。

NY恋物語・第34話

そして、アスター先生は、良明を連れて自分

のクラスへと行ってしまった。

「こんにちは、行きましょうか」

ミラー先生は、美香に言うと、今度は、美香

を連れて一緒に行ってしまった。

由香と末っ子の萌香は、担任の先生に加えて

中山先生も一緒に、それぞれの教室へ向かう

こととなった。

「お母さんも、お子様たちと一緒に教室へ見

に行きますか?」

「お願いします」

NY恋物語・第33話

そして、中山先生は、奥にいたミラー先生に

声をかけて呼んだ。その手前にいたアスター

先生にも声をかけた。

「あ、今日からの新入生よね。承りました」

アスター先生は、中山先生に返事した。

「うちのクラスに入るのは彼かな」

アスター先生は、中山先生に確認すると、良

明のことを中山先生から引き継いだ。

「私も、ご一緒にクラスまで行きますか?」

「いらないわ。大丈夫よね」

アスター先生は、良明の顔を覗き込んだ。

NY恋物語・第32話

妹のゆみが通っている学校だし、ゆみは、こ

の学校では優等生で通っていて有名なので、

出会う先生皆に声をかけられて大変だった。

「あ、中山先生!」

「あ、隆くん」

中山先生は、この学校で学校事務の仕事して

いる日本人の事務員だった。

「先生、今日から岡島さんのところの子が通

うんで、宜しくお願いします」

「ああ、そうだったわね。聞いているわ」

中山先生は、隆に返事した。

NY恋物語・第31話

「ゆっくりめに走るから、明日からの通学の

ために学校までの道を覚えるといいよ」

隆は、皆に言った。

隆は、学校に着くと、かつて知ったる学校な

ので、入口から中に入るとすぐ手前にある職

員室に入って、中山先生の姿を探す。

「お、タカシ!元気ですか?」

「ハロー、ゆみがお世話になっています」

隆は、知っている先生に出会う度、皆に挨

拶をしていた。

「お世話になっています」

NY恋物語・第30話

「それじゃ、行きましょうか」

隆の愛車、オールズモービルの助手席には、

岡島さんの奥さんが座っていた。後部座席に

は、岡島さんの4人の子供が座っていた。

「学校って車で通うの?」

「歩いていけるから大丈夫だよ。今日だけは

俺が皆を学校まで送ったら、そのままマンハ

ッタンの会社に出勤しなければならないから

車で行くけど」

隆は、美香に説明した。

「それじゃ、出発するよ」

NY恋物語・第29話

「お兄ちゃんも、うちの学校へ来るの?」

「そうだな。10時ぐらいに行くけどな」

隆は、ゆみに答えた。

「10時?それじゃ、私は授業に遅刻してし

まうんだけど」

「ゆみは、時間になったら1人で行きな」

「一緒に行けないの?」

「遅刻しちゃうだろう」

隆に言われて、ゆみは1人で学校へ行った。

「なんだ、つまらない」

「行ってらしゃい」

NY恋物語・第28話

月曜日の朝、朝食を食べ終わった後、隆はソ

ファに座って、のんびりとテレビの朝のニュ

ース番組を見ていた。

ゆみは、朝食の後片付けをしながら、不思議

に思っていた。

「片付け終わったのか」

「うん」

ゆみは、隆に答えた。

「お兄ちゃん、会社に行かないの?」

「今日は、岡島さんたちを学校へ案内してか

ら、会社に出社するからゆっくりなんだ」

NY恋物語。第27話

「わからないぞ、アスター先生のクラスにな

るかもしれないぞ」

アスター先生は、ゆみのいるクラスの担任の

先生だった。

「そうかな」

ゆみは、隆の言葉にも、この件に関してはあ

まり期待していなかった。

「ゆみも一緒のクラスになれるといいだろう

「それは良いけど無理よ」

ゆみは、隆に答えた。

「でも、期待はしたって良いだろう」

NY恋物語・第26話

「ゆみと同じ学校に通うんだぞ」

「そうかな」

「美香ちゃんが、ゆみと同じクラスになるか

もしれないぞ。ゆみも日本人の友達がほしい

って言っていただろう」

隆は、ゆみに言った。

「同じクラスにはならないよ、だっていつも

日本人の生徒はロールパン先生のクラスだも

の、私と同じクラスにはならないよ」

PS24小学校では、日本人生徒が転校して

くると、ロールパン先生のクラスだった。

NY恋物語・第25話

「岡島さんの家族は5年生の男の子と妹が3

人いるんだよ」

「そうなのね」

ゆみは、あまり興味なさそうに答えた。

「その妹のうち、1番上のお姉さんが、ゆみ

と同い年の3年生なんだ」

「私と同い年なの」

「そう」

隆は、ゆみに答えた。

「そして、彼女たちはPS24に通うんだ」

「私と同じ学校じゃないの」

NY恋物語・第24話

「今日はさ、岡島さんのお迎えにケネディ空

港まで行ってきたんだ」

隆は、ゆみに伝えた。

「誰?私の知らない人」

「知らなくはないんだぞ。ゆみだって、小さ

い時には岡島さんにいっぱい抱っこしてもら

って、俺がうまく食事させられない時、代わ

りにごはん食べさせてくれたんだぞ」

隆にそう言われても、ゆみには全く記憶がな

く全然覚えていなかった。

「全然覚えていないんだけど」

NY恋物語・第23話

「ゆみの肉じゃが美味しいな」

隆は、夕食を食べながら、ゆみに言った。

「良かった」

「おまえは会った事ないはずなのに、おまえ

の料理は、お母さんの味と同じ味するよ」

隆は、妹の顔を覗きこみながら言った。

「最近、少しアメリカンっぽいけど、顔もお

母さんにますます似てきているな」

隆は、仕事から帰ってくると、姿だけは家に

母親がいるみたいに思えていた。

「私って、お母さんに似ているんだ」

NY恋物語・第22話

「うん、おばあちゃんが日本から送ってくれ

たじゃがいもで作ったの」

髪色も少し茶っぽく日本人離れしたアメリカ

ンな感じの少女が、少したどたどしい発音の

日本語で、隆に返事した。

髪は染めているわけではない、こっちの生活

が長く環境がそうしてしまっていた。

「ふふ、おまえは可愛いな」

隆は、エプロン姿のゆみを抱きしめていた。

小さい頃からずっと育ててきた妹なので、兄

であり父であり母でもあった。

NY恋物語・第21話

隆が岡島さん達に言った。

「何か困ったことあったら、すぐに呼んでも

らえれば、7階から駆けつけますので」

隆は、岡島さんの部屋を出ると、エレベータ

ーで降りて、7階の自分の部屋に戻った。

「ただいま」

隆は、家に帰ると、家で待っていてくれた妹

に声をかけた。

「お帰りなさい」

「お、今日は肉じゃがなのか?」

隆は、キッチンの鍋の中を覗き込んだ。

NY恋物語・第20話

「お父さん、脱いだ服がそのままになってい

るよ、仕方ないわね」

美香が、お父さんのベッドの上に脱ぎ散らか

されている服を呆れたように眺めた。

「それでは、後はごゆっくり」

隆は、岡島さんの家族に挨拶した。

「帰ってしまうの?」

「うん、妹が家で待っているからね」

「そうか」

「ちなみに、俺も、このアパートメントの7

階に住んでいるから、これから宜しくね」

NY恋物語・第19話

「さあ、どうぞ」

隆は、岡島さんから預かってきた家の鍵でド

アを開けると、岡島さんの家族を部屋の中に

招き入れた。

「うわ、広い家!」

隆が、リビングやダイニングと部屋を順番に

案内して確認していく。

「ここが君たち女性陣の部屋かな、そっちが

良明くんの部屋になるのかな」

隆が案内しながら、車から持ってきた荷物を

それぞれの部屋に入れた。

NY恋物語・第18話

「そう、このアパートメントの17階の部屋

が君たちの新しい家」

「そうなんですね」

「君たちのお父さんは、少し前にアメリカへ

先に来ていて、もうここに住んでいるよ」

「お父さん、先に住んでいたんだ」

美香は、隆に答えた。

「部屋へ案内しますね」

隆は、岡島さん達の家族と車を降りると、エ

レベーターに乗って上がっていく。

「大きなエレベーター!」

NY恋物語・第17話

「俺が会社で仕事して、ゆみが料理とか洗濯

とか家の中のことをしている」

「すごい!」

美香は、隆の話を聞いてますます驚いた。

「ほら、到着したよ」

隆は、車をアパートメントの駐車場に入れな

がら、皆に告げた。

隆たちのアパートメントは、マンハッタン郊

外のリバーデールという町に在った。

「ここが、私たちの新しい家なの」

美香は、建物を車の窓から見上げていた。

NY恋物語・第16話

隆は、岡島さんに感謝を伝えた。

「え、それじゃ、ゆみちゃんってお父さんも

お母さんもいないの」

「いないよ、俺だけ」

隆は、運転しながら美香に答えた。

「ごはんとかは、隆さんが作ってあげている

の?」

「昔は作っていたけど、最近は、料理はゆみ

が担当で作っている」

「そうなんだ」

美香は、同い年で料理しているのに驚いた。

NY恋物語・第15話

高校を卒業したばかりの隆に、そう簡単に就

職先など見つかるはずもなかった。

「隆くん、うちの総務部で働らかないか」

そんな時に、声をかけてくれたのが父親と同

じ商事会社のニューヨーク支店で働く岡島さ

んだった。

当時、父親はニューヨーク支店の支店長を務

めていた。そして、岡島さんがうまく話をつ

けてくれて、支店の総務部に配属してもらえ

ることとなったのだった。

「ありがとうございます」

NY恋物語・第14話

日本の祖父母や親族は、隆に妹はアメリカの

施設に預けて帰国しろと命じた。

しかし、隆には、今や両親を失って、家族は

まだ幼い妹1人しか残されていなかった。

「俺、進学はしないよ!こっちで仕事を見つ

けて妹を育てることにする」

隆は、帰国しろと言う祖父母や親族たちに自

分の決意を伝えた。

しかし、隆は、それまで進学する予定で、就

職活動も一切していなかった。

「どこに就職したら良いんだろうか」

NY恋物語・第13話

「隆は日本へ帰ってきなさい」

日本の祖父母や親族は、1人残された隆に提

案していた。

「日本に帰国するなら妹も連れて行く」

隆は、祖父母や親族たちに伝えていた。妹は

少し前に未熟児室から出てきたばかりで身体

がまだ弱い子だった。

日本行きの長時間の飛行機に搭乗できるだけ

の体力も持ち合わせていず、日本へ帰国する

ことはできなかった。

「アメリカは福祉がしっかりしているのよ」

NY恋物語・第12話

病院の職員たちが担架を抱えて、すぐに飛び

出して救助してくれた。

しかし、父と母は即死だった。

「うそでしょう、これから妹と2人だけで、

どうしたら良いんだよ」

隆は、幼い妹を抱えて呆然としていた。

3月

ジャパニーズスクールに通う隆にとっては、

高校卒業間近のことだった。

高校を卒業したら、隆1人で帰国して、日本

の大学へ入学することが決まっていた。

NY恋物語・第11話

それでも、ようやく未熟児室から出て、父親

が迎えに来て、母子ともに退院となった。

退院の朝

病院のエントランスロビーに飛び込んできた

大型トラックに巻き込まれて、隆たちの両親

は亡くなってしまった。即死だった。

「え、お父さん!お母さん!」

事故の時、たまたま妹を抱きかかえてエント

ランスのソファに腰掛けていた隆は、妹とも

どもトラックの事故には巻き込まれずに助か

ったのだった。

NY恋物語・第10話

十年前、隆の母親は出産のため、ニュージャ

ージー州の病院にいた。

18歳、高校卒業間近の隆のすごく歳が離れ

た妹が生まれようとしていたのだった。

「お母さんは大丈夫よ、大丈夫だから」

隆の横には、大学時代からの親友だった岡島

さんが付き添ってくれていた。

オギャーオギャー!

少し難産ではあったが、妹のゆみは無事誕生

した。しかし、未熟児で生まれた妹は、しば

らく未熟児室から出ることはできなかった。

NY恋物語・第9話

「良明は、日本では野球していたのよ」

「へえ、こちらにいる日本人の子同士でも、

よく近くの公園で野球してますよ」

隆は、岡島の奥さんと話していた。

「本当に懐かしいわ」

岡島の奥さんは、助手席から運転している隆

見ながら話しかけていた。

「あの当時は、本当にお世話になりました」

「ううん、元気そうで何よりだわ」

岡島の奥さんは、7年ぶりの再会を懐かしそ

うに隆と話していた。

NY恋物語・第8話

隆は、岡島さん達と駐車場の車に戻ると、岡

島さんたちの荷物をトランクに入れた。

「良明も手伝いなさいよ」

「はい」

岡島さんの息子が、スーツケースを持ち上げ

てトランクに入れた。

「お、力持ちだね」

「いえいえ」

「体つきも大きくて、スポーツとか得意そう

じゃないか」

隆は、良明のがっしりした肩を触った。

NY恋物語・第7話

「そうよ」

岡島さんの奥さんが、隆に答えた。

「学校は、家の近くの公立小学校で良いんで

すよね」

「ええ」

「それなら、うちの妹と同じ学年のクラスに

通うことになるかもしれない」

「そうなんだ、それだと心強い」

美香は、隆に言った。

「妹と仲良くしてやってくれな」

美香は、隆に言われて頷いていた。

NY恋物語・第6話

「隆さんよ」

岡島さんの奥さんは、自分の子供たちに隆の

ことを紹介した。

「こんにちは、もしかして美香ちゃん?」

「はい!」

3人いる女の子の中で1番大きい子が、隆に

元気に答えてくれた。

岡島さんの家族は、3人の女の子以外に、大

きな男の子が1人いた。

「君が美香ちゃんか、うちの妹と同い年なん

でしょう」

NY恋物語・第5話

「要らないわよ、隆くんのことはすぐにわか

ったわよ。何年もの付き合いじゃない」

「俺もわかるとは思ったんですけど、あれか

ら何年も経っていますし」

隆は、笑顔で岡島さんの奥さんに答えた。

岡島さんは会社の上司でもあるが、奥さんは

隆の亡くなった母親の大学時代に仲の良かっ

た大親友の同級生でもあった。

「ゆみちゃんは元気?」

「ええ、おかげさまで」

隆は、岡島さんの奥さんに返事した。

NY恋物語・第4話

「隆くん」

隆は、ウェルカムボードを広げようとしてい

たちょうどその時に、背後から声をかけられ

て振り向いた。

「あ、岡島さん!ようこそ、NYへ」

隆は、岡島さんの奥さんに気づき、慌てて挨

拶をした。

「お久しぶり」

「このボード、せっかく作ってきたけど、要

らなかったですね」

隆は、岡島さんに答えた。

NY恋物語・第3話

隆は、バッグから『ウェルカム岡島様』と書

かれたウェルカムボードを取り出すと、日本

からの便が着く到着ロビーへと向かった。

今日、日本からここに到着する岡島さん一家

のお出迎えにやって来たのだった。

会社の上司の家族で、総務部に配属している

隆にとって、転勤して来る社員家族のお出迎

えや彼らのニューヨークでの生活を支えると

いうことは大切な業務の一つだった。

「岡島さんの奥さんとは、妹が生まれて以来

久しぶりの再会だな」

NY恋物語・第2話

会社でちょっとしたトラブルがあり、空港へ

向かう出発時間が少し遅れてしまっていたの

だった。

「やれやれ、なんとか間に合いそうだ」

今井隆は、父から引き継いだオールズモービ

ルを空港の駐車場に停めた。

「ラッキー!日本からの便は多少到着が遅れ

ているじゃん」

隆は、空港の到着案内を確認していた。

「さてと」

隆は、ホッとして一息ついていた。

NY恋物語・第1話

「やばいな、遅刻しちゃうかもな」

今井隆は、愛車のオールズモービルを運転し

ながら呟いた。

このオールズモービルは、7年前に亡くなっ

た父が運転していた車だった。父が大切にし

ていたその車を、隆が未だに大切に乗り続け

ているのだった。

「なんとか間に合ってくれ」

マンハッタンからジョージワシントンブリッ

ジを渡ると、郊外に在るジョンFケネディ空

港を目指してフリーウェイを飛ばしていた。

中古車輸出・第21話

最初のうちは、受講者たちが交渉するための

海外バイヤーも、ゆみが作った会社の英語サ

イト、海外バイヤー向けホームページから分

けてあげなければならない。

「海外バイヤーを分けてもらえるのですね」

そのうち、ゆみが受講者から依頼されたホー

ムページを作り終わって、そのホームページ

から海外バイヤーのオファーが来始めると、

受講者は自分のホームページから来た海外バ

イヤーと直接やり取りして、海外から車の注

文を取れるようになっていくのだった。

中古車輸出・第20話

受講者たちは、まずうちの会社のオンライン

通信教育講座を申し込む。

その後、インターネット中古車オークション

会場の入会手続きをしておいて、その間に最

寄りの警察署へ走り、古物商許可証を取得し

てくる。

それから、自身でホームページを作ったり、

ゆみにホームページの制作を依頼したりする

のだった。

そして、ゆみがホームページを作っている間

に、海外バイヤーとの交渉を始めるのだ。

中古車輸出・第19話

「ゆみちゃん、仕事だよ」

育成部門の担当者が、新しいホームページ依

頼の仕様書を持って、ゆみのデスクにやって

来た。

「赤い色ベースでのホームページね」

「だってさ、なんかシャアのような真っ赤な

ホームページで。スポーツカーを大きくイメ

ージさせたものして欲しいんだってさ」

「了解です」

ゆみが直接、受講者の方とやり取りするので

は無く、育成部門の担当者が窓口だった。

明星学園・第75話

「ゆみちゃんのお昼ってそれだけ?」

お昼休憩で、ゆみがお母さんの作ってくれた

お弁当を食べていると、百合子が覗きこみな

がら、ゆみに聞いた。

「あんまり食べると、逆にお腹がおかしくな

ちゃうからね」

祥恵が、百合子に答えた。

「ゆみちゃんって、本当に体があまり強くな

いのね」

明星学園には、食堂も給食もないため、お昼

ごはんは各自でお弁当持参だった。

明星学園・第74話

ゆみは、女子更衣室から出ると、体育館の中

で体育の授業が始まるのを待っていた。

「今日の体育は何をやるのだろう」

「バスケだといいね」

しばらくすると、祥恵たちが体操着に着替え

終わって女子更衣室から出てきた。祥恵とル

リ子の2人は、女子バスケ部員だった。

百合子は、部活は何もしていなかった。

「今日は、ポートボールだってさ」

3人とも運動は、生まれつき1番の得意で、

体育の授業は誰よりも1番動き回っていた。

明星学園・第73話

「え、祥恵ってそうだったんだ」

「いや、だから違うって」

祥恵は、ルリ子だけじゃなく百合子にまでも

言われて、慌てて否定した。

「本当、違うんだから」

祥恵は言った。

「っていうか、ゆみは別に着替えないんだか

ら、早く更衣室から外に出て、表で待ってい

なさいよ」

ゆみは、姉に女子更衣室から表へ追い出され

てしまっていた。

明星学園・第72話

「祥恵ぐらいの膨らみだったら、ゆみちゃん

もすぐに追い抜けるって」

ルリ子が、祥恵の小さな膨らみを笑った。

「正英がいつも描いている祥恵の横顔イラス

ト、いたずら描きも胸はぺったんこだよね」

「正英くん」

ゆみが呟いた。

「正英くんって、お姉ちゃんの好きな?」

「え、祥恵そうなの!?」

ルリ子が、祥恵に聞いた。

「そんなわけないじゃん!」

明星学園・第71話

「ブラジャーぐらいするでしょうが、女だも

祥恵は、ゆみに言い返した。

「でも、祥恵はあまりブラジャー必要ないぐ

らい胸ペタンだけどね」

7年生でも、もうかなり胸が大きく膨らんで

きているルリ子が、Tシャツを脱いで着替え

ながら言った。

「お姉ちゃんも、おっぱい膨らんできている

んだね」

「ゆみちゃんも、そのうち大きくなるよ」

百合子が、ゆみに言った。

明星学園・第70話

「その子はね、体が弱いから、いつも体育の

授業は見学なのよ」

祥恵が、ゆみに代わって百合子に説明した。

「体が弱くて見学か」

「百合子には考えられないよね」

「本当に」

生まれてから病気だって、風邪ぐらいしかひ

いたことのない百合子には、体育を見学なん

て考えられなかった。

「お姉ちゃんってブラジャーしてるの!」

ゆみは、Tシャツを脱いだ祥恵に驚いた。 

明星学園・第69話

それから、ゆみは百合子に手を繋がれながら

体育館へと向かった。

「そっち側だよ」

百合子は、体育館の入り口から入ると、左側

奥の扉にある女子更衣室へと入った。

「ちなみに、右側奥は男子更衣室ね」

百合子が、ゆみに説明した。

「私、更衣室の中入るの初めて」

「そうなの?」

「だって、体育は、いつも見学だから」

「見学なの?」

明星学園・第68話

「ゆみは、1人でも行けるから大丈夫よ」

祥恵が、百合子に言った。

「1人でも行けるかもしれないけど、私と一

緒に行っても良いでしょう」

百合子は、ゆみの手を握りながら、祥恵に返

事した。

「祥恵はさ、なんでこんな可愛い妹がいるの

に、私達に紹介しないのよ」

ルリ子が、祥恵に聞いた。

「祥恵がちっとも紹介しないから、私達の方

からゆみちゃんに声かけちゃった」

明星学園・第67話

「ゆみ、体育館は1人で行けるよね」

祥恵は、ゆみに言った。

「私、先に行くから」

祥恵は、ゆみを置いて行こうとした。

「ゆみちゃんも一緒に行こう」

狩野百合子が、ゆみに言った。どうして、こ

の人は私の名前を知っているのだろうと、ゆ

みは思った。

「ゆみちゃんでしょう?祥恵の妹の」

「はい」

「一緒に行こう」

明星学園・第66話

「ゆみ、体育館に移動だよ」

現国の授業が終わると、次は体育だった。

「体育館ってどこなの?」

「あんたが、お母さんと入学式に出た場所」

「あそこか」

ゆみは、入学式の時のことを思い出した。

「祥恵、体育に行こう」

教室の後ろの席から永田ルリ子と狩野百合子

が祥恵のことを誘いに来た。

「うん、行こう!」

祥恵は、席を立ち上がった。

明星学園・第65話

「ニューヨーク帰りのあんたは、そりゃ英語

は得意だものね」

授業が終わった後で、祥恵はゆみに言った。

「ね、お姉ちゃん」

「なに」

「さっきの正英くんって、お姉ちゃんの好き

な人なんだよね」

「何言ってるの、ばかじゃないの」

祥恵は、ゆみに言った。

2時限目は、逆にゆみの不得意な日本語、現

国の授業だった。現国の担当は佐伯先生だ。

明星学園・第64話

「ハロー、アムユミ。アムジョイニングジャ

パン、ライクイット」

ゆみは、塚本先生に指されて、英語の構文を

流暢に読み上げた。

「とても良い発音ですね」

日本の学校では、あいうえお順の初めの方に

属する今井の姓は、最初の授業ではいつも始

めに指されてしまうのだった。

「ベリーグッド、きれいな英語ですね」

塚本先生は、ゆみに言った。

「サンキュー」

明星学園・第63話

佐伯先生は、1組の朝のホームルームを終え

ると、職員室へ戻っていった。

「英語を始めます!」

副担任の塚本先生は、そのまま教室に残って

1時限目の英語の授業となった。

「英語の授業は、中等部で初めて習う授業に

なりますよね」

塚本先生は、皆に言った。

「最初は取っつきづらいかもしれないけど、

少しずつ英語に慣れていってもらえたら嬉

しいです」

明星学園・第62話

昨日、中等部の入学式を終えたばかりだが

小等部からの進級組の祥恵には、小等部から

の同級生、友達がたくさんいた。

逆に、2年から飛び級して来たばかりのゆみ

には、まだこのクラスに友達はいなかった。

「さあ、授業を始めます」

担任の佐伯先生が教室にやって来た。教室の

後ろでお喋りしていた祥恵も、他の生徒たち

も自分の席に戻っていた。

「今日から7年生の授業が始まります」

佐伯先生は、皆に伝えた。

明星学園・第61話

「お姉ちゃん、待ってー」

ゆみは、階段を降りて来ると、玄関で靴を履

いていた。

「はい、行くよ」

祥恵が差し出した手を握ると、一緒に学校へ

出かけた。学校に着くと、ゆみは1組の自分

の席に1人腰掛けていた。

「正英、シャツが出ているよ」

「え、どこどこ?」

祥恵は、教室の後ろの方で、たくさんの友達

たちとお喋りをしていた。

明星学園・第60話

「あなたが、そんなクラスのリーダー格だっ

たなんて知らなかったわ」

お母さんは祥恵を誇らしそうに抱きしめた。

「明日は、お母さんは学校行かないから、あ

んたがゆみちゃんを連れて行ってあげてね」

お母さんは、祥恵に伝えた。

「わかっているって」

祥恵は、お母さんに答えた。

「ゆみ、学校行くよ!」

祥恵は、玄関先から部屋の中のゆみに声をか

けると、学校へ出かけた。

明星学園・第59話

「もしゃもしゃ頭の佐伯先生、副担任で英語

の塚本先生」

お母さんは、祥恵に言った。

「何それって、ゆみから聞いたの?」

祥恵は、お母さんへ逆に質問した。

「ゆみちゃんは、あなたと違って学校であっ

たことを全部ちゃんと報告してくれますから

ね」

「そうか、これからは、ゆみを通して全部お

母さんにバレるのか」

祥恵は、お母さんに答えた。

明星学園・第58話

ゆみは、ニューヨークで未熟児で生まれ、帰

国の飛行機に乗れず、7歳までニューヨーク

で過ごしたのだった。

7歳で飛行機に乗れるまでに体力が回復し日

本へ帰国したのだったが、それでもまだ身体

がそんなに強くないので、夜は9時には寝て

朝は7時過ぎに起きる仕事をしていた。

「あなた、ゆみと同じクラスになったの」

お母さんは、祥恵に聞いた。

「そうよ、おかげで学校でも、これからずっ

とゆみと一緒だよ」

明星学園・第57話

「学校ではお母さん一緒でないから1人でも

食べられるわよね」

お母さんは、優しくゆみの頭を撫でた。

夕食後

「あーあ、いい湯だった。ゆみは?」

祥恵は、お風呂から上がって、自分の短い髪

をタオルドライしながらお母さんに聞いた。

「もう9時過ぎてるわよ」

「そうか、もう寝たのか」

祥恵は、時計を確認した。

「ゆみは、9時が就寝だものね」

明星学園・第56話

祥恵は、目の前で中学生になってもお母さん

に未だに食べさせてもらってるゆみの姿をみ

て言った。

「ゆみちゃんも、お姉さんの遺伝子持ってそ

うだものね」

ジョーのお母さんが笑顔で答えた。

「そういう意味じゃなくて、中学生になって

も、お母さんにごはん食べさせてもらってる

なんて、甘えん坊としてすぐに中等部中の有

名人よ」

祥恵は、目の前のゆみの姿に呆れていた。

明星学園・第55話

祥恵は、普段からお母さんに家ではあまり学

校であったことを話さないので、ファミレス

でお昼ごはんしながら、ジョーのお母さんか

ら聞いて驚いていたのだった。

「小等部では祥恵さんは有名人、ヒーローだ

ったわよね」

「それほどでも」

祥恵は、ジョーのお母さんに言われて、少し

照れていた。

「まあ、ゆみの方が明日からでもすぐ有名人

になるだろうけどね」

明星学園・第54話

「そうかな」

「1組の皆や後輩からも慕われているお姉さ

んですものね」

「へえ、祥恵がね」

お母さんは、ジョーのお母さんから話を聞い

て驚いていた。祥恵は、ゆみと違って、学校

であった事を全然話さないから全く知らなか

ったのだった。

「あなたも、ゆみのように今度から学校であ

った事をいろいろ話してよね」

「嫌よ、面倒くさい」

明星学園・第53話

「1組の学級委員だった祥ちゃんに、飛び級

で進級してしまう勉強できる妹さんって、姉

妹お2人ともすごいわね」

「私、学級委員はしたことないんだけど」

祥恵は、ジョーのお母さんに苦笑していた。

「あなたって、クラスのリーダーなの?」

お母さんは、祥恵に聞いた。

「リーダーではないけど」

「1組のクラス中の皆から、かなり頼りにさ

れてるものね」

ジョーのお母さんは、祥恵に言った。

明星学園・第52話

祥恵は、ジョーとも同じ小等部の同級生だか

ら、ジョーのお母さんとも顔見知りだった。

「もしかして、ゆみちゃんって祥ちゃんの妹

さんだったのね」

「はい、そうです」

祥恵は、ジョーのお母さんに答えた。

「あら、そうなの。祥ちゃんってこんな可愛

妹さんがいたのね」

「可愛いかな?まあ、ゆみは可愛いだけは、

可愛いかもしれないな」

祥恵は、ゆみの方をチラ見した。

明星学園・第51話

「百合子ちゃんとは、明日も会えるでしょう

お母さんは、祥恵も一緒に車で帰って欲しそ

うだった。

「わかったよ」

祥恵は、後ろのドアを開けると、ゆみにもっ

と奥へ移動しろと命令してから乗り込んだ。

「ジョー君のお母さん」

お母さんは、助手席のおばさんを祥恵に紹介

した。

「知ってるよ。おばさん、こんにちは」

「こんにちは」

中古車輸出・第18話

ゆみの勤めている横浜の貿易会社では、育成

部門のオンライン通信教育講座とホームペー

ジ制作プランは別々になっている。

「私、ホームページは自分で作れます」

そういった受講者のために、実際の中古車輸

出実務を教えるオンライン通信教育講座とは

離して、ホームページ制作プランは別オプシ

ョンにしてあるのだった。

「では、ホームページ制作もお申込みで」

そして、申込みがあると、育成担当者からゆ

みのところに制作の依頼が入るのだった。

中古車輸出・第17話

「それでは、後はホームページですね」

育成部門担当者は、受講者と話している。

「ああ、そうですね。最初に申し込んだイン

ターネット中古車オークション会場も正式な

会員証が届きましたし」

受講者は、育成担当者に答えた。

「古物商許可証も手に入りましたし」

「後は海外バイヤー向けホームページ」

「そうなんです。そのことなのですが、やは

り自分で作れそうもないので、そちらにご依

頼したいと思うのですが」

中古車輸出・第16話

「はい、どうされましたか?」

「この前、質問した警察がうちに見に来た件

なのですが、無事取得できました」

「そうなんですか、それは良かったです」

受講者は、古物商が取れて嬉しそうだ。

「最初、警察がうちに来るって聞いて、なん

かドキドキしたのですが」

その時の模様を話す受講者。

「こちらに、順番に車を停めて、船に載せて

海外へ輸出されるご予定なんですねと聞かれ

後はそのまま帰って行かれました」

明星学園・第50話

「あなたも、これから帰るの?」

「まあ、そうだけど」

「じゃ、乗りなさいよ」

「なんでよ、百合子たちと帰って、途中でお

昼して行く予定なんだけど」

祥恵は、お母さんに文句を言った。

「祥恵、お母さんと帰りなよ」

祥恵と一緒にいた背の高い女の子2人が、祥

恵に言った。

「うちらとのお昼は、またいつでも食べられ

るじゃないの」

明星学園・第49話

「あら、そうなの」

「なので、軍資金を」

ジョーのお母さんは苦笑しつつ、ジョーにお

金を渡していた。

「祥恵ー!」

お母さんは、こっちにやって来る祥恵の姿を

見つけて、大声で叫んだ。

「どうしたの?」

祥恵は、初めは無視しようと思ったが、あま

りに大声なので渋々、母親の側に来た。

「これから帰るの?」

明星学園・第48話

「ゆみ、後ろに乗りなさい」

お母さんに言われて、ゆみは後ろの扉を開く

と、後ろの席に座った。

「お母さんは、ゆみちゃんのお母さんと一緒

に帰って、途中でお昼ごはんするけど」

ジョーのお母さんは、ジョーに伝えた。

「そうなんだ」

「あんたも一緒に乗って、ゆみちゃんとお昼

にしたら?」

「それも良いんだけどさ、先に小汀たちと吉

祥寺でお昼する約束しているんだけど」

明星学園・第47話

ゆみは、ジョーと一緒に教室を出て駐車場の

お母さんのところに向かった。

「お母さん!」

ゆみは、車にいるお母さんの姿が見えると、

車までいきなり走り出した。

「終わったの?」

「うん!」

ゆみは、お母さんに頷いた。

「ジョー君、ゆみのことをありがとうね」

「いえいえ」

車の助手席には、ジョーのお母さんもいた。

明星学園・第46話

「ゆみちゃん、お母さんが待っているよ」

ホームルームが終わると、ジョーがゆみの席

にやって来た。

「お母さん?」

祥恵は、ゆみに聞いた。

「お母さんが車でゆみちゃんのこと待ってて

くれてるんだよな」

ジョーが、ゆみに代わって祥恵に説明した。

「あんたね、帰りもお母さんに送ってもらう

つもりなの」

祥恵は、甘えん坊のゆみに呆れていた。

明星学園・第45話

「私は佐伯といいます」

教壇に立った先生は、1組の生徒たちに自己

紹介した。

「私が、君たち1組の担任になります。こち

らが副担任の、英語の塚本先生です」

佐伯先生は、自分の横に立っている女の先生

のことも紹介した。

「今日はここまで。明日からは普通に授業が

始まるからな」

佐伯先生は、生徒たちにそう伝えると、副担

任と教室を後にした。

明星学園・第44話

「学校で、お姉ちゃんってあんなに大きな声

でお話するんだ」

ゆみは、教室の後方で、姉が友達と大きな声

で話しているのに驚いていた。

「皆、私より大きな子ばかりだな」

クラスの子たちを眺めていた。

教室の前の入り口からジョーよりもチリチリ

の天然パーマでモシャモシャ頭の先生が入っ

てきた。バイクに乗ってきたのだろうか大き

な体格にライダースーツを着ていた。

「それでは授業を始めますよ」

明星学園・第43話

学校の席は大概、あいうえお順なので、今井

のイで1番前の席になることが多かった。

「あんたはこっち」

「お姉ちゃんの後ろ?」

「祥恵のサに、ゆみのユだからでしょう」

「そうか」

ゆみは、祥恵のすぐ後ろの席に腰掛けた。

まだ友達がクラスに誰もいないゆみは、席に

座って周りを見渡していた。祥恵の方は、小

等部から普通に進級しているため、教室後方

の友達のところへ行ってしまった。

明星学園・第42話

「ゆみちゃんも、俺らと同じ1組なの?」

ジョーが祥恵に聞いた。

「そうなのよ」

祥恵は、ジョーに答えた。

「お兄さんと同じクラスで良かった」

「そうだね、仲良くしような」

ジョーは、ゆみと話していた。

「あんたの席はこっち」

祥恵は1組の教室に入ると、ゆみの手を引っ

張って窓側の1番前の方の席に向かった。

「ここが私の席」

明星学園・第41話

「ちょっと待ってよ。私と逆で素直で可愛い

ってそれ、どういう意味よ」

「あ、そういう意味じゃなくてさ。祥恵の雰

囲気、学校でのリーダーシップ感とぜんぜん

違う感じがする」

「そうね」

祥恵は、ゆみの方を見た。

「ほら、教室に行くよ」

祥恵は、ゆみに言った。

「お母さんにクラス聞き忘れちゃったの」

「あんたは、私と同じ1組よ」

明星学園・第40話

「そう、甘えん坊でぜんぜん自慢の妹じゃな

いけどね」

「そんなことないよ」

ジョーは、祥恵に答えた。

「素直で可愛い妹じゃん」

「そうかな」

「うん、なんか祥恵にぜんぜん似てない、性

格めちゃ逆じゃない」

「そうかな」

妹のことを素直で可愛いと言われて、祥恵は

ちょっと嬉しそうにしていた。

明星学園・第39話

「ゆみちゃんって祥恵の妹なの?」

「え、ジョーが連れてきてくれたの?」

祥恵は、ジョーにお礼を言った。

「祥恵に妹がいたなんて知らなかったよ」

「そうなの、実は妹がいたのよ」

祥恵は、ジョーに答えた。

「飛び級で妹と同級生になってしまったって

聞いたけど、祥恵の妹だったんだ」

「そうなのよ、お恥ずかしい」

「恥ずかしくないよ、自慢の妹じゃん」

ジョーは、祥恵に言った。

明星学園・第38話

「お姉ちゃん!」

ゆみは、廊下の向こうからやって来る祥恵の

姿に気づいた。

「あんた、一体どこにいたのよ?」

祥恵は、ゆみのことを怒っていた。

「式の間、会場のどこにもいないから心配し

たじゃないの」

「お母さんと一緒にいた」

「お母さんと一緒って、今日から中学生でし

ょうが、全く何をやっているのよ」

祥恵は、ゆみの頭を小突いた。

明星学園・第37話

「階段が多いね」

ジョーは、背の低いゆみが小さい足で校舎の

階段を上がっているのを見た。

「1番手前の教室が4組、1番奥が1組」

「そうなんだ、全部で4組までなの」

ゆみは、ジョーの説明を聞いていた。

「4組の誰かに聞いてみようか」

「うん」

ジョーが4組の教室を覗き込んでいると、

「ゆみ!」

ゆみは、廊下の向こうから大声で呼ばれた。

明星学園・第36話

ジョーに言われて、ゆみは再びジョーのとこ

ろに戻ると、一緒に手を繋いだ。

「今日は、まだ教室の場所わからないんだか

ら、一緒に行こう」

「うん!」

「とりあえず教室に行ってみよう」

ジョーは、ゆみに言った。

「どうして親切にしてくれるの?」

「だって、俺たち同級生の友達だろう」

「うん!」

ゆみは、笑顔でジョーに答えた。

明星学園・第35話

「小さいけど、中学生になったんだから自分

でもわかっていなきゃだめだよ」

ジョーは、ゆみに言った。

「俺とゆみちゃんは同級生になるんだろう」

ゆみは、ジョーに言われて慌ててジョーの手

を離すと、1人で先頭を歩き出した。

「え、どっち?」

ゆみは、教室の方向に迷って、ジョーの方を

振り返った。

「今日はいいよ、一緒に行こう」

「ありがとう」