ニューヨークピュアラブストーリー・第五十五話 #ニューヨークピュアラブストーリー

由香の母は、高校卒業した由香がニューヨー

クから日本に帰国する時、あなたは、こっち

に残っても良いのよと提案した。

アメリカの大学に入学し直して、隆と２人で

協力し、幼い妹を育てても良いのにと考えて

いたのだった。

「日本の大学卒業したら、由香は、お父さん

の会社を継がなければならないからな」

隆は、ゆみに由香の事情を説明した。

「でも、お父さんの会社は、別にお母さんが

継がなくても、お母さんの弟が継ぐって」

「なんで知ってるの？」

隆は、ゆみが由香から何でも聞いている事に

驚いていた。由香には、ノリ君という弟がい

て、弟か姉のどちらかに会社を継いでほしい

と言われていて、由香だけが継がなきゃなら

ないという事はなかったのだ。

「それで、日本に帰国してしまったのね」

ゆみは、隆に返事した。

「そう。だから、由香は、日本に仕事がある

から、こっちには戻ってこれないの」

隆は、ゆみに説明した。

「でも、お母さんが社長になった会社は、ニ

ューヨークに本店があるから、そこに転勤で

きれば、お母さんもこっちに来れるのよね」

「そうなのか？」

隆は、逆にゆみへ聞き返した。

由香の社長になった会社の本店が、こっちに

あるなんて初耳だった。隆は、由香から一度

も聞いたことがなかった。