「だいたい、俺には、渋谷に自分の会社があ

るのに、サンフランシスコに赴任できるわけ

ないじゃん」

隆が、麻美子に返事した。

「それは、まあ、そうね」

「サンフランシスコはともかく、中目黒から

渋谷へ通うことは出来るわよ」

麻美子の母親が、棚の中の食器をチラつかせ

ながら、隆に言った。

「お母さん!」

麻美子は、自分の母に苦笑していた。